5U4GBはTVの進歩に伴い登場。もっとも量産された整流管といえる
そもそも、5U4GBとはどのような整流管だろうか。T12バルブの大型GT管の全波整流用双2極管で、現在でも、現役時代のヴィンテージ管が比較的容易に入手可能で、数社が現行管を製造している。直系の先祖となる球は、1927年にRCAが開発したUX280/80で、基本的な構造を引き継いでいる。
整流管は、単純な2極管だが、電気的な要求は厳しく、出力管とは違い、大きな逆電圧に耐え、平均的な出力電流以外に平滑コンデンサーに流れるピーク電流にも耐えなければならない。電極材料や構造が悪いと、スパークやガス発生による放電が起こり、過大電流が流れてヒューズが飛ぶことになる。
さらに大電力化の要求から1933年に最後の直熱出力管2A3と一緒に、フィラメント電圧5V、電流3A、最高プレート電圧450Vで出力電流225mAの定格のST管5Z3が発表された。5Z3が非常に好評だったので、旧式になりつつあったUXベースからオクタルベースに変えた5U4Gが1937年から販売された。1930年代末にはTV放送が開始され、TV受像機が大型化すると5U4Gでは容量不足になってきた。TV用の水平出力管やダンパー管の要求からカソード用酸化物材料の改良が進み、同じフィラメント電力でも出力電流275mAまで増強し、さらに小型化した5U4GBが1956年にはRCA、シルバニア他数社から主にセットメーカー向けに製造された。
その後、高性能であったためにTV用のみではなく産業機器、軍用、オーディオ用パワーアンプに多用され、日本を含む非常に多くのメーカーで大量に製造され、もっとも量産された整流管と思われる。さらに5U4GBの電極構造をそのまま、ノーバル管に入れた5BC3/5BC3Aが開発されている。
整流管の差し替えは同一管種が原則。5U4Gは最大出力電流がGBより小さい
現在の整流管の主な使用目的のひとつに、ヴィンテージ機器の補修、修理がある。整流管の差し替えでは、同一管種で行なうのが原則だが、補修、修理では以下の点に注意した方がよい。
同等管と言われているものでも異なった管種を差し替える場合は自己責任となるので、よく調べてから行なう必要がある。5U4GBを例に考えると、その機器が最大定格内で設計されたものであるとした場合、全面的な互換性がある管種は、5AS4(外形が異なるG管)、5AS4A、5G-K18(東芝)などがある。一方、簡単に差し替えできそうな5U4Gは、最大出力電流の定格が5U4GBより小さく、管内電圧降下が大きいので、定格オーバーや電源電圧降下に注意が必要だ(第2表)。

今回のマグナボックス6Ⅴ6ppアンプの整流管では、差し替えられる条件として、オクタルベースで、5U4GBとピン接続が同じであることが必要だ。定格が似ていてもピン接続が違う5DJ4、5X4Gはショートの危険性がある。また、傍熱型の場合は、カソードが8ピンに引き出されているので、8ピンから直流出力を引き出していることが必要で、2ピンや巻線中点から引き出されている場合にはヒーターに直流出力電流が流れるので使用できない。マグナボックス6Ⅴ6ppアンプは、回路図から8ピンに引き出されているので、傍熱管も使用できる。
次にフィラメントの定格が5V/3Aであることが求められる。フィラメント電流が3A以上の5AU4、5AW4、5V3などは、電源トランスを焼損する危険性がある。フィラメント電流が2Aの5T4、5R4-GY、WE274B等では、トランスのフィラメント巻線の負荷が小さくなるので、フィラメント電圧許容範囲の5・25Vを超える場合があり寿命に影響がある。実測して確認する必要がある。このアンプの6Ⅴ6の動作はプレート電圧320V、スクリーングリッド電圧345V、プレート電流+スクリーングリッド電流40 mAの少し定格オーバーのAB1級動作となっており、B電源の電流は、無信号時に160mA、最大振幅時には180mAと想定されるので、整流管の最大出力電流は、200mAが必要となる。
また、プレート電圧、スクリーングリッド電圧が少し定格をオーバーしていることから、整流管の管内電圧降下が重要となる。少なくとも5U4GBより管内電圧降下が大きいことが条件となる。5AR4/GZ34は管内電圧降下がかなり小さいので、6Ⅴ6の定格オーバーとなるので使用してはいけない。以上の条件では、出力は少し減るが5U4Gは差し替えの候補になる。いずれの場合も、各電極の電圧を測定し、定格内で正常な動作することを確認することが重要だ。
PART.2に続く
●PART.2、PART.3、PART.4はこちらから。なお、PART.2、PART.3、PART.4の記事は、それぞれ1月11日(PART.2)、1月12日(PART.3)、1月14日(PART.4)の12時に公開します。
