グランプリを獲得したクアトロリゴの3ウェイスピーカーOPUS TW+OPUS MID+OPUS MID BASS、その魅力とは。ここでは選考委員から鈴木裕氏と藤原陽祐氏のレビューを紹介する。
ギターやピアノなどの音色も極めてリアルで生々しいのに
同時にオーディオ的美音のスピーカー
文=鈴木 裕
クアトロリゴは1997年イタリアで創業。現在、ミドルクラスから超高級までのスピーカーをラインアップしている。OPUS(オーパス)シリーズはその最高級ライン。ネットワークは設定されていない。DSPを使ってアクティヴ3ウェイとして試聴。
エリック・クラプトンの『アンプラグド』の「ロンリー・ストレンジゃー」から聴きだしてまずわかるのは、オーディエンス一人一人の存在を感じさせる分解能であり、音の立ち方をするということ。高域の一部を強調して演出しているのではないことは、コーラスのクリーミーなハーモニーを聴けばわかる。また、ギターやピアノなどの音色も極めてリアルで生々しいのに、同時にオーディオ的美音なのも特筆しておきたい。官能的なニュアンスもあり、とてもエモーショナルだ。
スペックや採用している素材についてまとめておこう。トゥイーターは28mm径のシルクのソフトドーム。ミッドは89mm経で、振動板素材はパルプ系。ただし、表面にアルミを特殊加工したものが貼ってあるようだ。ウーファーは165mm径で、素材はミッドと同じもよう。磁石は全てフェライトだ。技術的な特徴としては、バスケットは、無垢のアルミの塊から切削加工されたものであり、大量に使われていそうなマグネットもあって、かなり重たいドライバーユニットであること。
この3ウェイに相応しいアンプとともに自分のクルマにインストールできるオーナーは幸せである。それは、クルマに乗れば、コンサートホールやライヴハウスで味わえる音楽体験にひたれることを意味するのだから。
肌合いのいい響きが耳にスッとしみこむ様子が好ましい
格調の高さを感じさせるサウンドだ
文=藤原陽祐
1997年、イタリア中部のマチェラタの地で産声を上げた高級カーオーディオブランド、クワトロリゴ(QUARTORIGO)。ブランドコンセプトは“for music lovers”。 フラッグシップライン『ラ・プリマ シリーズ』、2ndライン『テンポ シリーズ』の評判の高さもあって、パワーアンプのイメージが強いが、これらのアンプの持ち味を引き出す、こだわりのスピーカーシステムもしっかりとラインナップしている。
その最高峰となるのが、今回、グランプリの栄誉を射止めた『オーパス シリーズ』だ。シリーズには28mmシルクドームトゥイーター、89mmミッドレンジ、165mmミッドウーファーという3ウェイの構成で、パッシブクロスオーバーネットワークは用意されていない。
高剛性とデザイン性を追及したバスケットの造りといい、ペーパーと公表されているものの表面処理が施された独自の振動板といい、見ただけでただ者ではないことが窺い知れる。システムの価格も約150万円。さすがクアトロリゴのフラッグシップモデルだけのことはある。
さてそのサウンドだが、スムーズな空間の拡がりと明確な定位が特徴的だ。しかも骨格のしっかりとした小気味のいいサウンドで、質感のいい低音が空間にグンと張り出す。ジャズ、クラシック、ロックとどんな音源がきても、実に堂々と歌い、その表情に余裕がある。
リンダ・ロンシュタット「Desperado」(96kHz/24ビット/FLAC)の声は口の動きが感じとれるほどニュアンスが豊かで、余韻、気配が生々しい。明快な解像力を持ちながらも、耳障りなピーク感はなく、肌合いのいい響きが耳にスッとしみこむ様子が好ましい。格調の高さを感じさせるサウンドだった。
クアトロリゴ QUARTORIGO
Speaker
OPUS TW+OPUS MID+OPUS MID BASS
¥385,000+¥495,000+¥605,000(各ペア/税込)
SPECIFICATION
◾️ウーファー(OPUS MID BASS)
●ユニットサイズ&タイプ:165mmコーン型
●定格入力:90W
●出力音圧レベル:89dB
●再生周波数帯域:60Hz〜8kHz
●インピーダンス:4Ω
◾️ミッドレンジ(OPUS MID)
●ユニットサイズ&タイプ:89mmコーン型
●定格入力:70W
●出力音圧レベル:89dB
●再生周波数帯域:150Hz〜5kHz
●インピーダンス:4Ω
◾️トゥイーター(OPUS TW)
●ユニットサイズ&タイプ:28mmドーム型
●定格入力:60W
●出力音圧レベル:89dB
●再生周波数帯域:2.8kHz〜20kHz
●インピーダンス:4Ω