画像1: Auto Sound Web Grand Prix 2020:イートンONYXシリーズスピーカーがグランプリを獲得した理由
画像2: Auto Sound Web Grand Prix 2020:イートンONYXシリーズスピーカーがグランプリを獲得した理由

凛として姿形のよい端正なサウンド、陰翳表現にも優れ、熱もある
聴感に自然な音色が高濃度に配合されている魅力的なスピーカー

文=脇森 宏

 イートンは真に高い実力を持つスピーカーメーカーであることを今回、ONIX(オニキス、宝石のメノウ)シリーズを聴いて再認識した。昨年のCOREシリーズも素晴らしい出来映えだったが、なにせブランドの看板を背負うトップモデル。素材をはじめ、あらゆるところに充分なコストを掛けることができる。対してONIXクラスになると、高級機とはいえ何らかの制約を受けるのは必至。音質にも少なからず影響が及ぶことは容易に想像できる。

 ONIXはしかし、そうした推測を下衆の勘繰りとばかりに笑い飛ばすような素晴らしいサウンドを聴かせてくれた。COREシリーズはマグネシウム振動板、対してONIXはトゥイーターがシルクドーム、ミッドとウーファーがリブ付きのペーパーコーンと先祖返りしたかのような素材を用いている。往年の産物と言えなくもないが、イートンはその聴感に自然な音に着目したのだろう。なおフレームはCOREシリーズの流れを汲むアルミダイキャスト、磁石はネオジで、ユニットの後ろ姿はCOREスピーカーによく似ている。

 この温故知新のONIX、凛として姿形のよい端正なサウンド。“紙”から連想しがちな腰の弱さや緩さは微塵もない。それでいて陰翳表現にも優れ、熱もある。ブラインドテストを行うとCOREと間違える人も多いことだろう。ただCOREシリーズの音の随所にちりばめられている、一度聴いたら忘れられなくなる“美味しい毒“の濃度が本機では少し薄めのように感じられる。しかし本機ONiXにはそのかわり、人声の潤いや楽器の豊かな響き等に代表される聴感に自然な音色がより高濃度に配合されている。COREに近いけれど、少し異なる方向性を持つ魅力的なスピーカーである。

イートンらしい生真面目な表現の中に
ほのかな湿り気をともなったヴォーカルを奏でる高性能機

文=長谷川 圭

 28mmのシルクドームトゥイーターと、80mmミッドおよび160mmウーファーはリブ入りのペーパーコーンという構成の3ウェイをマルチアンプドライブで聴いたが、ペーパーコーンと思えないほどのシャープな出音に驚かされた。そもそもどのユニットもかなり広い帯域で使用することができるうえ、音の統一感にも優れているのでバランスもとりやすいと感じる。

 2019年にグランプリを受賞した同ブランドの35周年モデル「CORE3S」で培った技術を踏襲してデザインされたというから、その性能には少なからず期待をしていたのだが、実際に鳴らしてみると期待に違わぬ結果となった。音の姿形をきっちりと描き出すさまは、同ブランドのスピーカーらしく生真面目な表現。いっぽうでヴォーカルなどしなやかさや温もりを感じたい楽曲でも、ほのかな湿り気をともないながら奏でてくれる。

 ただ、ドライブするパワーアンプにはそれなりの能力を要求するタイプのようで、本機のベストフォームを発揮させるためのパワーアンプ選びは充分な検討をしたいところ。それが叶えば、全帯域にエネルギーが乗った旨味たっぷりのサウンドで音楽を楽しむことができるだろう。ちなみにミッドレンジを抜いた2ウェイ構成でも聴いてみたが、思うほど情報量の欠落はなく、この状態でのシステム構成もなかなかいける。良質なユニットであることが2ウェイ状態でも証明できたことを書き添えておく。

画像: イートンらしい生真面目な表現の中に ほのかな湿り気をともなったヴォーカルを奏でる高性能機

イートン ETON
Speaker
ONYX-28/ONYX-80/ONYX-16
¥130,000/¥90,000/¥130,000—(ペア/税別)--

SPECIFICATION
ONYX-28
●型式:ドーム型トゥイーターユニット
●口径:28mm
●定格入力:70W
●最大入力:120W
●出力音圧レベル:87.5dB/m
●再生周波数帯域:1kHz〜25kHz
●インピーダンス:8Ω
●最低共振周波数:620Hz
●推奨クロスオーバー周波数:2ウェイ時・ハイパス2.5kHz〜3kHz以上(-12dB/oct.以上)、3ウェイ時・ハイパス4kHz〜5kHz以上(-12dB/oct.以上)
●埋め込み寸法:φ50×D33mm
●アルミ製据え置きマウント同梱
ONYX-80
●型式:コーン型ミッドレンジユニット
●口径:80mm
●定格入力:25W
●最大入力:40W
●出力音圧レベル:88dB/m
●再生周波数帯域:100Hz〜10kHz
●インピーダンス:4Ω
●最低共振周波数:96Hz
●推奨クロスオーバー周波数:ハイパス300〜400Hz(-12dB/oct.以上)、ローパス3〜4kHz(-12dB/oct.以上)
●埋め込み寸法:φ77×D42mm
●推奨エンクロージュア容積:0.5〜0.9L
ONYX-16
●型式:コーン型ウーファーユニット
●口径:160mm
●定格入力:90W
●最大入力:140W
●出力音圧レベル:86dB/m
●再生周波数帯域:45Hz〜3kHz
●インピーダンス:4Ω
●最低共振周波数:62Hz
●推奨クロスオーバー周波数:2ウェイ時・ローパス2〜3kHz(-12dB/oct.以上)、3ウェイ時・ローパス200〜400Hz(-12dB/oct.以上)
●埋め込み寸法:φ77×D42mm
●推奨エンクロージュア容積:0.5〜0.9L

■問合せ先
株式会社エムズライン
電話番号:048-642-0170
Eメール:offce@ms-line.co.jp

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