アイ・オー・データ機器は、2025年のビジネス展開についての説明会&プレス新年会を開催した。本社が金沢ということもあり、昨年の能登半島地震については多くの励ましの声や支援があったとかで、まずその点について代表取締役会長の細野昭雄氏からお礼の挨拶があった。
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代表取締役会長の細野昭雄氏
同社は1976年に創業し、1980年頃からPC機器周辺分野に参入、2002年からスマートデバイス周辺市場でも商品を販売している。メモリー事業は41周年、液晶ディスプレイ事業は28周年を迎えるなど、多くのジャンルで人気を集めているのは間違いない。
さらに来年の創業50周年に向けては、主力事業のブラッシュアップを中心に、ソフトウェアライセンス事業やアプライアンス事業を強化して、これまで以上にユーザーに価値のあるサービスを提供していくことを目指すという。
ちなみに昨年末から話題になっている「ビデオテープの2025年問題」を受け、同社のアナログキャプチャー機器が例年の2〜3倍のセールスを達成しているという。細野氏は、アイ・オー・データでは、このようにユーザーの困りごとと最先端のギャップを埋めていく、古いものを見捨てない取り組みを続けていきたいと話してくれた。
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磁気テープ(アナログビデオ)に記録した映像が再生できなくなるという2025年問題(マグネティック・テープ・アラート)が最近、様々な媒体で取り上げられている。それを受けて、アイ・オーがラインナップしているビデオテープの映像をSDカードにキャプチャーできる「GV-HDREC」が人気を集めているという。そこで同社の倉庫に保管されていたというD-VHSデッキを引っ張り出してきて(動作可能状態だったとか)、かつての貴重番組を再生、キャプチャの実演をしていた
続いて広報宣伝部 部長の西田谷直弘氏から2024年のお礼と2025年のスタートに際しての挨拶があった。西田谷氏からも能登半島地震での支援、協力についての感謝の言葉があり、さらに現地との協力体制も継続していくという説明があった。そのひとつの試みとして、御当地食品メーカーとのコラボも展開している。
これはGigaCrysta10周年の特別企画で、金沢の味として北陸を中心に笹寿しを販売している「株式会社芝寿し」とのコラボで、ゲーミング押し寿司の笹Crysta(ササクリスタ)を発売するそうだ。1月24日(金)~2月10日(月)の期間で、芝寿しのサイト( https://www.online-shibazushi.com/archive?id=381&area=2 )で予約を受け付けている(100パック限定)。
笹寿しは金沢の御当地押し寿しで、紅鮭と鯛、鯖の3種類の味がある(金沢ではどれが好きかも話題になるとか)。今回はその美味しさとワンハンドで食べられる手軽さが、ゲームプレイ中にもぴったりではないかという発想からコラボが実現した。笹Crystaは、オリジナルデザインの帯封と、オリジナルキャラクター・ギガクリシアのコラボ限定ステッカーが入ったオリジナル商品となる。
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広報宣伝部 部長の西田谷直弘氏
その後、各事業部の取組みについての説明が行われた。
細野氏の話にあった通り、液晶ディスプレイ事業は今年で28周年、ゲーミングモニターのGigaCrystシリーズも10周年を迎える。Mini LEDバックライト搭載機も好評とかで、今年はOLED(有機ELディスプレイ)を搭載した新製品も予定しているそうだ。
なお同社では、大規模導入に応えられる品質も心がけているという。ビジネス用途では一度に導入する台数が多いこともあり、輝点が発生する確率も高くなってしまい、当然品質管理も厳しくなる。そこで輝点ゼロ保証を実現するプレミアムパネルを採用することで、一段高いレベルのビジネス液晶を実現していくとのことだ。
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アイ・オーでは、ゲーミングモニター「GigaCrysta」に有機EL(OLED)パネルを採用した製品を開発中という。展示されていたのは、他モデルと同じ27インチ・WQHD(2560×1440)仕様で、リフレッシュレートは240Hzになるという。この高速表示を活かしてゲーミングモニターとして訴求したい、とのことだ。発売も視野に入っているそうで、25年度内を目指している。価格は10万円を切る予想。ちなみに、文字の輪郭に疑似色(?)が出ているので、詳しい人はどこのパネルか分かりますよね(笑)とのこと
ストレージ事業については、冗長化機構の「拡張ボリューム」を再訴求する。拡張ボリュームは、データ書き込み時にファイル単位でふたつのドライブに書き込み、読み出す際は片方のドライブだけを使うものだ。HDDドライブを意図的に偏重して利用することで同時故障の確率が低くなり、リビルド時間も短くできるという(ファイル数が少ない場合)。
もともとアイ・オー・データのNASでは10年前から拡張ボリューム機能を搭載しており、ユーザーからの信頼も高かったそうだ。今回は機能名を「RAIDeX」(レイドエックス)に変更し、RAIDの思想をベースにした拡張技術としてリブランディングしていくそうだ。またオフラインバックアップ機能を組み合わせて、ランサムウェア等に備えた機能も今年4月にリリースする予定という。
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DSA・SSD事業では、ウィンドウズ10のサポート終了を見据えた取り組みも考えている。同社の調査ではウィンドウズ10のサポート終了については97.1%の人が認識しているが、40.9%はまだ移行ができていないそうだ。その理由としてデータ移行の煩雑さがあるとかで、そこについてデータ移行マネージャーを提案する。
これはアプリを内蔵した外付けストレージをPCにつなぐだけで自動的にデータをバックアップ、新しいPCに移行できるものだ。PCデータをまるごとバックアップできるので、移行漏れの心配もないし、作業終了後はバックアップ用としても使えるというわけだ。個人向けモデルとしてスティックSSDのSSPS-US/SシリーズとポータブルHDDのHDPH-UT/Sシリーズを今年2月に発売予定という。
加えて、ウィンドウズ11搭載PCの買い替えが進むことでUSBType-Cがさらに普及することも考えられる。これはPC周辺機器メーカーにとっては25年ぶりの大きな変化になるそうで、同社ではディスプレイや高速データ転送に対応した新たな周辺機器のニーズに応える製品を提供していくとのことだった。
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新規事業では、タイムスタンプ事業にも取り組む。これまでもオンプレミス(企業が自社でサーバーやネットワーク機器、ソフトウェアなどを保有してシステムを構築・運用する形態)製品を販売しているが、そこにクラウドを経由したタイムスタンプ機能を加える(2025年3月にスタート予定)。
他にも産業用PCメーカーのDFIや組み込みPCメーカーのLogitec、教育系液晶PC などを生産しているGEEKOMとパートナーシップを組み、自社製品だけではカバーできない分野についても積極的に取り組んでいく模様だ。
アイ・オー・データは、ゲーミングやオーディオビジュアルにも使えるディスプレイや、テレビ録画用HDD/SSDなど、Stereo Sound ONLINE読者にも身近な製品を多くリリースしている。2025年に同社がどんなエンタテインメント製品を送り出してくれるかにも期待したい。
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近年では光メディアの生産を終了するメーカーも多いが、バーベイタム製品を扱っているアイ・オーでは、まだ、まだ頑張って生産を続けます、という力強いコメント