ニーズを考えたリーズナブルな設計のDSP
96/24にも対応する高音質機
文=石田功
兄弟ブランド、ブラックスのハイエンド・プロセッサーはなかなか出てこないが、いまやアンプ内蔵機も含めて数多くのデジタルプロセッサーをラインナップするヘリックス/ブラックスのオーディオテック・フィッシャー社。今回エントリーしたのは同社プロセッサーでは最もリーズナブルな、4チャンネル入力/6チャンネル出力のDSP MINIだ。
人気モデルのDSP PROやDSP.2は8チャンネルプロセッサーだが、3ウェイシステムのユーザーは、カーオーディオに凝ったユーザー以外はそれほど多くはないはず。2ウェイ+サブウーファーのシステムにしても6チャンネル出力があれば十分で、より幅広い人に向けた商品と言えるだろう。それでも動作サンプリングレートはDSP PRO同様、96kHz/24bitのハイレゾに対応して、高音質は譲っていない。別売の拡張カードは、コンパクトなボディゆえに光入力やAUXの設定はないもののUSBやブルートゥースには対応。ニーズを考えた設計がうれしい。
車載DSPで一頭地を抜く存在のヘリックス
空間の広さや特有のアンビエンスが聴き取れ、カーオーディオの新時代を実感
文=黛健司
ヘリックスはデジタルシグナルプロセッサーでの経験が長く、今回の試聴でも、同種製品の中では一頭地を抜く存在と改めて実感した。DSP MINIは6ch出力を有するコンパクトサイズ機で、取り付けが容易なことも大きなメリットと感じている。入力はハイレベル(スピーカー出力)4ch、RCAライン入力4chと光デジタル入力(96KHz/24bitまで対応)を装備する。内部処理は96KHz/24bitでおこなわれ、96KHz/24bitまでのハイレゾ音源ならネイティブ再生が可能なことが注目ポイントだ。最近のカーオーディオイベントなどを取材しても、プロセッサーにヘリックスを使い、ポータブルデジタルオーディオプレーヤーでハイレゾ音源を楽しんでいるユーザーが多い。しかもその音を聴かせてもらうと、96KHz/24bitの限界はあるものの、CDフォーマットでは達成できない高音質を確実にものにしていることに感心する。
試しにクラシックのライブレコーディングを聴いてみたが、演奏会場の空間の広さや特有のアンビエンスが確かに聴き取れ、カーオーディオの新時代を実感できた。
ヘリックス helix
Digital Signal Processor
DSP-MINI
¥70,000(税別)
SPECIFICATION
●入力:デジタル1系統(TOS、S/PDIF最大96kHz/24bit)、アナログハイレベル4チャンネル、アナログライン4チャンネル
●出力:アナログ6チャンネル
●デジタルイコライザー:30バンド(1/3オクターブ<1/24オクターブ微調整付>)パラメトリックイコライザー(-15〜+6dB、Q・0.5〜15<0.5ステップ>)
●フィルター:
ハイパス/ローパス・カットオフ周波数20Hz~20kHz(1/52オクターブステップ)
ハイパス(ウーファー選択ch)/ローパス(ウーファー選択ch)・カットオフ周波数20~200Hz(1Hzステップ)
肩特性[スロープ]・リンクウィッツ[12、24、36dB/oct.]、バターワース[6、12、18、24、36、42dB/oct.]、ベッセル[6、12、18、24、36、42dB/oct.]、チェビシェフ[6、12、18、24、36、42dB/oct.]、セルフディファイン[12dB/oct.](Q0.5〜2.1・0.1ステップ)
位相調整・0度/180度(Low/Full/etc)、0〜348.75度<11.25度ステップ(31ポイント)>
●タイムディレイ:0~354.17cm(ステップ・0.01ms/3.5mm)
●PC接続:USB(1.1、2.0、3.0)、マイクロソフトWindows(32/64bit)・Windows7、Windows8、Windows10対応
●D/A、A/D変換:24ビット(AK4627)
●周波数特性:10Hz~44kHz
●SN比:アナログ入力・103dB以上、デジタル入力・106dB以上
●入力感度:ライン入力・2~4V、ハイレベル入力・5~11V
●外形寸法:W177×H40×D104mm
●重量:0.45kg
●備考:USBケーブル1.8m付属
■問合せ先:
株式会社エムズライン
電話番号:048-642-0170
Eメール:office@ms-line.co.jp