上杉研究所の最新製品であるU・BROS120RXは、ステレオサウンドグランプリ2025を受賞した注目の真空管パワーアンプ(『ステレオサウンド』No.237 2026年 WINTERに掲載)。全段バランス増幅回路、OTL設計+マッチングトランスの構成による意欲的な真空管アンプであり、その音への高い評価から、特別仕様としてホワイト&ブラックのカラーリングで仕上げたU・BROS120RX Limited Editionをステレオサウンドストアで限定頒布させていただくこととなった。 お申し込み締め切りは3月24日(火)。ここでは、音の手掛かりにしていただきたく、『ステレオサウンド』No.237で上杉研究所の通常仕様U・BROS120RXを新製品として試聴された黛 健司氏によるレビューをお届けする。

『ステレオサウンド』No.237 2026年 WINTER New Components Review
ウエスギU・Bros 120RX

表現力が大幅に向上。大パワーと高音質が両立し、安心して大音量再生を楽しめる

黛 健司

 このアンプについて「インピーダンス800オームのスピーカーに対応する真空管式OTLアンプに、4~16オームのスピーカーをつなぐための10対1のインピーダンスマッチングトランスを付けた製品」とウエスギ設計者の藤原伸夫さんから説明をうけ、U・Bros333OTLの開発で培った真空管式OTLアンプのノウハウを投入して開発された『インピーダンスマッチングトランス付きOTLパワーアンプ』が本機の実態なのだと納得した。

 通常、出力トランスは2次側からフィードバックを返すが、U・Bros120RXの出力トランスは、インピーダンスマッチングだけを担うので、2次側には4/8/16オームのスピーカー端子の出力タップしかない。2次側にフィードバック用のタップはなく、1次側巻線の正負からそれぞれ初段の12AX7にフィードバックされる徹底ぶりだ。

全段完全バランス回路構成に進化した、「120」ナンバー第3世代機

 『120』のモデルナンバーをもつ製品としては、本機は三代目にあたる。藤原さんが温故知新のサークロトロン出力回路を採用した初代U・Bros120を発表したのは2014年のことで、以後、ウエスギのプッシュプル動作パワーアンプには、すべてこの回路が採用されている。2019年登場の二世代目U・Bros120Rにおいて、電圧増幅回路が真空管によるウィリアムソン方式に変り(『120』では一部半導体を使用していた)、今回のU・Bros120RXでは、全段完全バランス回路構成に進化した結果、XLRバランス入力端子が設けられた。ユーザーの要望に迎合したものではなく、必然性があってのバランス入力端子の装備であるのが、ウエスギの流儀に則っている。

 ユーザーにとって嬉しいのは、U・Bros333OTLで開発されたシステム制御マイコンが本機にも採用されたこと。出力管を徹底して保護するため、真空管アンプを初めて使う人でも安心だろう。

天板後方(写真左上)に計3系統を装備する入力は、バランス端子が1系統で、2系統のアンバランス端子は1系統がダイレクト(DIRECT)、もう1系統は内蔵アッテネーターによるレベル設定が可能なノーマル(NORMAL)である。後方中央に4つのバインディングポストが並ぶスピーカー端子は、プラス側が16Ω、8Ω、4Ωのインピーダンスごとに用意される方式だ。

大パワーと高音質を両立。超極細の網の目で音や気配が掬い取られる

 試聴では前作『120R』を用意して新旧比較すると同時に、プリアンプもリファレンスのアキュフェーズC3900と『280R』を用意した。新旧比較では表現力の大幅な向上が印象的。前作では掌から掬い逃してしまっていた音や気配が、本機では確実に提示される。前作の網の目にはかからなかった音でも、本機の超極細の網の目だと掬い取れる、そんなイメージだ。

 C3900+120RXは繊細さが際立つが、ウエスギ同士の組合せだと、中低域に厚みが出て骨太で骨格のしっかりした音になる。大パワーと高音質の両立も本機の大きな魅力だ。OTLで出力40ワットの『333OTL』は、大音量で鳴らすと、プロテクションが働くこともあるが、90ワットの本機にクリップの兆候はなく、安心して大音量再生を楽しめる。ウエスギアンプの集大成と言える製品だ。

底板を外すと手配線と基板を効率的に融合した内部が現われる。写真の左側に2つ並んでいるのは出力段電源回路用チョークトランスで、その右側には整流回路を展開。出力管のソケットまわりの右側は順に、バランスの負帰還回路、バイアス調整/保護回路基板(前方)と2基の出力段用メインコンデンサー(後方)などが配置されている。

ウエスギ U・Bros 120RX
¥1,480,000(税抜・ペア)
●最大出力:90W(8Ω)●入力感度/インピーダンス:1.8V/100kΩ●使用真空管:12AX7A×1、12AT7×1、6CG7×1、KT120×2●寸法/重量:W355×H202×D216mm/17kg●備考:オプションで専用真空管カバー「G120X」(¥50,000・税抜ペア)あり●問合せ先:上杉研究所☎044(712)4632

『ステレオサウンド』No.237(2026年 WINTER)より

ステレオサウンドストアで限定頒布中のU・BROS120RX Limited Editionは、黛 健司氏のレビュー記事でご紹介した上杉研究所の通常仕様とはカラーリングが異なり、シャーシをパールホワイト塗装、トランスケースを黒のレザー調塗装で仕上げた特別仕様です。中央に見える真空管がサークロトロン回路による出力段を構成するハイパワー管KT120。ホワイト&ブラックのカラーリングはピアノの鍵盤がモチーフで、上杉研究所の創業初号機UV845シングル・モノーラルパワーアンプUTY1に由来する、同社原点の意匠といえます。ステレオサウンドストア限定頒布のお申し込み締め切りは2026年3月24日(火)です。ぜひご注目ください。

ウエスギU・BROS120RX Limited Edition フロントビュー

ステレオサウンドオンライン「管球王国Web」では上杉研究所の藤原伸夫氏によるU・BROS120RX開発記も掲載中

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