日本発のオーディオブランドkm5は現在、同社初のオンイヤータイプのワイヤレスヘッドホン「Hp1」を、GREEN FUNDINGサイトにてクラウドファンディングを展開中だ(12月25日まで延長中)。

画像: km5のオンイヤー型のワイヤレスヘッドホン「Hp1」は、ナチュラルなサウンドでボーカルの再現が魅力。無線・有線どちらでも使える利便性の高い製品

 クラファンといっても、最近は応援購入の意味が強くなってきているようで、資金集めというよりも、新しい製品を一足早く購入できる場となっている。Hp1自体は今年6月にクラファンが開始され、早々に目標金額を達成。その注目を受けて、より改良・性能向上を目指して発売前に製品アップデートを実施。12月末まで期間を延長しながら、さらに広くファンへ周知しようという流れのようだ。

 記者も初期(第一世代)製品の音質をチェックしているが、この10月に入ってから、各種機能や音質チューニングを変更した第二世代モデルが完成したとの報告を受け、さっそく試聴に向かった次第。なお、第二世代モデルについては、11月上旬に行なわれた「秋のヘッドフォン祭2024」に展示されていたもので、現時点では2台が完成しており、その内の1台をお借りしてテストしている。

 さて、会社であるkm5は、国内オーディオメーカーに勤務していた方が自ら興したオーディオブランドであり(2021年設立)、性能とデザインを両立させ、手頃な価格で満足度の高い製品を提供しているのが特徴。同ブランド第一弾製品となるポータブルCDプレーヤー「CP1」は、CDケースを一回り大きくしたぐらいのサイズで、天面の蓋は透明なので、セットしたCD盤が見え、同時に薄型でスクエアなボディは壁掛けも可能で、インテリアにもなるCDプレーヤーとして人気を集めていた。

 今回の主人公であるワイヤレスヘッドホンHp1は、同社が手掛ける初のヘッドホン。最近は、ワイヤレスイヤホンだけでなく、ワイヤレスヘッドホンも市場では人気を集めているが、その多くは耳を覆うオーバーイヤータイプ。メガネをかけている記者にとっては、メガネの柄の部分にイヤーカップが触ってしまうので、昔ながらのオンイヤータイプの製品を探していたのだが、市場にはあるにはあるのだが、なかなか気に入るものは見当たらなかった。と、そんな時に現れたのがHp1ということで、今回、第一世代に続いて、第二世代の音質もチェックしてみた。

画像: ▲本体は軽く小さいので装着感は良好。左右のユニットは独立しており、電源操作は左右それぞれで行なう必要がある。付属のUSB-Cケーブルは音楽聴取と充電の機能を持つ

▲本体は軽く小さいので装着感は良好。左右のユニットは独立しており、電源操作は左右それぞれで行なう必要がある。付属のUSB-Cケーブルは音楽聴取と充電の機能を持つ

 簡単に概要を記すと、Bluetoothのバージョンは5.4、対応コーデックはSBC、AAC、LE Audio(LC3)となり、無線(ワイヤレス)だけでなく、USB Type-Cケーブルを使った有線接続(デジタル接続)も可能。さらに、3.5mmステレオミニ(オス) to Type-C(メス)の変換ケーブルも同梱されており、従来通りのアナログ方式の有線接続も可能と、3ウェイで使えるなかなか便利な製品にまとめられている。バッテリーの持続時間も、当初は10~12時間だったが、バッテリーそのものとソフトの改良で最長24時間の使用を可能にしたという。搭載ドライバーは40㎜径のダイナミック型となる。

 では音質について紹介していこう。まずは、自前のDAP(ポータブルプレーヤー)とBluetooth接続で聴く(コーデックはAAC)。少し軽い印象はあるが、再生帯域には過不足なく、低域から高域までフラットな再現をしてくれる。サイズから考えると、低域の量感は良好。響きも豊かだし、音楽的な味わいを楽しめる仕上がり。ボーカルは少し強調されているようで、曲によっては(歌い手の存在が)相当に近くに感じられる。ボーカルメインの楽曲とは相性はいいだろう。音像の定位は鼻の奥のあたりと少し低めなこともあり、頭内定位感は強めとなる。

 ハイレゾコンテンツを聴くと、上方空間が大きく拡張されるようになり、見通しの良いサウンドが楽しめる。響きの余韻も豊かになり、ボーカルの生々しさも増してくる。音数も増しているのが分かる再現性となる。

