画像1: Auto Sound Web Gran Prix 2019:ケンウッド彩速ナビMDV-M906HDLがGrand Prixを獲得した理由
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抜きん出たハイレゾ対応力を備えた高音質ナビ
DSD256の再生音は、DSDの優位性が充分感じられる

文=黛 健司

 本機の最大の特徴は、カーオーディオ機器としては希に見る「ハイレゾ音源」への対応能力の高さだろう。その高音質がマニアの間で注目されているDSD音源はDSD256(11.2MHz)まで対応し(ネイティブ再生ではなくPCMに変換しての再生だが)、WAVやFLACのPCM音源に関しては192kHz/24bitまで再生できるなど、その能力はAVナビの中でも抜きん出ている。さらに、話題のMQA-CD再生にも対応。CD規格の中に収められたハイレゾ音源を聴くことができる。また、Bluetooth機器との接続も、高音質なLDACコーデックに対応していて、これも注目ポイントだろう。

 もちろん基本性能の追求にも抜かりはない。独自の高音質化技術「K2テクノロジー」を搭載。アナログ信号をデジタル信号へ変換する際にカットされた信号を「ビット拡張」、「周波数帯域拡張」、「波形補正」の各処理をおこない、欠落した情報を補間し高音質を実現している。また、ハイレゾ音源はもちろんのこと、CDやラジオなどのアナログ音源も、192kHz/32bitのデジタルデータにアップコンバートしてからアナログ信号に変換するため、全てのソースが「ハイレゾ音質」で楽しめる。

 ハイレゾ本来の「音の器」の大きさを十全に表現できているカーオーディオ機器はほんとうに少ないと思う。それらしく演出された「ハイレゾっぽい音」を聴かせるに過ぎない機器のいかに多いことか。しかし本機で聴くDSD256の再生音は、DSDの優位性が充分感じられるものだった。ステレオサウンドの「ハイレゾ・リファレンス・チェックディスク」は、同じ演奏を異なるフォーマットとレゾリューションで録音した音源で構成されているが、この音源のPCM192kHz/24bitとDSD256を聴き比べてみると、空間の広がりや、楽器の微細なディテールの再現などにおいて、あきらかにDSDの優位性が聴き取れる。本機の基本性能の高さを物語るものだろう。

MQA-CDにも対応した彩速ナビ最上級機
透明度高く仄かな暖かさと丸みを帯びた、気持ち良く雰囲気豊かなサウンド

文=脇森 宏

 ケンウッド“彩速”ナビの最上位Mシリーズに設定されている9型大画面モデル。WVGA比約2.4倍の解像度を有する広視野角HDパネルを採用、スマホ感覚で軽快に使えるハイレスポンスな操作系と相俟って“彩速”の魅力をさらに高めている。

 こうした目に見え体感できるビジュアルや操作性の陰に隠れがちだが、従来から同ブランドのAVナビはハイレゾ音源への積極的な対応を軸に、サウンド面でも着実に進化を遂げてきた。本機においてはカーオーディオで唯一、高音質のMQA-CDにも対応しているのをはじめ、デジタル、アナログを問わずすべてのソースを192kHz/32bitのデジタルデータに変換、AKM製の32bitプレミアムD/AコンバーターやDSP、低位相ノイズマスタークロックなど高性能素子の投入によって、これまでにも増して高い水準のサウンドを追求。非ハイレゾ音源のビットおよび周波数帯域の拡大や波形補正を行う独自のK2テクノロジーはもちろん搭載されている。

 以前から、同ブランドのAVナビは、聴感に自然なバランスの良いサウンドを持っていたが、本機は基本的な方向性は同じながら、クォリティが一段と高く音の艶と伸びやかさが増した印象。そのためヴォーカルには厚みがあり、高域は繊細でありながら安定感高く確かな聴き応えが得られる。透明度高く仄かな暖かさと丸みを帯びた、気持ち良く雰囲気豊かなサウンドである。上質なBGMとして音楽を楽しめるのはもちろんだが、音と対峙しながら聴くというマニアックな楽しみ方もできそうだ。

 ハイレゾ音源では響きの豊かさがとりわけ印象に残った。自然な空間表現と木目細かく端正な姿形の音が繰り広げるストレスフリーのサウンド。これまでのハイレゾ対応の取り組みが結実したものといえるだろう。CD音源でのK2テクノロジーの効果も大きい。ディスクにもよるが一様に音の深みとリアリティが高まり、説得力あるサウンドにシフトする。音質向上によって、より実力が発揮できるようになったという印象だ。

 操作性の良さも特筆もの。待たされるという感覚は微塵もない。これは車内においてはとても重要なこと。使い勝手からサウンドまで、幅広いユーザーに安心して薦められる製品に仕上がっている。

ケンウッド kenwood
MDV-M906HDL
オープン価格

SPECIFICATION
●AV一体型メモリーナビゲーション
●画面:9V型HD静電容量方式タッチパネル
●内蔵パワーアンプ最大出力:50W×4
●再生メディア(フォーマット):地上デジタルTV、DVDビデオ、CD(MP3、AAC、WMA、WAV、FLAC、Vorbis、MQA対応・最大PCM192kHz/24bit)、Bluetooth(音声コーデック・LDAC/SBC/AAC)、USB(USB1.1/2.0HighSpeed、最大供給電流・1A、FAT16/FAT32/exFAT、MP3、AAC、WMA、WAV、FLAC、Vorbis、MQA、DSD対応・最大PCM192kHz/24bit、DSD最大11.2MHz/1bit)、SD(最大2TB対応、MP3、AAC、WMA、WAV、FLAC、Vorbis、MQA、DSD対応・最大PCM192kHz/24bit、DSD最大11.2MHz/1bit)、SMART USEN(スマートフォンアプリ経由)、
■DSP・スタンダード時
●デジタルイコライザー:13バンドグラフィックイコライザー
●ホールシミュレーション:プリセット・6モード(反射音のレベル3段階、ディレイタイム3段階調整可)
●ミュージックバスブースト:OFF〜3段階
●ミュージックラウドネス:OFF〜2段階
●DRIVE Equalizer+:OFF〜3段階
●K2テクノロジー機能
●リアライザー:OFF〜3段階
●サウンドライザー:OFF〜3段階
■DSP・プロモードEQ時
●ピーキングフィルター
●ハイパスフィルター、ハイシェルビングフィルター、ローシェルビングフィルター、ローパスフィルター
●デジタルイコライザー:9バンド+2バンド+2バンド+1バンドパラメトリックイコライザー
●外形寸法:W234×H134×D190mm(本体)、W178×H100×D160mm(埋込寸法)
●重量:2.8kg
●付属品:GPSアンテナ/地上デジタルTV放送専用フィルムアンテナ/ハンズフリー通話用マイク/取付部品一式

■問合せ先
JVCケンウッドカスタマーサポートセンター
電話番号
 0120-2727-87(固定電話からはフリーダイヤル)
 0570-010-114(携帯電話・PHSからはナビダイヤル)
 045-450-8950(一部のIP電話などフリーダイヤル、ナビダイヤルがご利用できない場合)
メール サイトメール

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