あけましておめでとうございます。
新しい年の始まりに際し、謹んでご挨拶申し上げます。
近年、多様性、多様化という言葉を見聞きすることがとても多くなりました。オーディオを取り巻く状況も例外ではなく、昨今のアナログレコードの復権・定着や昨年秋のハイレゾ対応音楽ストリーミングサービスの本格上陸など、音楽ソースひとつをとっても、聴き手によってメインソースが異なることがあたり前の時代になりつつあります。好まれる音楽ジャンルの多様化はさらに激しく、2025年はますますその流れが加速していくことでしょう。
同様に、オーディオ機器もかつてとは異なり、万人受けするヒットモデルというよりも、つくりての個性や思想がこれまで以上に重視された、個性的な製品が増えているように感じます。それらを組み合せるシステムとなるとなおさら多様化していると言えます。
それだけに我々編集部も毎号企画会議に頭を悩ませつつ、本をつくっているというのが正直なところです。ただ、じっくり紐解いていきますと、変化しているのはあくまでも手段であって、何のためにオーディオをやっているのかという目的そのものは、これまでとそれほど変っていないように思えます。
メディアである我々は、この多様化にともなって伝える手段や手法を変化させていく必要があるのですが、その目的は、あくまでもオーディオの魅力を発信することにある。「ステレオサウンド」はそこを大切にするメディアでありたいと願います。
「オーディオこそが理想的な音楽鑑賞を可能にする」
菅野沖彦先生の「レコード演奏家論」の中にあるこの一節を肝に据え、2025年は様々なことに取り組んでいく所存です。本年も「ステレオサウンド」誌のご愛読を何卒よろしくお願いいたします。
あたり前にオーディオを楽しめる状況に大きな感謝をしつつ、新しい年が読者の皆様にとって、より良き年になるよう願いまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
2025年1月2日
季刊ステレオサウンド編集長
染谷 一