小嶋貴之監督が制作した、己の弱さの故に追い詰められていく男の姿を描くサスペンス映画『帰ってこなかった男』。3月28日(金)よりテアトル新宿、およびMOVIE ONやまがたにて、4月12日(土)より横浜シネマ・ジャック&ベティ、5月9日(金)より宇都宮ヒカリ座、5月17日(土)より大阪・シアターセブンほか全国順次公開されるのを前に、主人公の不倫相手・あゆみ役の実倉萌笑のオフィシャルインタビューが届いた。

――脚本を最初に読んだ時の印象はいかがでしたか?
 保険金や失踪宣言など、今まで触れて来たことがなくて全然想像がつきませんでした。「これ、私にできるのかな?」と不安に思っていたんですが、あゆみのようなずる賢い少し背伸びした女の子の役はやったことがなかったので、挑戦したいという気持ちでいっぱいで、自分の殻を破って挑戦したいなと思いました。

――イン前に監督から何か話はありましたか?
 リハーサルの時は、「実倉さんのことを信じたいんだけど、まだ何をしてくるかわからない」っていう感じで、不安だったと思うんですけれど、リハーサルの最後には、「もう(あゆみが)見つかったから、このまま自分を信じてやってほしい。自分の世界を全開にしてやってほしい」と背中を押す言葉をいただきました。

 自分と今回のあゆみという役は、自分と似たところが少ないんですけれど、リハーサルの後にカフェだとかでお話をしていると、私のちょっと雑な部分だとか、仲良くなった主演の卯ノ原さんに対しても「これやってよ」みたいに私がぼそっという言葉だとかに監督が、「そこだよ!実倉さんのそこがあゆみだ!」とおっしゃるのが積み重なって、あゆみができました。

――演じたあゆみについては、どのような人物と捉えましたか?
 24歳くらいの設定なんですけれど、賢くて、先を見据えて考えられる子で、プライドが高い。だから、自分が傷つくのも嫌だというか、自分が常に上に立っていたい女の子だなと思っていて、人の扱いをすごくわかっている(笑)。ベンチャー企業の中では、可愛がられたい。欲張りで、寂しがり屋だと思います。見る人によっては、敵に見えるかもしれないけれど、あゆみ目線に立って、味方もいてくれたら嬉しいなと思います。

――あゆみはなんでそんなに寂しがり屋なのか、設定は考えましたか?
 あゆみの人生の中で、そんなに人に愛されてこなかったのかなと思います。自分の中で考えたんですけれど、あゆみは片親で育ってきて、多分愛情をそこまで注がれなくて育ってしまったのかなと思っています。誰か一人に執着しやすいから、孝明のことは、手で転がしている感じだけれど、本当に好きだからこそ振り向いて欲しかったんだと思います。

――あゆみの、実倉さんご自身と同じところと違うところは?
 「相手によく思われたい」というのは私もあって、私は自分が嫌いな人にもよく思われたいというか、八方美人と言われてしまうこともあるんですけれど、あゆみは気にしていても良い意味で雑さがあって、嫌いって思われてもどこかで挽回してくる女の子。違うところは、あゆみは何事もズバズバ言えるところ。私は物事をハキハキ言うのに戸惑ってしまったりだとか、優柔不断な性格なんですけれど、あゆみはサバサバしているところが違うと思います。私はあまりぶりっ子な言い方はしたことがなかったのですが、小嶋監督に「最上級のぶりっこをしてほしい。あざとくいて」と言われて、あざとかわいいをめちゃくちゃ研究しました。監督に、「実倉さんがやるとちょっと弱気な女の子に見えてしまうけれど、あゆみには強くあってほしいから、あざとくてちょっと強い女の子を研究してほしい」と言われました。「人生チョロいい」っていうようなスタンスの強い女の子を演じていた山本舞香さんとか田中みなみさんのいろんな映画を見て、山本舞香さんのインタビューも結構読みました。

――あゆみを演じるにあたり、何を心がけましたか?
 監督の脚本では女の子っぽい言い方で書いてあったんですけど、あゆみは多分そこまで女の子女の子していないよなと思い、ベンチャー企業のシーンではぶりっ子の語尾にしたんですけれど、孝明の前では素が出せているので、語尾は自分なりにあゆみを考えて変えました。

