戦後80年を迎える広島を舞台に、過去と現在を交差させながら、平和の尊さやそれを希求するたいせつさを訴えかける映画『惑星ラブソング』が、5月23日から、撮影地となった広島県での先行公開を経て、6月13日よりいよいよ全国ロードショーとなる。ここではヒロイン・アヤカを演じた秋田汐梨にインタビュー。出演の感想や役作りの苦労を聞いた。
――よろしくお願いします。さて、いよいよ作品の舞台となった広島県では5月23日から先行公開が、全国では6月13日からの公開が始まります。今のお気持ちを聞かせてください。
撮影から約1年が経ち、こうして作品が完成して、いよいよ公開へ向けて動き出しましたので、インタビューを通じて作品の魅力をお伝えして、いろいろな世代の方に観ていただけるようになったらいいなと思います。
――本作への出演はオーディションで決まったそうですね。
はい。でも、対面オーディションではなく、動画オーディションで……。監督が広島にいらっしゃるので、お会いしてお芝居を見て頂ける機会が無く、課題の台本を貰って、撮影した動画を見て判断していただきました。
動画の撮影方法についての参考資料はもらったのですが、お芝居についての指示はなかったので、自分なりにどんな芝居を求められているのか色々と想像してお芝居をしました。対面オーディションはお芝居できる回数も時間も限られているけど、動画だと良くも悪くも何度も撮り直しができるので、悩みながら、結構時間をかけて撮影をした記憶があります（笑）。
――そうして出演が決まって、台本を読んでの物語の感想はいかがでしたか。
物語については、広島という土地の持つ歴史――戦争や原爆が落とされた、という事柄に触れながら、そうした過去にしっかりと向き合える、観ている人に考えられる時間を設けつつ、それを未来にどう活かしていくのか、つなげていくのかということも盛り込まれていて。平和について考える作品なんだと思いました。
撮影前には実際に、原爆ドームや広島平和記念資料館も見て回りました。以前も訪れたことはあったのですが、今回は一つ一つの資料にゆっくり目を通し、当時を想像しながら、より深く考えることを意識しました。歴史・戦争について考える時間の多い撮影期間だったと感じました。広島のことだけを考えるのではなく、それを一つの歴史として捉えて、これから何をしなければいけないのかを考えなければいけないと、強く感じました。
――原爆ドームは、かつての流麗な姿も再現されていました。
悲惨な歴史を伝える建造物ではありますけど、今も昔も、そこに住んでいる方々の日常の一部なんだと思いました。
――演じられたアヤカの印象はいかがでしたか。
とにかく元気で、前向きで、明るい性格だと感じたので、それがモッチとの対比で、面白く見えたらいいなと思っていました。役作り自体は、それほど深く考えずに取り組んでいたかもしれません。とにかく元気！ あとは英語と広島弁！ でした。
――英語はペラペラに聞こえました。
いや、もう本当に、私自身は全く喋れないので、台本を丸暗記して頑張りました（笑）。監督が英語を話せる方なので、英語の発音の仕方などの指導は監督から受けていました。広島弁はいろいろな方に助けてもらいながら頑張りました。自分で見ている分には違和感はないんですけど、現地の方が見て（聞いて）どう感じるんだろうという不安はありました。
――さて、アヤカとモッチを見ていて、お互いに気持ちを伝えあえないもどかしさがありました。演じていていかがでしたか？
モッチは割と分かりやすいので、映画を観て下さった方には、アヤカのことが好きなんだなって感じてもらえると思いますが、一方でアヤカはどう思っているのか？ については描かれていないので――まあ少なからず、好意は持っていると思っています――付き合うかどうかよりも、自分の未来のことを考えて前向きなアヤカと、いつも否定的なモッチ。その対照的な考え方が、2人の落ち着く空気感なんだろうなと思ったので、そう見えるように考えながら演じていました。
――アヤカは当初、モッチのことが好きかもしれないという程度で、終盤になってようやく“好き”という気持ちが見えてきました。
ありがとうございます。そう受け取ってもらえてうれしいです。
――実際に広島市の街中で撮影していますが、現地の印象はいかがでしたか。
結構人がたくさんいるなって思いましたし、老舗ばかりでなく、若者向けのお店もたくさんあって、とにかく楽しかった記憶があります。
――本作は平和を希求していますが、タイトルに「惑星」とつけるなど、宇宙規模の壮大さを感じました。
そうですね。これだけ広い宇宙ですから、きっとどこかに人類と同じような生命体がいて、違う惑星で生きているんだろう、と私は信じています。いつか会えることを願っています。
――ところで、アヤカとモッチはどうなるのでしょう？
アヤカは自分の希望（海外留学）を通すと思います。モッチの方も、この一連の流れを経て、自分の将来について考えるようになったんじゃないでしょうか。（作中では）描かれていませんけど、私はそうあって欲しいと願っています。
――月並みな質問ですが、見どころをお願いします。
いろいろな年代の方に観ていただきたい作品になったと思います。若い人たちの中には、原爆について深く知らない人がいるかもしれませんから、そういう方たちに観てもらって、歴史を知るきっかけにしてほしいです。加えて、この作品を観て、将来をよくするためにはどうしたらいいのか、未来の日本を明るくするにはどうしたらいいか、ということを考えるきっかけになったら嬉しいです。みんなで平和について考えてほしいと、切に思います。
――最後に、今後の目標や演じてみたい役柄があれば教えてください。
女優としては、いろいろな役を演じられる・演じ分けられる役者になりたいというのが、ずっと掲げている目標です。役柄では、これまでいろいろな役を演じさせていただきましたけど、意外と、どこにでもいるよう素朴な女の子というのはあまり経験がなく、そういう役柄のほうが難しいと思うので、今はそういう役をやってみたいと思っています。
――ありがとうございました。
映画『惑星ラブソング』
2025年5月23日（金）よりMOVIX広島駅ほか広島県先行公開中
2025年6月13日（金）よりシネマート新宿、池袋シネマ・ロサほか全国ロードショー
＜キャスト＞
曽田陵介／秋田汐梨 Chase Ziegler 八嶋智人
西川諄 Raimu 谷村美月 佐藤大樹（友情出演） / 川平慈英
さいねい龍二 塚本恋乃葉 西村瑞樹 キコ・ウィルソン 松本裕見子 田口智也 HIPPY
＜スタッフ＞
監督・脚本・編集：時川英之
プロデューサー：時川英之 横山雄二
配給：ラビットハウス
後援：広島県 広島市 広島市教育委員会 広島ユネスコ協会 国連ユニタール協会／鶴学園 広島大学
企画・制作：TimeRiver Pictures
製作：「惑星ラブソング」製作委員会
（C）映画「惑星ラブソング」製作委員会
●公式HP
https://wakuseilovesong.com
●秋田汐梨プロフィール
2003年生まれ。京都府出身
2015年にティーン誌のモデルでデビュー。その後、2017年に俳優デビュー。近年の主な出演作に、ドラマ「ふったらどしゃぶり」（MBS／25年）、Netflixシリーズ「恋愛バトルロワイヤル」（24年）、ドラマDEEP「3年C組は不倫しています。」（NTV系／24年）、映画『リゾートバイト』『おしょりん』『映画刀剣乱舞-黎明-』（すべて23年）などがある。
公式サイト https://www.stardust.co.jp/talent/section1/akitashiori/
公式X https://x.com/shiori_akita319
スタイリスト：髙橋美咲（Sadalsuud）
ヘアメイク：菅長ふみ
衣装協力：ドレス／KANAKO KAKIMOTO
