エミライでは、新たにFiiO Electronicsの取り扱いを開始すると発表した。今回リリースされたのは、デジタルオーディオプレーヤーの「M9」(FIO-M9-B)で、市場予想価格は¥34,800前後(税別)。11月下旬発売から同社オンラインショップや全国のオーディオ専門店様、家電量販店で販売を開始する。なお、直営オンラインショップの「FiiO Direct」では、10月27日午前11時から限定先行販売もスタートする。

 なお同社では「M9」と、同じくFiiOの新製品であるポータブルヘッドホンアンプ「K3」についての発表会を開催、FiiO社の副社長 兼 共同設立者 Kean Zhang(キーン・チャン)氏も来日し、各製品の詳細について解説してくれた。

画像: より細分化するユーザーの要望に応えるために生まれたFiiOのMシリーズに、音質を向上させた「M9」が追加。10月27日午前11時から限定先行販売もスタート

 キーン氏によると、今回登場したM9は既発売のM7の上位モデルに当たる製品で、BluetoothとWi-Fiの両方に対応した点がトピックだ(M7はBluetoothのみ)。Bluetoothのコーデックはapt X/apt X HD/LDAC等で、これらすべてとWi-Fiに対応したプレーヤーはFiiOとしては初となる。

 音質面でキーとなるD/Aコンバーターには、旭化成エレクトロニクス製の2ch用省電力チップAK4490ENを左右独立構成で搭載し、低ノイズ・低歪と高出力を両立させた。また専用FPGA回路と、低ジッター化による高音質を実現する2系統(44.1/48kHz系)の高精度水晶発振器を搭載するなど、ハイレゾ再生に不可欠な音源の魅力を余すところなく引き出している。

USB Type-Cからのデジタル出力や、USB DACとしても活用可能

 対応信号は192kHz/24ビットまでのPCMデータと、最大5.6MHzのDSDのネイティブ再生に対応。またUSB Type-C端子を搭載しており、ここからは最大384kHz/32ビットとDSD 11.2MHzの出力も可能という。

 つまりM9はポータブルプレーヤーだけでなく、ハイレゾ音源の再生機としても使えるというわけだ(3.5mm端子から光デジタル出力も可能)。なおUSB Type-C端子からデジタル入力も可能で、その場合はM9をUSB DACとして使えることになる。まさにオールインワンのハイレゾ再生機といっていいだろう。

画像: 本体底面に2系統のヘッドホン出力(左が.5mmバランス出力)と、USB Type-Cを搭載

本体底面に2系統のヘッドホン出力(左が.5mmバランス出力)と、USB Type-Cを搭載

 そんなM9は、コンパクトサイズにこれだけの機能を盛り込むために、8層構造(各層の厚さは0.08mm)の高密度相互接続基板を採用している。これにより小型基板でも大規模回路を構成でき、結果として省電力やノイズ対策も高いレベルで可能となった。

 それら省電力デザインの恩恵もあり、連続再生時間10時間(Bluetoothのみの再生では約30時間)をクリアー。さらに、待機時間は最大45日間を実現した。これは、フル充電しておけば45日間はワンタッチでM9が起動することを意味している。こまめに電源を切ることの多いポータブルプレーヤーとしてはたいへん嬉しい機能といえる。

ストリーミングサービスも簡単に楽しめる

 オペレーティングシステムには独自にカスタマイズしたAndroid OSを採用、ユーザーインターフェイスも高速化を実現した。同時に、Wi-Fi接続でストリーミングサービスも楽しめるようになった点も見逃せないだろう。M9にインストールしたアプリ(Spotify、Qobuz、Deezer、Roon、Tidal、他)で各サービスにアクセスすれば、簡単に試聴できるわけだ(別途契約は必要)。

 ちなみにアプリのインストール方法は、PCでFiiOのダウンロードサイトにアクセスし、必要なアプリをマイクロSDカードに保存する。そのカードをM9に装着して、メニューからインストールを実施すればいい。

画像: マイクロSDカードでアプリのインストールもできる

マイクロSDカードでアプリのインストールもできる

 接続端子はシングルエンド出力と2.5mmバランス出力のヘッドホン端子を搭載。その外に先述したUBS Type-Cもあり、こちらはデジタル入出力の他に充電用にも使用する。またマイクロSDカードスロットを備えており、最大2Tバイトのカードをサポートしている。内蔵メモリーは2Gバイトだ。

 キーン氏によると、M9は、「小型」「薄型」「多機能」の3つの狙いで開発が進められたそうだ。これらはいずれも細分化していくユーザーの要望に応えるためで、将来的にはM9をマルチなワイヤレスレシーバーとして使って欲しいと話していた。

 M9は今週末に開催される「秋のヘッドフォン祭2018」のエミライブースで試聴できるそうなので、興味のある方は足を運んでみてはいかがだろう。なお、同時発表された「K3」については、後ほどご紹介したい。

M9の主なスペック
●オペレーションシステム:カスタマイズAndroid OS
●CPU:Exynos 7270 (Dual core、14nm、1GHz)
●DAC:AK4490EN×2
●Bluetoothコーデック:LDAC/aptX/aptX HD/HWA(LHDC)/SBC
●ROMユーザー使用可能領域:2Gバイト
●ストレージ拡張方式:Micro SDカード(最大2Tバイト対応)
●ヘッドホン出力:3.5mmヘッドホン出力端子+2.5mmバランス出力端子
●デジタル出力端子:同軸デジタル出力(切り替え式)
●USB接続端子:Type- C USB2.0(Charging/Data transmisson/USB DAC/USB Audio)
●寸法/質量:W60×H106×D13.3mm/約133g

画像: FiiO社 副社長 兼 共同設立者 Kean Zhang(キーン・チャン)氏

FiiO社 副社長 兼 共同設立者 Kean Zhang(キーン・チャン)氏

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