“いじめ”“SNSによる風評被害”“地方コミュニティの閉鎖性”など、世界中で問題視されている社会的テーマを題材にした完全オリジナル脚本に、新進気鋭のキャスト陣が挑む映画『シーシュポスたちのまなざし』が、6月5日(金)よりシネマート新宿ほかで全国公開中。
全国公開の翌日6月6日(土)にシネマート新宿にて、主演の豊田ルナ、共演の平野宏周、細田善彦、根矢涼香、そして井上博貴監督らが登壇する公開記念舞台挨拶が行なわれた。
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映画『シーシュポスたちのまなざし』公開記念舞台挨拶が6月6日、東京・シネマート新宿で行なわれ、主演の豊田ルナ、共演の平野宏周、細田善彦、根矢涼香、メガホンをとった井上博貴監督が登壇した。
本作は、“いじめ”“SNSによる風評被害”“地方コミュニティの閉鎖性”など、世界中で問題視されている社会的テーマを題材にした完全オリジナル脚本に、新進気鋭のキャスト陣が挑む本格青春サスペンス。若者たちが“噂と正義”の狭間でもがきながら、見えない真実を追い求める姿を、POV(主観映像)的な臨場感と繊細な心理描写で描き出す。

完成した本作を見た感想を求められると、ドキュメンタリー作品の監督を務める主人公の黒田真優役を演じた豊田は「この作品は2年前に撮影をしたので、完成したものを見た時は、無事に完成してすごく嬉しいなという気持ちと、普通の映画とはちょっと違って、ドキュメンタリーっぽさの残る形で構成されているので、よりリアリティが伝わりやすい感じに仕上がっているなと思って、それがすごく嬉しかったです」と声を弾ませ、「内容も、自分が見ているものだけが真実じゃないというか、いろいろな人のいろいろな見方があるっていうのを感じられて、そこも考えさせられるなと思いました」と吐露した。

黒田とともにドキュメンタリー作品を撮影するカメラマンの原口健斗役を演じた平野は「インタビューを通して話が進んでいくので、台本とか撮影中に感じたこと以外でも、“実際、これってどうなるんだろう?”っていうのを、映像を見ながら感じたので、インタビューを見ながらどんどん話が展開していくっていうのは、すごく面白いなって思いました」と声を弾ませた。

男子生徒への不祥事を起こしたとされる教諭の新田真守役を演じた細田は「脚本の素晴らしいところが、2年前にSNSに対して書いた脚本ですけど、今も同じように問題が起きていて、それが井上さんの先見の明といいますか、この脚本の素晴らしいところだなと改めて思いましたし、やっぱり2年前に撮っているので、2人(豊田と平野)が若くてかわいかったですね(笑)」とコメントして会場の笑いを誘い、平野が細田の髪色が金髪に変わっていることを指摘して会場を沸かすと、細田は「それは突っ込まない約束でしょ(笑)。話が違う方向に行っちゃうから」と苦笑した。

そして、騒動時の学校側の内情を暴露する教諭・佐伯千聖役を演じた根矢は「私の撮影は1日だけだったんですけど、人の話を組み合わせて事実を描いていく中で、自分がパズルのピースの1つになっていくので、完成した映画を見て“こうなっていったんだ”という感動がありました」と語り、「脚本の文字だけじゃわからない輪郭が、映画の中ではっきりとしていったのが面白い発見でした。ただの劇映画では感じられない驚きというか感覚でしたね」と目を輝かせた。

また、本作で特に描きたかったことを聞かれた井上監督は「SNSとかでフェイクニュースとか、片方の情報だけでイメージが定着しちゃって、そこから抜け出せない人もいっぱいいて、そういう人たちの孤独感というか、そういうものプラス、その人に関わっていた人が、どういう葛藤があるのかなっていうのを描けたらなと思って、この作品のプロデューサーと考えました」と答え、「褒め言葉の返しじゃないんですけど、細田君がみんなと対峙している後ろ姿を撮った時に、孤独な佇まいを感じました」と称賛。加えて、井上監督は「皆さんも自分事として捉えられるというか、有名人じゃなく一般の人でもSNSにアップされて、名指しされた途端にイメージが定着しちゃうケースもいろいろありますから、そういうところも意識してやりました」と明かした。

