ドイツ・RMEの日本代理店をつとめるシンタックスジャパンは、6月13日、新製品発表会を開催。ハードウェア5製品と、ソフトウェア1製品をリリースした。
日本で初登場となった、オーディオインターフェイス「ADI-2 Pro FS」は、2016年にリリースされた「ADI-2 Pro」のマイナーアップデート機。ADI-2 ProからRME製コンポーネントの大きな特徴であるクロックを、最新のFS(フェムトセコンド)仕様に更新したモデルだ。
オーディオインターフェイスとは、録音スタジオや自宅スタジオでの録音用途向けに開発され、A/DコンバーターとD/Aコンバーターを1台に盛り込んだハードウェアのこと。
RMEのオーディオインターフェイスとして、同社初のDSD対応など最先端のスペックを備えつつ、最高グレードの音質を追求したADI-2 Proは、リリース後に高い人気を獲得。さらに同機をベースにコンシューマー用途を重視したモデルとして、A/Dコンバーターを割愛したうえで、同軸/光デジタル入力やIEM(イン・イヤー・モニター)出力端子を搭載した「ADI-2 DAC」も昨2017年に誕生させ、こちらも好評を博していた。
今回発表された「ADI-2 Pro FS」は、ADI-2 DACに搭載されているFS仕様の高精度クロックをADI-2 Proに採用、さらに画面表示を消した状態で動作できる「ダークモード」機能を追加したモデルである。その他の仕様は、従来機ADI-2 Proと同様となる。発売は7月25日、価格はオープンプライスで、想定市場価格はADI-2Proと同じ¥205,000前後を想定しているとのことだ。
そのほか、RMEでは業務用製品として、ハードウェア製品4種類と新ソフトウェア「Total Mix Remote」をリリースした。
ハードウェアの4製品は、オーディオフォーマット・コンバーター「Digiface Dante」(デジフェイス・ダンテ)と「Digiface AVB」(デジフェイス・エーヴィービー)、さらに32ch対応のA/Dコンバーター「M-32 AD Pro」と同D/Aコンバーター「M-32 DA Pro」の2製品。特にM-32 AD ProとM-32 DA Proは、今回の発表会がワールド・プレミア。4製品すべてが、今年の秋発売とアナウンスされた。
「Digiface Dante」は、MADI(マディ)とDante(ダンテ)に対応したオーディオフォーマット・コンバーター。今回の発表会にあわせて来日したRMEの創業者のひとりでもあり、開発者のマティアス・カーステンズ氏によると、「半分がRMEのインターフェイス、半分がDanteのインターフェイス」と考えればいい製品だとのこと。
ちなみにMADIとDANTEとはいずれも業務用デジタル・オーディオインターフェイス規格で、前者は以前からRMEが推進しており、1本のケーブルで最大64chが伝送でき、多くのREM製品ですでに搭載されている。Danteとは、オーストラリアのAudinateが開発したネットワークを使ったデジタルオーディオ伝送プロトコル。マルチチャンネルの非圧縮デジタルオーディオ信号を、いわゆるLANケーブルを使いながら低遅延で長距離伝送できる点を最大の特徴としている。Digiface Danteでは、MADIとDanteで合わせて合計256(!)もの膨大なチャンネルに対応している。価格は未定。
「Digiface AVB」は、ネットワークオーディオ伝送プロトコルであるAVBと、前述のMADIに対応した、オーディオフォーマット・コンバーター。AVBとは、こちらもネットワークを用いるデジタルオーディオ伝送プロトコルのことで、業務用として多くのメーカーでの普及が進んでいるという。このDigiface AVBは、Windows PC専用の製品となるが、これは、すでにMac OS自体がAVB伝送規格をサポートしているためだという。取り扱えるチャンネル数は、48kHzサンプリングモード時で最大128。価格は未定。
M-32 AD ProとM-32 DA Proの2モデルは、前述の通り、世界で初めてのお目見えとなった注目の製品で、2010年リリースのM-32 AD、M-32 DAの次世代仕様というべきモデルだ。いずれもその名の通り、最大32chをサポートするA/DコンバーターとD/Aコンバーターだ。
両機種ともに、MADIとAVBという、ふたつのプロ用デジタルオーディオ規格に対応しており、多くのデジタルオーディオ信号をシンプルに取り扱える製品で、ライブ会場でのSR用途や、録音スタジオでの用途を想定している。
本体前面には、32のバックライト付きラベルが備えられており、動作時における信号ステータスが視覚的にわかりやすい状態で表示できることも特色だ。両機種とも価格は未定だが、国内代理店をつとめるシンタックスジャパンでは、現行機種とほぼ似たような価格を目指しているとアナウンスがあった。
ソフトウェアの新製品は、Total Mix用遠隔操作アプリケーション「Total Mix Remote」だ。Total Mixとは、RME製品の多くで動作するWindows、Mac用パソコンで動作する独自のミキシング・ソフトウェア。Total Mix Remoteでは、このTotal Mix(v1.50以降)を、ネットワーク(TCP/IP)経由でつながれたPC、Mac、iOS iPadなどの外部端末からコントロールできる。
使い勝手のよさが大きな特徴で、たとえば複数のインターフェイス(PC+RME)を1台のリモートアプリで操作できたり、逆に複数のリモートアプリを使って1台のインターフェイス(PC+RME)を操作することも可能だ。Total Mix Remoteアプリ自体は無料で提供される。