デノンから、プリメインアンプの新世代モデル「PMA-3000NE」(¥528,000、税込)が発表された。発売は9月13日を予定している。

画像: 「PMA-3000NE」の本体横幅と高さは「PMA-A110」や「PMA-2500NE」と同一とのこと(奥行きは異なる)

「PMA-3000NE」の本体横幅と高さは「PMA-A110」や「PMA-2500NE」と同一とのこと(奥行きは異なる)

 同社ではプリメインアンプの高級モデルとして「PMA-SX11」や「PMA-A110」をラインナップしてきた。それらは今年中に生産終了となる予定で、今後はPMA-3000NEがデノン製プリメインアンプのフラッグシップとなる。

 そのPMA-3000NEは、RCAアナログ入力3系統とフォノ入力(MM/MC切り替え式)、光デジタル入力3系統、RCA同軸デジタル入力、USB Type-Bを備え、EXT.PREとレーダー用のアナログ出力(RCA)も搭載している。スピーカー出力はA/Bの2系統だ(どちらも常時出力)。

 製品開発時には、“ハイファイアンプの理想、その飽くなき追求” をコンセプトに掲げていたそうで、4つの大きな特徴を備えている。その第一が、新型「UHC-MOS Single Push-Pull Circuit」の搭載だ。

 そもそもデノンではアンプ開発に際し、「少ない半導体素子で大電流を取り出す」というテーマに取り組んできた。しかしオーディオ用の半導体では1個から取り出せる電流が決まっているため、アンプで大電流を出力しようと思ったら多くの半導体を搭載しなくてはならなかった。その一方で、半導体の数が増えるとばらつきが生じるため、音質への影響が避けられないという問題があったわけだ。

画像: ミニマムシグナルパスを徹底した内部回路。信号の受け渡しをコネクターで行うことで、ワイヤーによる内部配線を協力減らしている

ミニマムシグナルパスを徹底した内部回路。信号の受け渡しをコネクターで行うことで、ワイヤーによる内部配線を協力減らしている

 そこでデノンでは、オーディオ以外の分野で使われている半導体まで視野を広げ、最終的には製鉄工場などで巨大設備の制御に使われている半導体がパワーアンプの素子として理想的な特性を備えていることを発見したという。同社ではこの半導体を「Ultra High Current MOS FET」と名付け、これを使ったUHC-MOS Single Push-Pull Circuitを30年以上磨き続けてきたという。

 そして今回PMA-3000NEに搭載されたのが、究極のシンプルを目指した、UHC-MOS SinglePush-Pull Circuitによる差動1段アンプとなる。PMA-A110では、同じくUHC-MOS Single Push-Pull Circuitの差動2段回路が採用されていたが、今回はより高忠実な駆動力を目指して差動1段回路に至ったそうだ。回路設計は難しくなるが、そこは技術陣の努力でクリアーしたとのことだ。

 第二がミニマムシグナルパスの徹底にある。アンプ内部での信号の受け渡しはほぼすべてコネクターで行い、ジャンパーケーブルはなるべく使わない設計が行われている。

 入力基板は4層とし、入力からパワーアンプへの受け渡しまでプリ部の機能をこの1枚で完結させている。加えて基板同士をつなぐFFCケーブルやコネクトワイヤーを可能な限り減らし、基板上を走るワイヤーを廃止することで飛び込みノイズを大幅に削減、S/N改善に成功した。

画像: 「PMA-A110」ではスピーカー出力への接続にワイヤーを使っていたが(左)、「PMA-3000NE」では銅製のバスバーに変更されている(右)

「PMA-A110」ではスピーカー出力への接続にワイヤーを使っていたが(左)、「PMA-3000NE」では銅製のバスバーに変更されている(右)

 その信号を受け取るパワーアンプ回路には2層基板が採用され、プリアンプ部同様にミニマムシグナルパスを徹底した。また大電流を扱う基板の箔厚を、従来の35umから4倍の140umに厚くしている(PMA-A110は70um)。もうひとつ、出力素子からスピーカー端子までのケーブルも廃止、純銅製バスバーでの接続に変更されたそうだ。

