SENNHEISER(ゼンハイザー)から、有線ヘッドホンが2モデル発売される。どちらも38mmドライバーを搭載したモデルで、オーディオ愛好家から動画編集まで幅広く愛用されているHD 500シリーズの新しいラインナップだ。
HD550 市場想定価格¥54,450(税込、4月2日発売)
HD505 市場想定価格¥50,600(税込、アマゾン限定モデル、発売中)

「HD 550」
HD 550は、“新たな音に出会うとき”をキーワードに開発されたモデルだ。軽量ながら高い耐久性を備えHD 500シリーズとして、オーディオファイルに向けた、ニュートラルな音を目指したモデルという。
ドライバーにはラミネート加工を施した振動板と軽量アルミボイスコイルを採用。ラミネートの厚さを調整することで高域での共振を抑え、描写力を改善している。同時にインパルスレスポンスも改善され、より透明感のある再現が可能になったそうだ。なおこれら振動板やドライバーのマグネットには既発売の「HD 620S」と同じものが使われている。
異なる点としては、HD 550は振動板のサスペンション近くにダンパーを搭載していること。さらにHD 550では、アコースティックフォームをトランスデューサーマグネットの後ろに配置し、ハウジング内のエアフローを調整することで、切れのある低域を獲得しているそうだ。

「HD 550」のドライバー構成。38mm振動板を搭載したオープン型モデルとなる
ドライバーと耳の間に設置されるバッフルについては、なるべく透明度の高いものにしたいという狙いからメッシュ素材が使われている。これにより信号本来の情報をユーザーに届けることができる。ヘッドホンで重要なイヤーパッドにはベロア素材を採用。この素材が音の反射を吸収し、開放感のあるサウンドを再現するそうだ。
その他、ドライバーを一定の角度をつけて取り付けることで耳にダイレクトに音を届けるアングルトランスデューサーテクノロジーも採用し、ヴォーカルがセンターから聞こえてくるかのような臨場感のあるサウンドを再現できるとのことだ。
実際同社の測定によると、同じシリーズの「HD 599」比で、1kHz〜2kHzと10kHz〜20kHzでの再現性が改善され、中域はなめらかに、かつ高域も伸びやかに再現できるようになっているそうだ。
本体デザインは、HD 620SやHD 560Sを踏襲したもので、黒をベースにした落ち着いた仕上げとなる。重さは237gと軽量で、長時間の使用でも疲れにくいよう配慮されている。ケーブルは着脱式で、イヤホン側は3.5mm、プレーヤー側は3.5mm/6.3mから選択可能だ(変換コネクターが付属)。

通販サイトでの限定販売となる「HD 505」
また今回、同じくHD 500シリーズの新製品となる「HD 505」も展示されていた。こちらは本体デザインはHD 550と共通で、ブランドロゴ部分やイヤーカップの周辺部分にカッパーカラーをあしらった仕上げになっている。
外見はHD 550の色違いとも思えるが、振動板はポリマーブレンド素材で、これに軽量ボイスコイルを組み合わせている。この振動板特性に合わせてドライバーの最外部にメッシュダンピングリングを一体化して取り付けている。これにより3〜4kHzの再現がなめらかになり、ベースサウンドに統制力が加わっているそうだ。
バッフル面はHD 550と同様に透明度の高い素材を使用し、アングルトランスデューサーテクノロジーも採用されている。なおイヤーパッドは550と同じくベロア仕上げだ。

「HD 505」のドライバー構成。写真右側の小さなドーナツ状の部品がメッシュダンピングリング
サウンド面では分析的な音を狙っているそうで、高域の描写力を上げ、中域をなめらかにしてピークが出ないようなバランスに仕上がっている。低域は若干持ち上がっているが、キレの良さは残しているとのことだ。
新製品説明会でHD 550とHD 505の音を確認することができた。Macbook Airの3.5mmコネクターにつないで、マイケル・ジャクソン「Bad」のCDピッリングと「DannyBoy」の192kHz/24ビット音源を聞いてみた(Audirvanaで再生)。
まずHD 550ではヘッドホンを装着したことによる圧迫感がなく、まさにオープンな音場が体験できる。「Bad」も高S/Nな中からマイケルの声がすっと飛び出してきて、低域のキレもいい。音のエッジも明瞭だ。
「Danny Boy」はハイレゾらしいきめ細やかな印象で、さらにバランスが良くなる。ステージ全体の空気が綺麗で、ニュートラルな音という狙いがよくわかる。

「HD 550」「HD 505」ともリケーブルに対応。本体側は写真のように3.5mmコネクターを採用する
一方のHD 505はもう少し落ち着いた音作りという印象になり、「Bad」ではひとつひとつの楽器の音をきめ細かく描き出してくる。ドラムは意外に力強く響き、意図的な演出がないぶん解析的に聴くことができる。
「Danny Boy」は若干こぢんまりしているようにも思ったが、じっくり聴くと細かい音が綺麗に再現されていて、ピアノの描写もいい。音量を上げてもうるさくならない、絶妙なバランスだと感じた。
それぞれ音作りは確かに違うので、ご自分の好みや使い方に合わせて選び分けていただきたい。なお このふたつの製品は販売経路が異なっていて、HD 550はリアル店舗限定、一方のHD 505は通販サイトのアマゾンでの取り扱いとなっている。