改めて、最初に脚本を読んだ際の感想を尋ねられると、豊田は「難しいなって単純に思ったんですけど(笑)、セリフもすごく多くて、“これ全部覚えきれるのかな”って不安に思ったりもしたんですけど、あまり見たことのない構成で、インタビューを軸に形成されていくというのが新しくて、私自身も真優ちゃんのキャラクターはあまりやったことのない役柄でもあったので、挑戦してみたいなと思ってお話を受けさせていただきました」と笑顔で語り、平野は「ストーリーがどう進んでいくんだろうっていうのがすごく気になりましたし、僕自身、何が正解で、マルかバツか答えを知りたくなる人なので、“これどっちなの?”みたいな感じで読ませていただいたことを覚えていますね」と回顧した。
さらに、自身の役を演じる上で意識した点を聞かれると、豊田は「自分が思っているより子どもっぽくいようと思いました。真面目で、ちょっとプライドもあるのかなという感じがして、起こることすべて、言われることすべて、特に平野さん演じる原口から言われることは、10言われるうち8ぐらいすごくムカついていると思っていて(笑)、嫌なところを突かれるみたいな瞬間が多いし、インタビュー中も知りたくないこととか、知ってほしくないことにも対面しなきゃいけない役でもあったので、そういう感情を全部素直に受け止められたらいいなと思って、それはちょっと意識していたと思います」と告白。
加えて、豊田は「なので、作中で笑ったりしてなくて、嬉しいことがあまり起こらないというか、どんどん葛藤が強くなっていくという感じだったので、見ている方は“全然笑わない”って思われたかもしれないですけど(笑)、考えていることとか、不安とか葛藤とかが伝わっていればいいなと思いました」と語った。
平野は「僕も、ルナちゃんと一緒で、自分より子どもっぽくいようと思ったんですけど、自分の大学生時代と比べて、ドキュメンタリー制作をするサークルに入るってことは、たぶん賢い子なんだろうなというのは意識していました。だから、自分が思っているより子どもっぽいけど、ちょっと賢くいないといけないなっていうのと、ちょっと生意気な感じは出したいなって思っていました」と打ち明け、「サークルのみんなの中で実年齢は僕が1番高かったので、それが映像にも出てくれれば、原口の芯が据わったところや、本当はみんなを引っ張っていたので、最初は嫌な感じだなと思われるかもしれないんですけど、終わってみたら原口がずっと指針になっていたんじゃないかというのを出せればいいなと思ってやっていました」とにっこり。
細田は「井上さんが書いてくださった脚本が本当に素晴らしくて、素敵だなってずっと思っていて、撮影に参加させていただく中で、新田というキャラクターの発言がすべて本当のことを言っているのか、本気で言っているのかというのが見えなくてもいいのかなあ、なんて思いながら取り組んでいましたし、ここで僕が新田について話してしまうと、(観客の)皆さんが今日、感じてくださった新田の部分が薄れる気がするので、皆さんが感じたのが新田だと僕は思っています」と言葉に力を込め、根矢は「日常、生きていてもそうですけれど、社会に出てからは余計、本当のことを言うって相当勇気がいるじゃないですか。しかも、自分の立場が危うくなるかもしれない、それで誰かを傷つけ得るかもしれないっていう中で、取材をしている大学生チームに人生を動かされた1人だから、彼らを動かそうというよりも、このままここにいる自分は嫌だっていうものが、きっと佐伯の中であって、一歩踏み出させられたのかなと思うので、佐伯先生という人物自体は彼らにめちゃくちゃ感謝しているでしょうし、真実を言うことができたことで少し自信にもなるというか、抗いみたいなものが少しでも出たらいいなと思って演じました」と熱く語りつつ、「でもカメラで囲まれるとめちゃくちゃ緊張するんですよね(笑)」と吐露。
これに豊田は「佐伯先生とのインタビューシーンはすごく覚えていて、物語の核心というか、事件の核心に迫るようなことを聞くところでもあったので、本当にドキドキして、台本はあるんですけど、どんな言葉が先生の口から語られるのかドキドキして、インタビューシーンは印象的な思い出があるんですけど、佐伯先生とのシーンが1番ドキドキしていたなっていうのはあります」と振り返った。
そして、SNSやネット上の情報と触れる際に気をつけていることを聞かれると、豊田は「昨今、いろんなニュースが出てきますし、いろんな媒体だったり、いろんな人から語られるものがたくさんあって、その中には真実もあるし、嘘もあるかもしれないし、わからないので、自分で調べる時はなるべくいろんなところを見るようにはしますし、私もSNS上で発信する立場でもあるので、世界中に発信されるっていうことを常に頭に置いて、誤解を生まないように、何度も、何度も(チェックして)、一言とかの投稿でも悩んで、“ここの接続詞が違うとどうかな?”とか(笑)、けっこう悩みながらやっているんですけど、この映画を見てより気をつけたいなと思いました」といい、平野は「まったく一緒ですね(笑)。僕自身、1つの情報に左右されがちな性格ではあるので、こういう作品を通して、原口って役を通して、自分の中でも情報との向き合い方、SNSとの向き合い方の考え方は、今までとは違う見方にはなったかなとは思っていますね。僕もSNSをやっているので、誰も傷つかない世の中がいいじゃないですか。というのをすごく気を張っているつもりではいます」とコメント。

