イギリスの児童小説を元に、主演ジョニー・デップ、監督ティム・バートンのタッグで2005年に公開された『チャーリーとチョコレート工場』。ティム・バートンらしい、ポップなのにどことなくダークな雰囲気を感じさせる画面づくりと、ジョニー・デップの怪演が印象的だったこの作品の前日譚が、UHDブルーレイで登場した。
その『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』は若き日のチャーリー・ウィンカを『DUNE 砂の惑星』シリーズのティモシー・シャラメが演じ(つくづく悩ましげな表情がうまい!)、監督はポール・キング(『パディントン』シリーズ)が勤めている。
『【初回仕様】ウォンカとチョコレート工場のはじまり<4KULTRA HD&ブルーレイセット>』(2枚組/豪華封入特典付)¥8,580(税込)
●ディスク仕様:4K ULTRA HD(片面3層)●シネマスコープサイズ:16×9LB●音声:ドルビーアトモス(英語)、ドルビーデジタル 5.1ch(日本語)●本編:約 116 分(映像特典約 44 分)●映像特典内容:監督が語る“愛される物語”の魅力、美しい音楽の舞台裏、ウォンカの世界へようこそ、素晴らしい衣装、他
UHDブルーレイは映像がHDR映像のドルビービジョン、立体音響はドルビーアトモスというフォーマットで収録。海外サイトによると撮影はアリのLexa LFカメラで4.5K撮影、4K DI(Digital Intermediate)とのことなので、最新のデジタル制作と考えていいだろう。
その恩恵もあってか、UDブルーレイも全編を通して映像がクリーンだ。冒頭、ウォンカが乗った船がグルメ・ガラリアに到着する。その小雪が降る中での寂しげな街の描写、宿の汚れた雰囲気などくすんだ映像なのに、空気にはどことなく透明感がある。宿帳の細かい文字もはっきり識別できるあたり4Kの情報量も確認できた。
町中での “想像” シーンでの華やかな演出、チョコレートショップ内のカラフルな装飾では透明感がより際立ち、細かい領域に着けられた色までしっかり判別できるし、色の階調感、グラデーション再現も滑らかだ。ドルビービジョン(HDR)でピークを立てるというよりも(空の明るさなどは充分でている)、豊かな色域の再現を狙った絵作りがされているのかもしれない。
ヒュー・グラント演じるウンパルンパの緑の髪の毛やオレンジの肌も、きちんと有機物(生き物)らしく感じられ、いかにもデジタル処理しましたという見え方にならないのがいい。
ちなみに前作のウンパルンパ(演じたのはディープ・ロイ)もこんなカラフルだったっけ?と気になったのでブルーレイで見直してみたが、こちらは黒髪で、肌も普通、ボーダーの手袋と靴下に赤いつなぎというコスチュームだった。本作は原作にはないオリジナルストーリーということで、そのあたりはキャラ変があってもいいのだろう。
なお『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のUHDブルーレイには花村聡太<Dai-CE>や松平健といった面々による吹替音声が収録されているのも話題で、さらに『チャーリーとチョコレート工場』についても日本テレビ版の吹き替えを収録したブルーレイが発売されている(昨年末のリリース)。吹き替えファンはここも要チェックだろう。
ドルビーアトモスによるサラウンドサウンドは、特にミュージカルシーンなどで効果を発揮し、コーラスや楽器が視聴者を包み込む効果が体感できる。特にチョコレートショップでの歌唱シーンはあちこちから歓声が響いてきて、没入感たっぷりの楽しみ方を満喫できる仕上がりになっている。
『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のUHDブルーレイは、HDRや立体音響の効果を、色再現や包まれ感の演出に上手に使った一枚だ。SFアクションとは違う、ファンタジーの世界でのドルビービジョン&ドルビーアトモスを楽しんでみてはいかがだろう。(StereoSound ONLINE・泉 哲也)
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