 ちなみにヘッドホンアンプについても、PMA-A110ではパワーアンプから出力された信号を使っていたが、今回はパワーアンプ出力の手前から信号を取り出す仕組とし、よりピュアなサウンドを楽しめるよう配慮している。

 電源部の配置も見直され、デジタル用とアナログ用を分離させた。さらにプリ部の電源は高剛性シャーシに直接マウント、従来は後部に搭載していたスタンバイ電源部は、前面に移動させている。その電源部用にカスタムブロックコンデンサーが新規開発され、そこではスリーブについても “音がよくなる長さ” を検証するほどこだわったそうだ。

画像: デノンの新世代プリメインアンプ「PMA-3000NE」がデビュー。新しいフラッグシップとして、鮮度、明瞭度、純度が高く、躍動感やスケール感を備えた音場再現を獲得

 第三が進化したD/Aコンバーター回路となる。PMA-3000NEはデジタル入力も備えており、USB DACとしては最大384kHz/32ビットのPCMとDSD 11.2MHzに対応している。

 そのDAC回路には、PMA-A110同様にULTRA AL32 Processing回路を搭載する。これはオーバーサンプリングの周波数を1.536MHz(従来のAdvanced AL32 Processing plusは768kHz)まで増加させたもので、理論上-3dBのノイズ改善が期待できるそうだ。

 DACチップはESS製ES9018K2Mで、まずFPGAで1.536MHzまでアップサンプリングした信号を半分の768kHzに分割、これをモノーラルモードで動作にさせた2基のES9018K2Mに入力しD/A変換している。この処理をL/Rそれぞれで行うために、ES9018K2Mは合計4基搭載している。

 なおデジタル回路で重要なクロックについては、DAC回路の近くにマスタークロックを配置し、FPGAとUSB DACにもこのクロックを供給することで、ジッター抑制も達成したそうだ。ちなみにクロックはDSD用に1基、PCM用に2基の合計3基が搭載されている。

 最後の特徴が、Vivid & Spaciousサウンドの実現で、音作りは同社サウンドマスターの山内慎一氏が担当。PMA-A110をさらに進化させた、鮮度、明瞭度、純度が高く、かつ躍動感やスケール感を備えた音場再現を目指している。

 そのためにプリ/パワーアンプ段ではアナログ/デジタルを含めたすべてのブロックでデノンのカスタムコンデンサーを使用、PMA-A110と比べてもカスタムコンデンサーの割合が大きく増えているそうだ。他にもワイヤリングやビスの長さ、脚部の素材についても試聴を踏まえて決定していったという。

画像: デノン試聴室の「801 D4」と組み合わせ、SACDやアアンログレコードの音を確認した

デノン試聴室の「801 D4」と組み合わせ、SACDやアアンログレコードの音を確認した

 デノンの試聴室でB&Wのスピーカー「801 D4」と組み合わせた音を聴かせてもらった。ロックの男性ヴォーカルのCDでは、ゆとりのある音声が再現され、声の定位や楽器の迫力もしっかり感じ取れる。さらにクラシックのソースでは、S/Nが優れ、微小な信号まできちんと描き出されているのも印象的だ。

 SACDではさらに音場がクリーンになり、演奏会場の空間が目の前に再現されてくる。音場がクリーンで音の配置までよくわかるし、声の移動感、高い位置での反響や残響も心地よく伝わってくる。

 アナログレコードも再生してもらった。内蔵されたフォノイコライザー回路は基本的にはPMA-A110と同じとのことだが、低音の再現性はSACDよりも豊かに感じるほどで、ピラミッド型の安定した音場が楽しめた。音に説得感や鮮度感があり、デノンが目指すVivid & Spaciousサウンドを見事に体現していることが確認できた。

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