最後に、メッセージを求められると、井上監督は「今お話にあったんですけど、SNSではいい情報を流していただいて(笑)、口コミで広げていただけたらと思います」とお願いして会場の笑いを誘い、豊田は「きっと皆さん一人ひとりの中に、それぞれ抱いた感想があると思いますし、何が正解で何が間違いというのはまったくない映画ですし、皆さんが信じるものがこの映画における真実なのかなとも思いますので、ぜひ、これからもその真実を胸に抱いて、日常生活過ごしていただけたらいいなと思いますし、見れば見るほど見た真実が深まっていって、そこから枝分かれしていろんな考えを巡らすきっかけにもなると思いますので、ぜひ何度も楽しんでいただけたらいいなと思います」とアピールした。
映画『シーシュポスたちのまなざし』
6月5日(金)より シネマート新宿 ほか全国公開中
<STORY>
男性教諭の男子生徒への不適切な行為は、本当にあったのか…!?
主人公・黒田真優が在籍する大学では、ドキュメンタリー作品の制作を行う授業があった。真優は、高校時代に男性教諭・新田が男子生徒・野島へ不適切な性的行為をしてしまう不祥事を起こし、週刊誌の記事、当事者の実名を晒すSNSの投稿などから当事者である野島の人生が変わってしまった経験から、その当時を振り返ることをテーマにしたドキュメンタリーの企画案を提出すると採用され、真優がその作品の監督を務めることになる。真優は当事者の野島を放送部の先輩として慕い、好意を抱いていたのだが、野島はその騒動をきっかけに、今までのように学校に来ることがなくなり、普通の生活ができなくなってしまう。そんな事の顛末に対する理不尽さを感じていた真優は、些細なきっかけで噂やSNSの情報などに影響されてしまう集団心理の危うさを検証し、そういった情報社会に警笛を鳴らすような作品を目指すつもりだった…。撮影や取材を進めるにつれ、その騒動を掘り起こすことを地域として歓迎していないことを肌で感じ、徐々に自身の構想通りに取材が進まなくなり、当時真優が知らなかった事実や、忘れてしまっていた騒動に纏わる自身の行為、野島の知らない一面、そして不適切な性的行為を行なった新田と野島の関係を知っていくことになっていくことになる。苦き青春の想い出を遡りながら、知られざる様々な思惑によって隠された過去の事実に遭遇していく―。
豊田ルナ 平野宏周 髙岡優 山下航平 染野有来
門間航 大友一生 根矢涼香 神嶋里花 さくら 山戸ユキノ 松尾潤 小川涼 北川駿 長澤眞子 溝口奈菜 斉藤陽一郎 山田キヌヲ 橋本美和 / 細田善彦
監督・脚本:井上博貴
製作:BBB/テラスサイド
2026年/94分/日本映画/日本語/ビスタサイズ
(C)2026「シーシュポスたちのまなざし」製作委員会



