第96回アカデミー賞で視覚効果賞を受賞した、山崎 貴監督の『ゴジラ-1.0』。現在も劇場上映されるなど人気を集めている本作が、早くも5月1日にUHDブルーレイ、ブルーレイで発売される。昨日、そんなパッケージソフトについて山崎監督が思いの丈を語る記者会見が、東京・調布の白組で開催された。
今回登場する『ゴジラ-1.0』のパッケージは以下の4種類で、さらに劇場公開時に新しい試みとして注目された『ゴジラ-1.0/C』もブルーレイとDVDの2種類で発売される。
『ゴジラ-1.0』Blu-ray 豪華版 4K Ultra HD Blu-ray 同梱4枚組 ¥12,100(税込)
『ゴジラ-1.0』Blu-ray 豪華版 3枚組 ¥9,900(税込)
『ゴジラ-1.0』Blu-ray 2枚組 ¥6,050(税込)
『ゴジラ-1.0』DVD 3枚組 ¥4,950(税込)
『ゴジラ-1.0/C』Blu-ray ¥4,400(税込)
『ゴジラ-1.0/C』DVD ¥3,300(税込)
この中でStereoSound ONLINE読者&ゴジラファン要注目なのは、やはり「『ゴジラ-1.0』Blu-ray 豪華版 4K Ultra HD Blu-ray 同梱4枚組」だ。なぜならUHDブルーレイは、HDRフォーマットのドルビービジョンと立体音響のドルビーアトモスで本編が収録されているからだ(ブルーレイ版の音声はドルビーアトモスだが、映像はSDR)。
会見では、『ゴジラ-1.0』にドルビービジョンとドルビーアトモスが採用された経緯について、山崎監督から改めて解説が行われた。
「今回は劇場用ラージフォーマットを制覇したいと思っていました(笑)。そうなるとドルビーシネマは欠かせませんよね。さらに白組では、前々から若手スタッフがACES(Academy Color Encoding System)というシステムを使って映像制作を行っていたのですが、それがドルビーシネマに転用できたのです。音もドルビーアトモスに転用可能でした」(山崎監督)
劇場公開時のリポート(関連リンク参照)でも紹介している通り、本作の映像製作にはACESが使われており、それが劇場公開でのドルビーシネマ、ひいては今回のUHDブルーレイでのドルビービジョンの採用に適していたわけだ。
なおACESとは、様々なデバイスで使用できるカラーマネジメントおよび画像交換システムで、異なる入力ソース間(カメラ、VFXなど)の色空間を標準化することを目的としている。 高いダイナミックレンジ、RGBベースのワークフロー、およびスペクトル軌跡全体を網羅する超広色域を備えているのが特長だ。
「『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』で初めてドルビーシネマを見ました。色空間が違っていて、ぜひやりたいと思っていたのでようやく実現できました。ドルビービジョンは、大戸島の暗闇の中でゴジラが出てくるところがよかった。夜のシーンでの炎の眩しさも印象的だし、暗い中でも階調が出てくるので、ゴジラの怖さに貢献しています。
ドルビーアトモスも、音のリッチさが恐怖感につながります。人は限定された情報だと、そこに意識が集中しますよね。今回のエンドクレジットでは、映像が黒いままでゴジラの足音だけが近づいてくるのですが、あれはいい演出だったと思います。音響チームが作ってくれたんですよ」と、山崎監督もドルビーシネマの完成度に満足していることを語っていた。
またアカデミー授賞式に先駆けて行われたハリウッドでのプレミア試写会について聞かれると、「アメリカのファンに囲まれて、改めてゴジラの人気を実感しました。上映中もあらゆるところでリアクションがあって、笑って欲しいところでは笑ってくれたし、理想的なお客さんでした。本当に熱量が凄い、得がたい体験でした」と嬉しそうに話してくれた。
ちなみに山崎監督は、過去に月刊HiViに登場いただいたほどの熱心なパッケージ愛好家でもある。そこで『ゴジラ-1.0』のUHDブルーレイの製作でリクエストした事があったのかをうかがってみた。
すると、「今回は海外出張などもあって、仕様については信頼しているスタッフにお任せしましたが、あらゆるものを詰め込んでくれました。絵も立体感がありますし、潜在意識に訴えるものがあって、劇場に近い興奮を味わえるのではないでしょうか。ドルビーシネマと同じフォーマットを家庭で再現できるのは凄いことだと思います」とのことだった。
今回のUHDブルーレイは、アカデミー賞視覚効果賞を獲得した日本映画としてもちろん初めてのパッケージであり、しかも本編が3層100Gバイトディスクに収録されるなど、贅沢なフォーマットが採用されている。この貴重なディスクを、ファンにどのように楽しんで欲しいかについてうかがった。
「ネットのコメントで、VFXシーンだけまとめて劇場で公開して欲しいみたいな意見もありました。劇場は難しいでしょうが、パッケージソフトで擦り切れるまで見ていただきたいです。でもアラは探さないでね(笑)。
最近は、気に入った作品をメディアで保存するというのがまた流行ってきているみたいですが、それだけの期待に応えられる仕上がりになっていると思います。今回のディスクは、ご自宅にある一番大きな映像機器で見て欲しいですね。大きいテレビで見てもらえれば、劇場とも印象が違うはずです」とホームシアター鑑賞への期待も話してくれた。
なおStereoSound ONLINEでは、山崎監督に『ゴジラ-1.0』のUHDブルーレイを最新ホームシアターで体験いただく企画を進行中だ。実現の暁には、作品はもちろんパッケージの満足度についてもじっくりお話を伺う予定なので、お楽しみに!