2017年に登場したSOULNOTE(ソウルノート)のD/Aコンバーター「D-1」がとても人気だという。ESSテクノロジーの最新・最高峰のDACチップ「ES9038PRO」を2基搭載し、キレ味に優れたハイレゾリューションサウンドを聴かせるだけでなく、話題の新発想データ転送方式「バルクペット」もサポート。スペック面での充実と高音質がバランスよく図られており、いわゆるコストパフォーマンスに優れた製品として目利き(耳利き、かしら?)のオーディオファンに支持された結果なのだと思う。

 そんなソウルノートからD-1の上級に位置するD/Aコンバーター「D-2」が発表された。開発担当者によると、本機の特徴は大きく次の3つ。

(1)DDS(ダイレクト・デジタル・シンセサイザー)に(同社が認識している限りでは)世界最高性能を誇るテキサス・インスツルメンツ製「LMX2594」を搭載。そのLMX2594を活かすために、外部10MHzの基準クロック入力を装備、さらに内蔵TCXOにも高精度なパーツを搭載した。

(2)ES9038PROを4基搭載。ソウルノートがこだわっている無帰還差動アンプの初段に直接ES9038PROの出力をダイレクトにつなぎ、DACの高い性能を活かす考えだ。

(3)通常のD/Aコンバーターで使われるFIR(有限インパルス応答)フィルターに加え、NOS(ノンオーバーサンプリング)フィルターモードを装備した。このモードは、FIRフィルターで問題とされる、プリエコーやポストエコーを原理的になくして、時間軸方向の乱れを抑制するモードとなる。歪率等のスペックはFIRフィルターに比べて不利となるが、「聴感上、リアルで自然な音質を実現でき、一度聴いたらFIRフィルターにはもう戻れません」(開発者談)として、PCM音源限定で採用したものだ(DSD信号は可聴帯域外の高域部分にノイズがあるため、NOSフィルターモードは非適応)。なお、NOSフィルターモード時でも、IIRフィルターは機能しており、超高域部分のノイズに関する問題は生じない、とのことだ。

画像: D-2。筐体サイズは昨年発売された同社プリメインアンプA-2や、フォノイコライザーE-2と同じだ

D-2。筐体サイズは昨年発売された同社プリメインアンプA-2や、フォノイコライザーE-2と同じだ

画像: 中央に備わるデジタル入力端子を挟み込むように左右のアナログ音声出力端子を装備している。なお、本機は通常のステレオDAC以外にも、モノーラルモードも備えており、本機を2台使ったツインDAC運用も可能だ

中央に備わるデジタル入力端子を挟み込むように左右のアナログ音声出力端子を装備している。なお、本機は通常のステレオDAC以外にも、モノーラルモードも備えており、本機を2台使ったツインDAC運用も可能だ

 現在、製品出荷に向けて鋭意チューニング中のD-2を設計者同席の下、聴く機会を得た。再生システムは、Mac用再生プレーヤーソフト「AudirvanaPlus」をインストールしたMacbookProをエイム製USBケーブルでD-2に接続、そのバランスアナログ出力を、プリメインアンプ「A-2」につなぎ、PMCの3ウェイスピーカー「MB2SE」を駆動する環境となる。

 まず、比較用に用意されていたD-1で44.1kHz/16bitのジャズ・ヴォーカル曲と96kHz/24bitのオーケストラ曲を再生。いわゆる高解像度指向のサウンドで、情報量もたっぷり。D-1の人気ぶりもさりありなん、という見事なサウンドを実感した。この環境ではやや温度感が高く、クールなタッチにも感じられたが、微調整できる範囲だろう。

 D-1を本命のD-2に入れ替えて同じ曲を再生してみる。音が出た瞬間、思わず「あっ」と声がもれるほどの違いが即座に感じられた。D-1では聴こえなかった細かい音がたっぷりと現れて、スピーカーとリスナーの間をみっちりと音で満たすのである。D-1同様クールな傾向は残り、D-1の高解像度サウンドをさらに磨き上げていることがすぐに分かる。低域の解像度を大きく高めている点は特筆すべきだろう。D-2は、D-1と比べて価格は倍以上となったが、その音質向上ぶりを考えると、その価値は充分にあり、といえそうだ。

 さて、ここまではFIRフィルターモードで聴いていたが、次に開発者が「本命」と語るNOSフィルターモードに切り替えて音を聴いてみよう。FIRフィルターモードでも、充分に素晴らしい音だと思ったが、そこからさらに微細な情報をえぐり出され、音像の迫真さと音場の透明感がさらに高まってくる。例えて言えば、ふたつのスピーカーを使って描かれる音楽のカンバスが圧倒的に大きく、しかも色彩も鮮やかになる。その結果として音楽の躍動感が大きく向上する。

 ハイレゾリューション音源が備える「音の器」の大きさをストレートに描き分けることも感激した部分だ。昨年弊社でリリースした『<a href="https://www.stereosound-store.jp/fs/ssstore/2601" target="_blank"><strong>Stereo Sound Hi-Res Reference Check Disc</strong></a>』は、同じ演奏をサンプリング周波数/ビットレートが異なるシステムでパラレルに収録し、「音の器」の大きさを自らのシステムで体験できる音源が収録されているが、そこでの「音の器」の大きさが、情報量の違いとしてそのまま直接的にはっきりと描き出してくれる。いっぽうでCDプレーヤーのデジタルアウトを同軸接続して聴いたCDの楽曲も、CDとは思えないほど豊かな情報が掘り起こされてくるのだからたまらない。

 発売に向けて最終チューニングの真っ只中ながら、D-1を圧倒的に凌駕する優れたサウンドをすでに聴かせていたD-2。量産機の仕上がりがいまから楽しみだ。

画像: 内部は、左右対称の内部コンストラクションを徹底させている。D-1と比較して、筐体の高さが増えているが、巨大なトロイダル型電源トランスや2階建て構造で基板が収まって、圧倒的な物量が投入された格好だ

内部は、左右対称の内部コンストラクションを徹底させている。D-1と比較して、筐体の高さが増えているが、巨大なトロイダル型電源トランスや2階建て構造で基板が収まって、圧倒的な物量が投入された格好だ

画像: 今回はソウルノートを主宰するCSRの試聴室で最終チューニング中のD-2(ラック上段左)をチェック。スピーカーは、PMCのMB2SE。アンプは、A-2プリメインアンプ(ラック上段右)、ラック下段左は比較用として使ったD-1だ

今回はソウルノートを主宰するCSRの試聴室で最終チューニング中のD-2(ラック上段左)をチェック。スピーカーは、PMCのMB2SE。アンプは、A-2プリメインアンプ(ラック上段右)、ラック下段左は比較用として使ったD-1だ

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