画像: ▲イヤーパッドは脱着可能。将来的にはオプションでカラバリも予定されている

▲イヤーパッドは脱着可能。将来的にはオプションでカラバリも予定されている

 次に、USB-Cケーブルを使ったデジタル有線接続を試してみる。本体電源をオフにしてケーブルを接続する。無線と同じく素直な音調で、こちらは有線接続(デジタル)だけあって、音には厚みがある。中域の再現性が向上している印象だ。低域も元気さが出てくる。ボーカル(声)の再現は少し抑制されるようだが、逆にニュアンスは出てくるようになるし、音像の定位も鼻の奥から目の奥あたりに上がってきて、なかなかに良好。音の重量感(軽い、厚みがある)、定位感の再現が大きく変わるようだ。ちなみに、コンテンツの違い(CDクォリティとハイレゾ)による差はそれほどなく、強いて言えば、ハイレゾコンテンツになると、細かい音がより聴こえてくる程度。

画像: ▲付属のUSBケーブルを接続した状態。トレイ上のUSB-C端子をプレーヤーのC端子に挿すとデジタル有線再生が楽しめる

▲付属のUSBケーブルを接続した状態。トレイ上のUSB-C端子をプレーヤーのC端子に挿すとデジタル有線再生が楽しめる

 最後に、借用した製品には、3.5mm(オス) to USB Type-C(メス)の変換ケーブルが同梱されていたので、3.5mmによるアナログ有線接続も聴いてみた。よくよく考えればこのケーブルはかなり特殊なもので、一般的にスマホのUSB Type-C出力を3.5mm(メス)に変換してくれるものはよく見かけるが、本仕様の製品は初見。本体(ヘッドホン)を電源オフの状態でケーブル、アダプターをつなぎ、3.5mmジャックをポータブルプレーヤーと接続すればOK。本体の電源ONの状態で接続すると(切り忘れて)、自動的に電源がOFFになる仕様。意外と懐かしい印象のサウンドで、デジタル接続の音調の近い印象はあるが、レンジは上と下の再現は弱く、中域に力感のあるものとなる。音場感は、前2者と比べると狭い。普段、3.5mmアナログで音楽を楽しんでいる方にはすんなり馴染めるサウンドと思う。

画像: ▲3.5mmステレオミニをUSB-C(メス)に変換してくれるアダプター

▲3.5mmステレオミニをUSB-C(メス)に変換してくれるアダプター

 なお、今回はテストしていないが、本体にはマイクも付いているので、オンライン会議やゲーミング時のヘッドセットとしても使えるそうだ。

 まとめると、ワイヤレスで、オンイヤータイプのヘッドホンを探しているユーザーには、価格が手ごろなこともあり、いい選択になりそうだ。商品の発送についてはクラファンの締め切り以後、12月後半を予定しているそう。年内に入手するのは難しそうだが、支援者はお年玉気分でもう少し待っていると、楽しい正月を迎えられるだろう。

画像: ▲左端のブルーグリーンのイヤーパットは付属しており、付け替えることで雰囲気を変えて楽しめる。また、右端は将来別売りとして発売が検討されているスポンジタイプのイヤーパッド。裏面(内側)にプラスチックパーツがない分、音がダイレクトに聴こえてくる印象

▲左端のブルーグリーンのイヤーパットは付属しており、付け替えることで雰囲気を変えて楽しめる。また、右端は将来別売りとして発売が検討されているスポンジタイプのイヤーパッド。裏面(内側)にプラスチックパーツがない分、音がダイレクトに聴こえてくる印象

HP1-001の主な仕様
通信方式:Bluetooth 5.4 TWS
対応コーデック:SBC、AAC、LE audio
搭載ドライバー:40mm径ダイナミック型
インピーダンス:32Ω
周波数応答性:20Hz~25kHz
歪み率:0.2%
感度(SPL):122dB 1mW
充電:USB Type-C
マイク:Dual-MIC ENC function
バッテリー:リチウムイオンバッテリー100mAh/100mAh
動作時間:連続最大24時間
充電時間:3時間
サイズ:170×140×60mm
質量:103g
付属品:専用USB-Cケーブル(充電/有線接続)、交換用イヤーパット、説明書/保証書

https://greenfunding.jp/lab/projects/8282

This article is a sponsored article by
''.