画像1: Auto Sound Web Grand Prix 2019:モスコニ PICO 8|12DSPがGrand Prixを獲得した理由
画像2: Auto Sound Web Grand Prix 2019:モスコニ PICO 8|12DSPがGrand Prixを獲得した理由

高音質パワーアンプで評判のモスコニ、汎用DSP内蔵パワーアンプ
再生の難しいクラシックでも音楽表現能力を遺憾なく発揮

文=黛 健司

 あらゆるメーカーのヘッドユニットやAVナビ、はたまた純正カーオーディオとでも接続可能という、汎用のデジタルシグナルプロセッサーの嚆矢は、2006年に登場したロックフォード・フォズゲートの3SIXTYだろう。その後、海外メーカーからパワーアンプまで内蔵した製品が登場し、いまではほとんどのブランドからデジタルシグナルプロセッサー単体やパワーアンプ内蔵の製品がリリースされるようになったが、本機もそのひとつだ。モスコニは高音質パワーアンプで評判のイタリアのブランドで、2008年にイヴァン・モスコニによって設立され、経験豊富なデザイナーとエンジニアが結集した技術集団だ。高音質でインテリジェントな製品を提供するために、絶え間ない新技術の追求に専念しているという。近年、同社の製品の中でデジタルシグナルプロセッサーは重要な位置を占めるようになり、DSP単体製品とパワーアンプ内蔵製品が数多くラインナップされている。

 中でもPICO8|12DSPは、ヘッドユニットとの組合せのみならず、純正オーディオとの組合せも重視した製品で、入力はライン出力用とスピーカー出力用の両者を装備する。プリアンプ機能とクロスオーバー、タイムアライメント、イコライザー機能を有し、パワーアンプは60W出力のものが8ch分内蔵される。別売のDSPコントローラーは、イタリアンブランドの製品らしく洒落たデザインで使い勝手もよい。

 そのサウンドをひと言にして言えば「本格派」。音場の拡がり、空間の透明感が素晴らしく、ジャズのアコースティックベースは引き締まった音で、弦のうなりが生々しい。ヴォーカルはナチュラルで、ミュージシャンの表現を細大洩らさず再現してくれるクォリティを備えている。再生の難しいクラシックのオーケストラ曲でも、本機の音楽表現能力が遺憾なく発揮され、聴き応え充分なサウンドで聴く者を魅了する。さすが、高音質パワーアンプで評判をとったブランドだけのことはある!

純正ヘッドユニットのままでも音質向上が図れる
音の瑞々しさ、エネルギー感がしっかり感じられる

文=石田 功

 このモスコニPICO8|12DSPを評価した理由は、今のカーオーディオの現状が大きく影響している。今、カーオーディオは大きく変わろうとしている。平たく言うと、ヘッドユニットが替えづらくなっているという状況がある。そんな中で少しでも音を良くしたいと考えたら、手っ取り早いのはアンプ内蔵DSP。ヘッドユニットを変えずに、スピーカー出力を利用してこのPICO8|12DSPを追加して綿密にチューニングを行えば、純正ヘッドユニットのままでも、かなりの音質向上を図れると思うからだ。

 このモデルは8chパワーアンプを内蔵するなどオーバースペックな面も感じるのだが、カーオーディオ・マニアならともかく、普通に音質向上を図ろうとする人なら純正で付いているリアスピーカーが鳴らなくなるのは許せないと思うだろうから、8chアンプを内蔵しているのにも意味があると思える。そのため15万5000円という、普通の人は手を出しづらい価格設定になってしまっている点はすこし残念ではあるが……。同じく受賞を果たしたマッチでは、内蔵アンプを4chでいいと割り切り価格を10万円以内に抑えおり評価できるが、どちらを高評価とするかは人それぞれだろう。

 音もまともだ。同社のコンパクトデジタルアンプPICO2(ASWGP2015を受賞)で感じた音の瑞々しさ、エネルギー感がしっかり感じられる。ハイレゾ再生にも対応。デジタル入力を装備し、96kHz/24bitまでならネイティブで再生できるから、対応DAPを用意すれば、ハイレゾ音源の再生も可能だ。

 サイズはW150×H46×D115mmとPICO2よりも大きくなっているし(PICO2はW87×H30×D80mm)、サイドに冷却用のフィンを備えたので、見た目も無骨になった。だからPICO2ほどの驚きはなかった。手軽なシステムアップのためのアイテムと考えたらプレーヤーも内蔵して欲しかったなど、いろいろと要望は出てくるが、先述したカーオーディオの形が大きく変化してきているいま、過渡的な製品としては充分有りだと思う。

SPECIFICATION
●入力:デジタル3系統(光TOSまたはEX-CARD2系統切替えS/PDIF最大96kHz/24bit)、アナログ4チャンネル(ハイレベル/ラインレベル切替え)
●出力:スピーカー8チャンネル、ライン4チャンネル、デジタル1系統(光TOS)
●定格出力:60W×8(4Ω時)
●入力感度:2〜10V
●デジタルイコライザー:入力・9バンドパラメトリックイコライザー(-12〜+12dB)、入力・30バンドパラメトリックイコライザー(-12〜+12dB)
●フィルター:フルレンジ、ハイパス、ローパス(リンクウィッツ/チェビチェフ/ヴァリアブルQ[スロープ・12dB/oct.]、バターワース/ベッセル/[6、12dB/oct.]、ハイシェルフ/ローシェルフ、ノッチフィルター)、位相切換え(0度/180度)機能あり
●タイムディレイ:入力・0~3ms(ステップ・0.02ms)、出力・0~15ms(ステップ・0.02ms)
●PC接続:USB(2.0)、マイクロソフトWindowsXP、WindowsVista、Windows7、Windows8、Windows10対応
●調整用PCソフトウェア:MOSCONI Gladen GUI(ウェブよりダウンロード)
●D/A、A/D変換:24ビット
●DSP:64bit、295MHz(動作サンプルレート96kHz/24bit)
●周波数特性:20Hz~20kHz
●入力インピーダンス:47Ω〜15kΩ
●外形寸法:W150×H46×D115mm
●重量:800g

問合せ先
株式会社時風プレイス
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