新生Nakamichiは本日、都内で発表会を開き、今後発売予定の新製品群を明らかにした。


Nakamichiブランドは現在、家庭用の家電(空気清浄機、コーヒーメーカー、イヤホンなど)を手掛けている香港のシグネオデザイン(Signeo Design International)が所有しており、かつての社員や技術者は不在ではあるが、今回、安価な普及品ではなく、音質やデザインにこだわった上位シリーズとなる「ELITE」を展開し、そこにラインナップされる、有線ヘッドホン「ELITE PRO P800JP」(128,000円 税込/2026年1月発売予定)、および2.1chのサウンドシステム「SOUND STATION KRYSTAL」(248,000円 税込/近日クラファンを開始予定)を発表した。
どちらも、11月に開催された「秋のヘッドフォン祭2025」のピクセルブースで展示されていたもので、市場などからのフィードバックなどを受け、サウンドチューニングを施した上で、日本市場へ参入(再参入?)するという。
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シグネオデザインのCEO ケビン・ソー氏は、主に北米でアウトドア用のオーディオ機器を展開していたが、よりホームに特化した、ハイブランドの展開を行ないたいと思いたち、その立ち上げを画策していたところへ、Nakamichiブランドのオファーが巡ってきたことで、これを取得(2012年だとか)。今回の発表まで入念にコンセプトを詰めて来たという。

ただし、ローブランドやとマスマーケットブランドにはしたくない、ということで、製品の展開方法を考え、まとめたキーワードが「懐かしさではなく再誕生」。これまでは主に、海外でサウンドバーや、完全ワイヤレスイヤホン(国内ではクラファンのみ)などを展開してきたが、今回、Nakamichiブランドをよく知る日本への再参入を果たす上で(プレッシャーもあったそう)、メンバーが考えたのが、製品の軸になるものを確保すること。それがプラナー(平面磁界駆動型ドライバー)。加えて、上質さを備えたデザインや仕様(日本のファンに刺さる)も加味されているそう。


シグネオデザインではポータブルオーディオを展開していることもあり、プラナーを活かす製品を考えて決めたのが、コンパクトなオーディオシステムとヘッドホン。
幸いプラナーの自社での量産は可能となり、今回発表の製品では15cmサイズと8cmサイズのものを搭載している。つまりは大型化することで他との差別化を図っているということだ。反面、イヤホンに搭載できるような小サイズの生産も行なっているそうだが、そこは今回の話とは別のもの。
そしてプラナーを活かすために、ヘッドホンはカップの部分は厚みがあるが(デザインコンセプトは“無骨さ”)、オーディオシステム(SOUND STATION KRYSTAL)のほうは、スピーカー部分は薄型(プラナー自体は0.006mmとか)デザインにまとめられている。現在は、低音用にウーファーを組み合わせているが、将来的にはプラナーでフルレンジ再生を実現したい、とのことだった。音質的には、プラナーらしくクリアでレスポンスのいいサウンドが楽しめた。高域はもう少し伸びてほしいという感覚もあるが、詰まった感じはないので、カジュアルに楽しむのには向いているようだ。ただし、スイートスポットは狭いのでスピーカーの位置決め(もしくは頭の位置)はきちっとしたい。少しウーファーがパワフルなので、低音用のボリューム機能はほしい。接続は、USB、光、AUX(3.5mm)、Bluetoothで、BluetoothコーデックはLDACをサポートする予定という。なお、ウーファー(アンプ)とスピーカー部はワイヤレス接続で、左右のスピーカー部にはDAC・アンプも内蔵しているので、裏技としてスマホやDAPと直接接続(ウーファー部を使わない/完全ワイヤレスイヤホンのように使う)して使うことも、可能ではあるそうだ。



SOUND STATION KRYSTALについてはまず、市場の反応を見たいそうで、クラウドファンディングでの登場となる。二子玉川と渋谷のツタヤで実機が展示されるそうだ。なお、展示期間内に寄せられた意見も参考にして、リターン製品にはそのチューニングを施した上で発送するという。
ちなみに、話が前後してしまったが、プラナーを用いることで、目指すサウンドの方向性としては、2点、「演者が“そこ”にいる感じ」の再現、「透明感」の再現、をコンセプトにしているということだった。その意味では、プラナーの特性を生かして、両方の再現性を具現化しているように感じた仕上がりだった。
さて、一方のヘッドホンのほうは、ほぼ最終まで来ているそうで、上にも記したように2026年の1月には発売予定という。8cmのプラナーを搭載し、リケーブルに対応。コネクターはミニXLR、プラグは4.4mmバランスとなる。開放型で、周囲の音はそのまま耳に入って来るし、逆にドライバーからの音は駄々洩れとなる(笑)。ということもあって、試聴は騒々しい環境下で行なうことになったが、プラナーらしいクリアで繊細、音場感に優れるサウンドが堪能できた。特段、低音が不足する感覚はなかった。ヘッドバンドの側圧は当初より改良されたそうで、頭の大きい記者でも、きつい感覚はなかった。生産工程では、左右のプラナードライバーのマッチングが肝だそうで、そのマッチングの歩留まりはなかなかにたいへん、とのことだ。なお、パーツは中国から取り寄せているそうだが、組み立て、パッケージングは日本国内で“心を込めて”行なっているという。


販売については、ポータブルオーディオの代理店業務を行なっているピクセルが担当する予定で、詳細は後日とのこと。同社の直販サイトや、ピクセル製品を取り扱っている量販店で購入できるようになる、という。

ヘッドホンの800と同時期に販売が開始される予定

同上



