文/写真=長谷川 圭
明日、6月22日(土)と翌23日(日)の2日間、東京国際フォーラムで開催される「OTOTEN2024」。来場の事前登録はお済みだろうか。まだの方は、ぜひ登録を済ませて来場することをお勧めする。しかも、クルマで体験できるデモカーコーナーだけでも行く価値があると思うからである。
(≫OTOTEN2024来場事前登録)[https://www.jas-audio.or.jp/audiofair/pre-registration]
今年、展示される車両は4台。ロータス・エミーラ(KEF)、トヨタ・ハイエース(パイオニア、カロッツェリア)、スズキ・ジムニーシエラ(アルパイン)、レクサス・LM500h(マークレビンソン)である。いずれもタイプの異なる提案、サウンドが体験でき、なかなか聴くことができない1台なのだ。
体験に際してはある程度の待ち時間を見込む必要があるが、待ってでも聴く価値があるはずである。と、設営準備の完了を待って聴いてきた筆者は推したい。以下に各車両をご紹介しよう。
ロータス・エミーラ×KEF
ロータス最後の内燃機関搭載車エミーラに、車載システムを初プロデュースしたKEFが搭載された1台。スポーツカーに載るオーディオってどうなの? しかもKEFが初めて作った車載システムだし……。多くのオーディファンはこのように思っているかもしれない。自分自身、そのように思っていたから。しかし、一声聴くと大きな思い違いだったことを知るのだ。
整ったサウンドバランス、ごく自然に広がるサウンドステージはKEFの名に恥じない音である。UNI-Qスピーカーをドアとダッシュセンターに、リアスピーカーとサブウーファーでスピーカーシステムを構成し、DSP搭載アンプでドライブする。KEF独自のUNI-Qの威力なのだろう、とにかくステレオイメージに無理がない。また、ロードノイズやエキゾーストで聴こえないだろうとも思えるような繊細な表現まで見事に描き出す。
デモカー試聴はフリータイムのほか、評論家土方久明氏による試聴会を実施する。
土方氏試聴会
6/22 12:00-13:30
G-607ブースで整理券を配布<先着15名>
6/23 15:00-15:50
G-607ブースで整理券を配布<先着5名>
エミーラのシートに身を沈めて、KEFが奏でるサウンドを、この機会に是非。
トヨタ・ハイエース×パイオニア カロッツェリア
これはカーオーディオではない。どちらかというと反則技である。が、このデモカー体験はクルマを降りるのがとても嫌になる、そんなひと時を過ごすことができる。
車内には、大型テレビに7.1.4サラウンドスピーカーシステムが構築され、AVアンプでドライブする本格的シアタールームがしつらえてあるのだ。結論から言うとこれほどの没入感が独り占めできるなんて、『どんな贅沢だよ』と言いたくなる。中高音ユニットがCST型同軸スピーカーというカロッツェリアのトップモデルTS-Z900PRSがこんなによくできたスピーカーだったかと、改めて認識できた。
車載モデルだからというか、高性能ユニットを使うことでこういう楽しみ方もありかと思わされる。同じような仕様のクルマを作ったら、おいくら万円なのかしらんと、電卓を叩きたくなった。試聴体験は、メーカーが用意したコンテンツメニューからひとつ選んで再生、没入体験にどっぷり浸かれる。クルマは大きいが体験できるのは1人ずつなので、時間に余裕を持って挑んでいただきたい。
スズキ・ジムニーシエラ×アルパイン
人気のジムニーに、新しいアプローチのオーディオを提案するのがアルパイン。なんと天井にスピーカーを装着して、音を浴びるイメージで聴こうというもの。とはいえ、天井に重量のある大きなスピーカーをつけるのは、安全性の面でも不安がある。そこを薄型軽量の小口径スピーカーを開発し、ルーフスピーカーを実現したという。
ルーフスピーカーのパフォーマンスはというと、相当にまともである。細かな仕様は公表されていなかったが、サイズは100mm程度と見受けられる。しかし、かなり低い音まで再生できていることがわかる。ガツンと聴ける低音はドアのサブウーファー(とはいえサイズは165mmとのこと)に任せているというが、天井とドアはちゃんとつながっていて、中低域が中抜けしてはいない。
AVナビでスピーカーを鳴らしているが、こちらは安定のBIG X。ただ本車に搭載されるのはこれから発売されるというジムニー専用モデルだ。専用モデルの場合、車種ごとのサウンドチューニングが施されるのだが、純正スピーカー向けであるため、本車においてはルーフスピーカー&ドアサブウーファー用にチューニングを変えているという。
アルパインでは頭上から振り注ぐ音を「MetioSound」と表現。この音は新しく楽しい体験となるだろう。チェックしていただきたい。
レクサスLM500h Exective ×マークレビンソン
ショーファードリブンのリアシートで、ゆったりとカーエンターテインメントを楽しむと……、を体験できる1台。レクサスLMに組み込まれるマークレビンソンのシステムはMark Levinson Reference 3D Surround Sound System、23スピーカーで立体音響を再生する。
LM500h Exectiveは4席仕様で前後シート間には48インチワイドディスプレイを備えたパーテーションが組み込まれたスペシャリティカーである。パーテーションには後席に向けたスピーカーが組み込まれるほか、リアスライドドア、天井、リアゲートと、後席を囲むようにスピーカーが配置されている。それに加えて前席周りのスピーカーもついても、後席でのサウンドパフォーマンスのためにチューニングされているのだという。
いくつかの楽曲でデモンストレーションが行われるが、奥行きが感じられる音場は、広大な車室内空間によるものではないはず。見事なまでにパーテーションあたりにステージがあるかのごとくライブ音源が再生される。欲張った感じがしない低音も、上品な聴き心地を生んでいるように思う。聞けば、低音のチューニングには、フロントドアのウーファーとリアゲートのサブウーファーで創出しているという。にもかかわらず、タイミングも音のつながりも違和感なく聴くことができる、よほど細心の音作りがおこなわれたのだろうと想像できる。
立体音響としては、車内が音楽ホールになったような自然な響きが充ちてわが身を包み込んでくる。なるほど、クルマのコンセプトに沿ったサウンドチューニングで作り込まれたカーオーディオとはこういうものなのだなと改めて認識することができた。
この体験はとにかくレアだろうし、高品位なカーエンターテイメントが味わえる1台である。聞き逃せないクルマだ。
結局、すべてを推す結果になってしまうのだが、どのデモカーも時間を割いて並び、聴く価値の高いクルマであり、より多くの方に体験していただきたいと思うのだ。