アメリカを代表する自動車メーカー ゼネラルモーターズの日本法人 ゼネラルモーターズ・ジャパンは、今年誕生から25周年を迎えた「キャデラック」ブランドのフラッグシップSUV「キャデラック エスカレード」を現在国内で展開中だ。
「キャデラック エスカレード」は、1999年に誕生したプレミアムSUVで、全長5mを超えるフルサイズボディによる圧倒的な居住空間、極上のインテリア、そして高い走行性能を兼ね備え、日米とも本物志向の富裕層を中心に、モダンさと先進性が高い支持を得ているという。現行モデルは5世代目にあたり、2000万円に手が届く価格帯ではあるものの、ある意味動く自宅、動くオーディオルーム(後述)とも形容できそうだ。
さて、その「キャデラック エスカレード」には、3つのグレードが設定されていて、2024年モデルの導入にともなって、従来の「プラチナム」「スポーツ」に加えて、「プレミアム」グレードが追加された。いずれも豪華装備が満載で、従来からある「プラチナム」「スポーツ」グレードについては、AKGとの協業による36スピーカーを搭載。上質なサウンドにより、車内をエンターテイメント空間に作り替えてくれる素敵な装備を誇っている(プレミアムグレードは、19スピーカーの仕様となる)。ここでは、「キャデラック エスカレード」の「プラチナム」グレードについて、Auto Sound Webの長谷川氏とともに、紹介したい。
まずは車の紹介から。エンジンはもちろん、アメリカの伝統を体現するV8 OHVを搭載。排気量は実に6,156㏄もある。しかし、エンジンルーム、車内ともに防音・遮音性能も充分で、運転席に座っていても、外に出てエンジン付近にいても、エンジン音はほとんど聞こえてこない。これなら、早朝や夜間の使用でも、周囲に迷惑はかけなさそうだ。
運転席に座ると、まず目に入ってくるのが、超横長の実に38インチの湾曲ディスプレイ。パネルは有機ELであり、発色も明るさも充分。視認性も高い。ハンドル周りにはF1並みにたくさんのボタンが設置されている。注目は、そのサウンドシステムで、2020年に「エスカレード」が5世代目へと進化する際、オーストリアの音響メーカーAKGと協業し、フラッグシップSUVに相応しい極上のサウンド空間の創造を実現させたのだとか。チャンネル数は28、搭載するスピーカーは実に36ユニットにもなり、これによって360度サウンドを楽しめるようになっている。
操作は、38インチディスプレイの右端にあるインフォテインメントスクリーンで行ない、タッチ式なので、表示された項目を見ながら、初めてでもスラスラと操作できるようになっている。初期状態で、一番いいサウンドが聴けるように設定されていることもあり、あまり凝った設定はないが、音量のバランス、定位の位置、助手席のみの音量調整などが行なえる。2列目シートでは、運転席および助手席のヘッドレスト裏にディスプレイが装備されていて、外部入力(HDMI入力端子もあり)にも対応しているので、左右で別の映像を見たり、音楽を聴いたりすることもできる(専用ヘッドホンも付属する)。
以下、サウンドインプレッションについては、Auto Sound Webの長谷川 圭氏にお願いしたい。
ラウンドしたOLEDディスプレイは『こんなところまで画面なの?』と言いたくなるほど広大で、縁のギリギリまで描画されている印象。そしてなにより、メリハリくっきりの画は観てすぐ情報を認識できる。これほどわかりやすい車載ディスプレイは初めての経験である。
音は、どんなジャンルの曲を聴いても口元が緩むくらい愉快。折り目正しい音楽表現の中に、わずかな遊びというか、緩い部分も併せ持っている。根がクソ真面目な性分だけれど、ユーモアセンスも持った人というイメージで、音を正確に再生しながら、聴きどころを魅力的に演出してくれる。
フルサイズSUVならではの広々とした車載空間に、ごく自然に聴かせるサラウンド再生は見事なもの。ルーフのハイトスピーカーや、ヘッドレストのスピーカーなど、スピーカーレイアウトと各チャンネルの設定が巧みであることはいうまでもない。サウンドチューニングのメニューには、ステレオ再生とサラウンド再生の切り替えがとても細かく調整できる機能があり、ディスプレイにはリスニングポイントをドーム状につつみこむビジュアルのUIがデザインされていてユニークだった。
アメ車らしく、フランク・シナトラの声が一番かっこよかろうと聴き始めたが、なんのことはない、まっとうなオーディオシステムに得手不得手はなく、ビリー・アイリッシュもテイラー・スイフトも米津玄師もmiletも誰の声もとても魅力的に聴かせる。ベートーヴェンの交響曲も堂々とした鳴りっぷりで胸のすく思いがした。
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