10月13日〜16日の4日間、千葉市美浜区の幕張メッセで、「CEATEC 2026」が開催されている。CEATECは2000年にエレクトロニクスショーとCOM JAPANのふたつが統合して誕生した、デジタルイノベーションの総合展だ。今回のテーマは「Transformation-企業が、産業が、そして社会が変わる-」だ。
StereoSound ONLINEでは、初日(14日)に会場に足を運び、展示内容を取材してきた。CEATECは近年、家電製品といったハードウェアから、IT関連技術やソフトウェアの展示に主体が移行しており、その意味では以前のエレクトロニクスショーの時代とは大きく変化してきている。今回もその傾向は顕著で、テレビやオーディオ機器の展示は残念ながらほぼ見かけなかった。

ひときわ目立っていた富士通ブース
そんな中で映画関連の要素を感じられたのは、HALL6の富士通ブースだった。「ゴジラ来襲を想定した災害対策の検討を支援するデジタルリハーサル体験」とのことで、ゴジラが横浜に上陸し、川崎駅近くで開催中のフェス会場に向かって進撃していくという状況下で、どのように避難すべきかを富士通のSocial Digital Twin技術を使ってシミュレーションするものだ。
Social Digital Twinとは、人々の動きや経済活動をデジタル空間に再現し、行動特性に基づく未来の行動や起こり得るリスクを可視化して、施策の手段や効果をシミュレーションするものという。

Social Digital Twinは、現実世界の様々な情報をデジタル世界に再現し、様々なシミュレーションを行う技術だ

ゴジラの進行ルートも予測
今回は上記の通り多くの人が集まっている場所にゴジラが向かっているという状況を設定、到着予測の1時間以内にどうやって避難を完了させるかを、参加者が選んだ試作を使ってシミュレーションできるようになっていた。
Social Digital Twinによると、何も試作を行わない状態では全員の避難が終わるまでに75分必要で、特に地の利のないフェス参加者や海外からの旅行者が犠牲になる可能性があるという。そこに対し、参加者が用意された5種類の試作の中から効果があると思われるものを選んで、必要な場所に投入することで、全員が無事避難できる方法を探っていくというものだ。

5種類の試作が提案される

施策の効果とゴジラの進撃もグラフィックで表示
体験ブースは3方向をLEDウォールに囲まれており、そこにゴジラの姿や移動予測の地図、提案される試作の内容が表示されている。参加者はそれらの情報を確認しながら、試作を選んでいくことになる。
今回、そのシミュレーション体験に参加させてもらった。体験自体は10分ほどだが、体験スペースの床もゴジラの足音や咆哮にあわせて振動するので、思った以上にリアルな体験と感じる。シミュレーションも試作を選ぶと数分以内に結果を表示してくれて、その処理速度にも、グラフィックへの反映の早さにも驚いた。
ちなみに体験ブースの横には、街を破壊するゴジラの巨大ジオラマが展示されている。おそらく『ゴジラ-1.0』バージョンと思われ、間近で見るその存在感、重量感はなかなかのもの。破壊されたビルの作り込みなども興味深く、特撮好きとしてはこちらを眺めるだけでも充分楽しめた。

ゴジラの巨大ジオラマは高さ2mを超える

「GODZILLA in Motion」のスキャンの様子
またその隣では、「人の動きをデータ化する骨格認識AIによる体験展示 GODZILLA in Motion」という展示も行われていた。こちらは富士通が開発した骨格認識AIで参加者の動きをリアルタイムにスキャン、その動きをゴジラのグラフィックで再現するものだ。
ここで特徴的なのは、参加者はセンサーをつける必要がないこと。スキャンエリアの4隅に取り付けられたカメラが人物を検知し、骨格を類推しているのだろう。スキャンからゴジラのグラフィックを生成するまでの時間も1分弱とのことで、その処理の速さも話題になっていた。

NECの対話型AIとVRを使った展示
HALL8のNECブースでは、対話型AIとVRを使った技術継承の提案が行われていた。VRグラスを使ったバーチャルトレーニングは既に多くの企業でも導入が進んでいるが、実際にはトレーニングを指導する人物が必要で、特に熟練した指導者の人数は少ないので、教える側の負担も大きかったという。
今回の提案は、指導者の経験や知識を集めたFAQデータベースを作成し、トレーニングを受ける側からの質問についてそのデータベースを参照して答えることで、指導者がいなくてもトレーニングが進められるようにしようというものだ。
ここで重要なのが、データベースを参照しても質問の仕方によって答が変わってしまう可能性があることだった。そこでNECでは質問を整理する対話型AIを導入、質問のポイントを整理して常に正しい回答が導き出されるようになったという。
このシステムは、製造現場というよりは(生産工場などは自動化しやすいので)、サポートや補修のジャンルで有効とかで、既に幾つかの導入例もあるそうだ。
(取材・文・撮影:泉 哲也)