――孝明との今までの経緯や関係性についてはどのように分析しましたか?
 あのような不倫関係を続けて結構長いのかなという印象です。出会ってすぐにそういう関係になったのかなと。孝明にとっては完全に都合のいい女の子なんですけど、あゆみにとっては完全に一番という関係が2年は続いていたんじゃないかなと思いました。あゆみからアプローチしたんだと思います。孝明も、押されたら乗っていく性格だと思うので。

――あゆみを演じる上で助けになったことはありますか?
 自分の出演シーンじゃなかったんですが、居酒屋の店長が佳奈に「知り合い?」と言った時に、孝明が佳奈の腰を持って「こっちいくよ」っていう感じだったのを現場で見て、腹が立って、「孝明って本当はどっちなの?こっちのものになってほしい」と思って、次の撮影で気持ちが入りやすくなりました。

――撮影中の面白いエピソードはありますか?
 小嶋監督はキスシーンを書くのに抵抗があるみたいで、気持ち的に動いたらやってほしいけれど、っていうスタンスだというのを後から聞いたんですけれど、私は、ラブホで抱きついているんだから、キスくらいするんじゃないかなと思って、卯ノ原さんにも伝えずに急にやってしまいました。撮影後、小嶋監督は、「期待以上だったよ。100点満点だよ」と言ってくださいました。

――テアトル新宿で公開されると聞いた時は、どう思いましたか?
 監督からグループLINEで聞いたんですが、めっちゃ嬉しくて。電車に乗っていたんですけれど、一回降りて、一人で喜んで、真っ先に家族に電話しました。家族もみんなテアトル新宿で映画を観たことがあったので、「あのでっかい映画館だよ」ってなりました。北海道国際映画祭で観客賞を受賞したのが、テアトル新宿での上映に結びついて、幸せだなと思いました。

――本作の見どころはどこだと思いますか?
 孝明が最初は元気でにこやかなんですけれど、後半になるにつれ、追い込まれていくところがとても面白いです。あゆみと佳奈は全然違う性格なので、違う追い詰め方をするのが面白いと思います。

――読者にメッセージをお願いします。
 ブラックコメディで、楽しみながら観れる作品だと思います。全てが繋がった時のゾクゾク感を、ぜひ映画館で味わっていただければと思います。

映画『帰ってこなかった男』

2025年3月28日(金)よりテアトル新宿 ほか順次公開

出演:
卯ノ原圭吾 斎藤千晃 実倉萌笑
小幡貴史 松本響 島林瑞樹 八木亜希紗 鐘ヶ江佳太 佐藤達也
宮本聖矢 米元信太郎

監督/脚本/編集/製作:小嶋貴之
撮影監督:Keisuke Mizushima 照明:Jun Hirota 録音:Jo Terauchi 美術:Hibiki Matsumoto メイク:大島美保 撮影助手:白井絢香 助監督:宇津野竜輔、革崎文 制作進行:大塚勝彦 制作助手:山口正弘 美術助手:宮本聖矢 整音:浦本和宏(コサエルクリエイティブ) 音楽:Shizuka Kanata 配給:ジーンハート
2024年/日本/カラー/シネマスコープ/ステレオ/47分

公式サイト
https://geneheart.com/haikyu/kaettekonakattaotoko

【テアトル新宿での登壇者(予定) ※3月20日現在】
●3月28日(金)18:50~の回上映後 初日舞台挨拶
登壇:卯ノ原圭吾、斎藤千晃、実倉萌笑(以上、出演)、小嶋貴之(本作監督)
MC:下京慶子(ジーンシアターアンバサダー、俳優、プロデューサー)

●3月29日(土)18:50~の回上映後 トークイベント
登壇:卯ノ原圭吾、実倉萌笑、宮本聖矢、米元信太郎、小幡貴史、松本響、島林瑞樹、八木亜希紗、鐘ヶ江佳太(以上、出演)、小嶋貴之(本作監督)

●4月5日(土)18:50~の回上映後 トークイベント
登壇:末吉ノブ(映像監督/映画監督/Sprocket Holes Japan代表)、卯ノ原圭吾、実倉萌笑、宮本聖矢、米元信太郎、小幡貴史、八木亜希紗(以上、出演)、小嶋貴之(本作監督)

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