現在幕張メッセで開催中の、「CEATEC 2026」。その会場でオーディオビジュアルに関連しているかも(?)と、編集部が注目した展示についてご紹介したい。


「上水道漏水検知システム」のデモでは、マンホールと水道管に見立てた模型を使い、漏水場所(振動源)を動かしても、すぐに測定アプリに反映できることをアピールしていた
そのひとつがシャープブースで、今年のテーマは「社会レジリエンス」とのこと。そこには、近年の気候変動やインフラの老朽化といった社会課題にテクノロジーでどう対応していくかという提案が多く並んでいる。
中には一見無関係に見えるが、実はオーディオビジュアルの技術が応用されている提案があった。それが「上水道漏水検知システム」で、地中に埋められている水道管の破損・漏水場所を検知するシステムという。
これは、高感度振動センサーを搭載したIoTデバイスを水道管の両端にあるマンホールに取り付けて、それぞれで水の流れる振動を検知し、異常な振動がある場合にその位置を推測できるというもの。その推測の際に、テレビで培われた技術が使われている。
というのもシャープでは、22.2chなどの立体音響をテレビの内蔵スピーカーでバーチャル再生する際に、その位置に音像を定位させるにはスピーカーをどう駆動したらいいかという研究を行ってきたそうだ。今回はそれを逆に使って、こういった振動(音)がセンサー位置で捉えられた場合にはここに音源があるはずだと推測しているわけだ。
会場のデモではかなりの精度で振動源(漏水)位置を検出できていたが、実際にはマンホールの間隔もばらばらで、埋まっている深さも異なる。さらに水道管も金属製なのか、樹脂製なのかなど種類も多いので、正確な推測を行うのは簡単ではない。それらについては、今後さらに細かい検証を行っていく予定とのことだ。

他にも、衛星通信システムと小型キャリーケースに一体収納したローカル5G基地局・コア装置も展示されていた。これらを使えば、比較的手軽に高速・高セキュリティな無線通信環境を構築できるとのことで、災害発生時などでの活用が期待されている。


上の写真が、マイク内蔵の音源分離デバイス。下は様々な音が混ざった音源から、必要なものを取り出すデモ
三菱ブースで注目されていたのは、「タスク汎用音源分離技術」のデモだった。音源分離については既に様々な技術が提案されているが、今回の提案ではデバイスに内蔵されたマイクで現場の音を拾い、それを必要な要素に分離できるのが特長という。しかも分離する音源の数には制限がなく(どの音を分離するかは指定が必要)、ほぼリアルタイムで処理が可能など、優れた特長を備えている模様だ。
同社では製造工場や公共空間などの外来ノイズの多い環境で必要な音を取り出すことで、AIによる異常検知や音声操作の効率化をはかっていけると提案している。

写真上は従来の網膜投写用レンズを搭載した眼鏡で、下がメタオプティクスミラーを搭載した試作機

レーザー発光源もコンパクトで、眼鏡のつる部分に収納可能
TDKブースでは、「スマートグラス用ディスプレイ向けメタオプティクスミラー」が注目を集め、体験希望者が長い列を作っていた。
メタオプティクスミラーとは、ナノサイズの反射体で実現した、レンズに埋め込み可能な超薄型ミラー(厚さ150nm)で、透過率も80%をクリアーしている。これをレンズに採用することで一般的な眼鏡と変わらない外観を実現できるという。
今回はメタオプティクスミラーにQDレーザーと協業した光学エンジンを組み合わせて、情報を網膜に直接投写できる次世代のスマートグラスインターフェイスとして提案している。なおこのシステムでは、光干渉(レンズに虹色のノイズが出る)や対面者から映像が見えるといった問題も解消できるそうだ。
(取材・文・撮影:泉 哲也)


