明日6月29日(土)と30日(日)の両日に、東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催されるOTOTEN AUDIO&HOME THEATER FESTIVAL 2019(音展)。オートサウンドウェブでは音展に出展されるカーオーディオについて、その見どころや聴きどころを先行取材した。ここではアルパインが展示する車両についてご紹介しよう。
車種専用パッケージデザインが好評のアルパイン。デモカーとして用意するのはトヨタ アルファードだ。大画面AVナビの先駆けビッグXシリーズは、同ブランドの代名詞ともいえる存在となった。ラインナップは最大サイズが11インチとなり、センターコンソールにビルトインされるタイプと、フローティングタイプをそろえるなど充実度を高めている。
ビッグX11と3ウェイプレミアムサウンドパッケージスピーカー
がつくる車種専用カーオーディオ
デモカーのアルファードに搭載するのはビッグX11のアルファード専用モデルEX11Z-AL。11インチ画面をセンターコンソールに埋め込み、専用デザインのハードキーを備えた機種である。車種専用モデルなので、クルマのイグニッションONとともに画面表示される車種名と車両フロントマスクのイメージ画像があるほか、サウンドチューニングにおいてもDSPの調整パラメータがあらかじめ設定されているといった特長を備えている。
フロントスピーカーのX3-710S-LUP-AVは、今春にリリースされたばかりのアルファード/ヴェルファイア専用モデル。ドアマウントされるウーファーは180×250mmの楕円コーンタイプで、車両純正装着ユニットとカプラーオンで交換できるカスタムフィットタイプ。組み合わされるトゥイーターとエクステンドトゥイーターはリフトアップ機構を備えた25mmドーム型と聴取位置に対峙するような角度で固定される16mmドームタイプが採用されている。このトゥイーター部は、ダッシュボード両端の純正トゥイーターが収められている部分に、ビルトインできるよう設計されている。
音響プレートのアクションが見どころの
リフトアップトゥイーター
見どころのひとつといえるのが、リフトアップスピーカーだろう。25mmのドーム型トゥイーターユニットは、ダイアフラムにグラファイトを用いており、発売以来好評を博しているXプレミアムサウンドスピーカーシリーズを踏襲した仕様である。リフトアップ機構は、上向きのトゥイーターの前面に円形のアクティブトップカバーを配置し、車両のイグニッションON/OFFに連動してせり上がったり沈胴したりする。またアクティブトップカバーは、音響プレートとして設計されており、サウンドステージの創造に大いに寄与する。
見た目には、高級感を演出するギミックにも感じられるのだが、これがなかなかなどうして、音響的な役割として立派に機能している。音響プレートとして水平方向への音の拡散をうまくコントロールできているのに加え、トップカバーが近接する車のフロントガラスへの音の反射を防いで不要な乱反射や定在波を抑制している。そのため、デモカーのアルファードには、ごく自然にサウンドステージが目の前に出現し、素直な周波数バランスを聴かせる。
ドアのウーファーが送り出してくる中低音は量感充分でトゥイーターとのつながりも良好。しかし万全を期すべく、最低域をパワードサブウーファーのSWE-2200に任せている。本機は200mmサブウーファーユニットを2本内蔵した大容量エンクロージュアと、コンパクトな専用パワーアンプからなるモデルで、デモカーには車両の最後部、リアゲートそばに配置する。
聴きどころは車種ごとに専用設計されたコンポーネントが奏でる音
車種専用に設計されたスピーカーとAVナビのサウンドチューニングは、全体域にわたって滑らかなつながりと良好なバランスを生み出しており、デモカーのアルファードの聴きどころとしてあげたいポイント。車両への装着に関しても、インテリアパーツなどの加工をしないため、とにかくクルマに優しいカーオーディオなのだ。
デモンストレーションは、スマホの音楽サブスクリプションアプリを音源としてBuletooth接続で来場者に聴かせるようなので、同様の状態で試聴もしたが、普通の音楽ファンならば充分と感じられるクォリティが楽しめる。さらに音を突き詰めて楽しみたいカーオーディオファンに向けては、アステル&ケルンのデジタルオーディオプレーヤーでハイレゾファイルを再生して聴ける用意もあるので、時間が許す場合にはこちらも体験してみて欲しい。
この1台のサウンドを体験すれば、車種専用にデザインされたカーオーディオコンポーネントの実力を堪能できることだろう。
<photo:Kei Hasegawa>