クリプトンから、同社「KX」シリーズスピーカーの新製品が発表された。型番からもお分かりの通り、同社パッシブスピーカー最小ラインナップである「KX-0.5P」のマーク2モデルで、4年ぶりのリニューアルとなる。

●スピーカーシステム:KX-0.5P II ¥268,000(ペア、税別、6月下旬発売)

画像: クリプトン「KX-0.5P II」は、バイワイヤリングで音質がワンランクアップ。中堅価格帯でピアノフィニッシュを採用したコンパクト・リファレンスモデルに注目!

 KX-0.5P IIは、35mmピュアシルク・リングダイアフラム型トゥイーターと140mmカーボンポリプロピレンコーン型ウーファーを搭載した2ウェイ2スピーカーで、これらのユニットやピアノフィニッシュの密閉型エンクロージャーは従来モデルを踏襲している。

 最大の進化点は、内部配線に自社製高級スピーカーケーブルを採用した点にある。ウーファー用には絹の介在を使用したPC-Triple Cケーブルを、トゥイーター用にはマグネシウム芯線の周りに同じくPC-TripleCを6本撚り合わせたケーブルが使われている。しかもそれぞれのユニットの特長に合わせて試聴を繰り返し、音作りとチューニングを徹底的に施したという。

 同社スピーカーの音作りを担当している渡邉 勝さんによると、内部配線をPC-Triple Cに変更したことで、解像度が向上して繊細な音を再現できるようになったそうだ。だがそのままでは高域ばかり耳につくことになりかねないので、低音(ウーファー)とのチューニングも必要だった。

 上記の通りKX-0.5P IIは密閉型エンクロージャーを採用しており、“トランジェントのいい奥深い低音” のためには低域制動特性(Q0)がポイントになるそうだ。そのためにKX-0.5P IIではウールとミスティックホワイトの2種類の吸音材を使い分けることでQ0を調整している。

画像: 左が新製品の「KX-0.5P II」で右が「KX-0.5P」

左が新製品の「KX-0.5P II」で右が「KX-0.5P」

 内部に多くの気孔を持つ動物性繊維のウールと、細かい素材で構成されている科学繊維のミスティックホワイトをエンクロージャー内の最適な位置に取り付けることでQ0を抑え、かつ定在波を効果的に抑制できているわけだ。この吸音剤の種類もKX-0.5PIIから変更されておらず、取り付け場所の工夫といった使いこなしで、高域と低域のバランスと伸びやかな低音再生を実現したとのことだ。

 また前モデルからの変更点として、スピーカー端子がバイワイヤリング対応となった(KX-0.5Pはシングルワイアリング)。クリプトンでは近年スピーカーのバイワイヤリング接続を推奨しており、今回もそのメリットを活用してもらえるようにとの配慮だろう。

 エンクロージャーはスモークユーカリ材をベースにしたピアノフィニッシュ・ミラー仕上げで、国内の工場で作業している。最下層にはポリエステルが使われているが、この素材は自然乾燥しなくてはならないため1日かかるそうだ。その後にベルトサンダーをかけて平面を作り、ここから5〜6層の重ね塗りを行っている。

 これほどの手間をかけてピアノフィニッシュを採用したのは、普及価格帯のスピーカーでも上位モデルと同様に、オーディオ愛好家にも満足してもらえるクォリティを獲得するためだったそうだ。

 新製品発表会で、シングルワイアリング接続でのKX-0.5PとKX-0.5P IIの音の違いを確認させてもらった。KX-0.5Pも高域がしっかり伸びた女性ヴォーカルと、ゆとりのあるベースが再現されている。KX-0.5P IIにつなぎ替えると音場がひとまわり大きくなり、L/Rスピーカーの外側にまでステージが広がった印象となる。S/Nも改善され、低音のはずみもよくなった。

画像: 発表会では、「KX-0.5P II」(右)と、同じく新製品の「KS-55HG」(左)のサウンドを確認した

発表会では、「KX-0.5P II」(右)と、同じく新製品の「KS-55HG」(左)のサウンドを確認した

 これだけでも大きな進歩だが、バイワイヤリング接続に変更するといっそうの違いが出てきた。ダイナミックレンジが大きくなって、ゆとりが確実に増している。高域も低域も無理なく伸び、楽器の生々しさもアップした。

 渡邉さんによると、このサイズであってもウーファーの逆起電力がトゥイーターに及ぼす影響(トゥイーターの逆起電力がウーファーに及ぼす影響も)は見逃せないとかで、バイワイヤリング接続にしたことで、それぞれのユニットの実力が引き出されたのだろう。

 今回の比較試聴を通して、KX-0.5P IIの実力を引き出すにはバイワイヤリング接続は必須だと感じた次第だ。クリプトンではバイワイヤリング接続用のケーブルもラインナップしているので、興味のある方はぜひその組み合わせを試していただきたい。

 また今回、クリプトン製スピーカー2モデルについて6月24日から価格改定が行われる旨も発表された。同社ではこれまで企業努力によって価格を据え置いてきたが、近年の原材料高騰や製造・流通コストの大幅な高騰はそれによって吸収できる範囲を超えてしまったという。

 対象モデルとそれぞれの新価格(すべてペア、税込)は以下の通り。
KX-5PX 旧価格¥547,800 → 新価格¥613,800
KX-3SX 旧価格¥437,800 → 新価格¥481,800

「KX-0.5P II」の主なスペック

●型式:2ウェイ2スピーカー、密閉型
●使用ユニット:35mmピュアシルク・リングダイアフラム型トゥイーター、140mmカーボンポリプロピレン(CPP)コーン型ウーファー
●出力音圧レベル:87dB/W/m
●インピーダンス:6Ω
●クロスオーバー周波数:3.5kHz
●再生周波数帯域:50Hz〜50kHz
●寸法/質量:W194×H352×D319mm/7.6kg

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