一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)が主催するメディア総合イベント「Inter BEE 2025」が、11月19日~21日まで千葉・幕張メッセで開催されている。
業界の最先端を体験できるイベントとして、国内外の最新機材やソリューション、次世代を担うテクノロジーが一堂に集結。「プロオーディオ部門」「エンターテインメント/ライティング部門」「映像制作/放送関連機材部門」「メディア・ソリューション部門」の4つのカテゴリーに分けて、様々な展示が行われていた。
今回は、その中から編集部が気になった展示を紹介する。
Valerion

日本初披露の「Vision Master Max」

120インチ張り込みスクリーンにゲーム映像を投写
エンターテインメント/ライティング部門の一角に、ホームシアターでも楽しめそうなプロジェクターが展示されていた。Valerion(ヴァレリオン)は、床置き短焦点プロジェクターを手掛けるAWOL Visionのプレミアムサブブランドで、コンパクト&高性能なDLPプロジェクターをラインナップしている。
今回はトップモデルの「Vision Master Max」が日本初披露され、ゲームやUHDブルーレイを使って、そのパフォーマンスを体験できるようになっていた。Vision Master Maxは4K映像の投写が可能なモデルで、光源にRGBトリプルレーザーを搭載することで3500 ISOルーメンの明るさを得ている。実際にInter BEEの会場内で120インチ張り込みスクリーンにゲーム映像を投写していたが、映像のコントラストも自然で、文字も充分把握できる映像だった。
さらにその隣にはシアタールームも準備され、こちらでは180インチにUHDブルーレイの映像が再現されていた。Vision Master Maxは30cm弱のスクエアな本体で、このサイズでこれだけの大画面に高輝度な映像を再現できることが驚きだった。
SONY

5.1chシステムで360VMEの測定を体験可能

耳の中に小型マイクをセットして測定する
ソニーのメインブースでは、「Creativity Connectedともに“つなぐ” コンテンツ制作の未来へ」というテーマを掲げ、放送・映像制作業界やクリエイターに向けた、最新の商品とソリューションを展示していた。
さらにその隣には360 Virtual Mixing Environment(360VME)を体験できるコーナーも準備されていた。360VMEは、ヘッドホンで立体音響のためのマルチチャンネルスピーカー環境を再現する技術で、既にハリウッドなどのポストプロダクション、ゲーム音響の制作現場などで使われている技術だ。
ブースでは、5.1chリアルスピーカーが設置され、これを使って実際に360VMEの測定が体験できた。具体的には耳に小型マイクを入れ、その状態で5.1chの音を測定、次にヘッドホンを装着して同様に測定をすることで、リアルスピーカーで聞いていた音と同じ状態がヘッドホンから再現できるという。
その測定も体験させてもらったが、映画コンテンツでのセリフの定位感、サラウンド情報の配置などリアルスピーカーに近いイメージが再現されている。音楽制作の現場で重宝されているということが納得できる技術だった。
アストロデザイン

「パドック映像マルチ配信システム」。上が2台の8Kカメラの映像で、下は切り出した18頭ぶんの2K映像

横長モニターで、8K/240pと8K/60pの違いを確認
最先端映像技術を数多く手掛けているアストロデザインのブースでは、8Kの情報量を活かしたふたつの展示が注目だろう。
そのひとつが8Kカメラで撮影した映像から複数の2K映像を切り出すもので、「パドック映像マルチ配信システム」は実際に配信のGREEN CHANNNELで採用されているシステムとのこと。
競馬場のパドック全景を2台の8Kカメラで捉え、その中からAIが18頭の競走馬を識別、切り出してくれる。しかも自動トラッキングなので馬が動いても被写体を追尾する。気になる馬の様子を細かく確認できるわけで、ファンにも嬉しい機能だろう。
もうひとつ、横長モニターを使って8K/240pと8K/60pの違いを確認できる展示も行われていた。同社では以前からハイフレームレートのメリットにも注目しており、今回のデモ映像も競走馬の動きや芝目の再現、看板に書かれた文字の視認性などで8k/240pと8K/60pで格段の違いがあることが確認できた。
エーディテクノ

光ファイバーHDMIケーブルの「AHS2」シリーズ。ケーブルの太さは3〜4mmほどで、ひじょうに柔らかい

ロック機構を備えた「AHL」シリーズは18Gbps対応
液晶ディスプレイや映像信号変換器、映像伝送ケーブルといった画像信号処理装置の開発・製造を手掛けるエーディテクノは、以前からUSBやHDMIケーブルも多くラインナップしてきた。
今回はHDMIケーブルの新製品として、48Gbps対応のウルトラスリム高強度光ファイバーHDMIケーブル「AHS2」シリーズも展示されていた。既存ラインナップ「AHG」シリーズと同様に映像用に3本の光ファイバーを、CECやARC用に銅線を使ったタイプで、ステンレス鋼でコーディングすることで強度や外来ノイズ対策も施している。
実際にAHS2を触らせてもらったが、ひじょうに柔らかく、これなら天吊りプロジェクター用に壁内配線をする場合にも使いやすいだろう。長さは10/15/20/30mをラインナップし、ECサイトではかなりのお手頃価格で購入できるとのことだ。


