ウエスギの最新パワーアンプであるU・BROS120RX。全段バランス増幅回路、OTL設計+マッチングトランスの構成で前世代機U・BROS120Rを刷新した意欲的な真空管パワーアンプだ。1972年に登場したウエスギ研究所の初号機UTY1に由来するホワイト&ブラックのカラーリングを施した特別仕様U・BROS120RX Limited Editionをステレオサウンドストアで限定頒布する。そのアウトラインの紹介と、上杉研究所の藤原伸夫氏による開発記「マイ・ハンディクラフト」特別編を、Part1/Part2の2部構成でお届けする。

フルバランス増幅回路のメリットを活かすバランス伝送への対応

 オーディオ機器間のアナログ信号伝送は、一般に電圧伝送で行なわれます(フォノイコライザーアンプU・BROS220DSR入力回路、MCカートリッジ用ヘッドアンプであるフィデリックス社SATELLITEなどは電流伝送を行ないます)。電圧ですから、2点間の電位差を電圧信号として定めます。アンバランス伝送の場合、この2点間の基準となる点をアースと呼びますが、このアースはアンプシャーシと接続されており、このために、複数の機器を接続するとアンプシャーシ間が接続されたオーディオ機器間に、第6図に示すように信号電流以外に2種類の電流が還流することになります。

第6図 接続されたオーディオ機器間を流れる電流

画像: 第6図 接続されたオーディオ機器間を流れる電流

信号線のアースラインが構成するループに鎖交する磁束に誘起されて流れる電流
AC電源ラインとシャーシ間のストレイ容量によって流れる電流

 上記①②の電流と、第6図中、接続ケーブルのアース側インピーダンスZ1~3によって生じたe1~3は、伝送される信号に直列に加算され、伝送信号のS/Nを悪化させることとなります。これは多くの場合ハム雑音(ブー/ジー音)として知覚されることが多いようです。

 一方、バランス伝送では2点間の電位差はシャーシアースから独立した逆位相の信号線で定義されますので、アンプシャーシ間を流れる電流の影響を全く受けません。アンプシャーシ間に生ずる雑音電位はバランス回路のCMRR(同相信号抑制比)により大幅に減衰されます。

 第6図のオーディオ機器A~Cが構成する三角ループはスタジオ等ではあり得る状況ですが、家庭のオーディオシステムではソース機器→プリアンプ→パワーアンプの信号伝達は一方通行で、信号線のアースが複雑なループを構成することはありません。AC電源ラインとシャーシ間のストレイ容量によって流れる電流に関しては、接続ケーブルのアース側インピーダンスに留意することで問題のないことを確認しております。

 従来より当社は、プリとパワーの接続はアンバランス接続のみです。この理由は、一般家庭でオーディオシステムを使用する場合ではアンバランス接続で十分なクオリティが得られるばかりでなく、バランスXLR接続化することによる弊害を考慮したからです。

 アンバランス回路で構成された多くのオーディオ機器で、バランス対応とするために設けたアンバランス⇔バランス変換回路を信号系に挿入することによる信号クオリティの低下は否めません。U・BROS333OTLアンプから始まる当社パワーアンプのバランス入力への対応は、根拠として、フルバランス増幅回路のメリットをより活かすための伝送方式として採用してまいります。

OTLアンプを彷彿させて音色は瑞々しく、エネルギー感と緻密な表現力を両立

 第7〜10図に、周波数特性、ダンピング特性、歪特性、CMRR特性を示します。広帯域にわたり良好なCMRR特性が確保されました。出力トランスが負帰還ループに含まれていないので、歪特性やダンピング特性面では不利です。

 音質として、低インピーダンス・スピーカーシステムが主流の現代オーディオにおいて、真空管式OTLアンプを彷彿させる音色の瑞々しさ、広大な音場再現、ハイパワーアンプならではの全出力域にわたるエネルギー感のあるサウンドがお楽しみいただけると自負しております。フルバランス増幅がもたらす緻密な表現力も魅力です。

第7図 周波数特性

画像: 第7図 周波数特性

第8図 ダンピング特性

画像: 第8図 ダンピング特性

第9図 歪特性

画像: 第9図 歪特性

第10図 CMRR特性

画像: 第10図 CMRR特性

本機の主なスペック

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