オーディオテクニカから、ステレオMCカートリッジの新製品「AT-ART1000X」が発表された。発売は7月12日(金)で、価格は¥770,000(税込)。6月22・23日に開催される「OTOTEN2024」の同社ブース(G404)にて、世界初お披露目となる。

画像1: オーディオテクニカ、MCカートリッジのフラッグシップモデル「AT-ART1000X」を発表。77万円で7月12日発売!

 AT-ART1000Xは、同社フラッグシップモデル「AT-ART1000」(2016年発売)の後継となる製品で、その設計思想とデザインを踏襲しながら、新機軸の導入によって空間表現力を飛躍的に高めているのが特徴となる。

画像2: オーディオテクニカ、MCカートリッジのフラッグシップモデル「AT-ART1000X」を発表。77万円で7月12日発売!

 そのAT-ART1000は、”ダイレクトパワーステレオ” MCカートリッジという名称の通り、スタイラスチップの直上に発電コイルを配置するという他に類を見ない独特な構造によって、見事な音質表現力を獲得していたが、AT-ART1000Xではその構造は継承しつつ、この8年の知見を加味して表現力をさらに発展させることに成功した。

 AT-ART1000Xで狙ったのは、低域の再生能力の向上と、音場の拡大。そのために考案されたのが、発電コイルの発電効率の向上=出力電圧のアップとなる。それはコイルの形状の変化に結実しており、従来(1000)の丸型に対し、1000Xでは角形となっている。つまりはコイルの面積を大きくしたことで、磁束変化が多くなり、結果として発電効率の向上につながったということだ。出力電圧は1000の0.2mVに対して10%アップの0.22mVを達成した(音質も大きく向上している。後述)。

画像3: オーディオテクニカ、MCカートリッジのフラッグシップモデル「AT-ART1000X」を発表。77万円で7月12日発売!

 ではなぜ今コイルの形状を変更したのか、については、製造の精度が向上したからという。AT-ART1000を発売した当時は丸型しか作れなかったが、現在では他の形も作れるようになり、検討の結果、四角形が採用されたということだ。その形状はまだまだ考慮の余地もあるそうで、ヨーク部の形に合わせた台形も考えられる、ということだった。

 ボディの構造については、チタニウム、アルミニウム、硬質樹脂という異種材料を組み合わせたハイブリッド構造を継承。今回は、磁気カ回路の耐腐食性を向上させる新たなコーティングを施しているそうで、長期にわたって安定した性能を発揮できるようリファインされている。

 変更点はもう一つあり、こちらは実使用時の利便性の向上を狙ったもので、カートリッジ側はネジ切り仕様へと変更されている。これによって、インテグレーテッドタイプのトーンアームへの取り付けが容易になった、としている。

 製造については、これまで同様に、国内でハンドメイドで生産される、まさにメイドインジャパンの精度・性能を体現する製品となっている。

 なお、製品については一台ずつ針圧測定が行なわれ、最適な数値が提供されるようになっている。また、同社60周年記念モデルで採用されたウッドケース(材質は異なる)が同梱される。ドライバー、ブラシ、ワッシャー、カートリッジ取付用ビスも付属する。

画像4: オーディオテクニカ、MCカートリッジのフラッグシップモデル「AT-ART1000X」を発表。77万円で7月12日発売!

 最後に、音質について簡潔に紹介しておきたい。主には前モデルAT-ART1000との比較になるが、一聴して空間が広くなり、ボーカルなどメインに聞こえてくる音が、より前方にせり出してくるような、音像の定位感を創り上げてくれた。狙いでもある低域の再現性もよくなり、重心はどっしりと低くなり、安定感のある音となっていた。

 ボーカルについては、1000のこってりした再現性もいいものだが、聴き込んでいくにつれて、すっきりと繊細な1000Xのサウンドも耳に馴染んでくるようになった。

 なお、販売については、全国の取扱い特約店((約30店舗)にての販売になるということだ。

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