正式発表されたファーウェイの最新完全ワイヤレスイヤホン「FreeClip」について、取材機を借用できたので、そのインプレッションをお届けしたい。
まずは本機を手に取った第一印象は、 “軽い!” というもの。ケース自体もこれまでの同社イヤホンより小さく、質量も46g弱なので、ポケットに入れて持ち運んでも苦にならない。さらにクリップ状のイヤホン本体も5.6gしかないので、装着しているのを忘れそうなほどだ。
その前に、まずイヤホンの装着感について。イヤホン部は、ふたつのボール形状のアイテムをつないだC-bridgeデザインで、音楽再生を受け持つアコースティックボールを、耳の内側(耳介)に、もう片方のコンフォートビーンズで外側から耳たぶを挟むように取り付ける。その強さもほどよい塩梅で耳を挟んでいるという感じもなく、でありながらジョギングなどでもずれないほどの安定感を確保している。
まず自宅リビングでサウンドをチェックすると、女性ヴォーカルは高域まですっきり抜けて聴きやすい音が再現される。音場もクリアーで、頭の周りにふわっと広がる。オープン型ながら低音再現も頑張っていて(もちろんカナル型ほどではないにしろ)、ロックなどでもベースやドラムがそれなりに重さをともなって聴こえてくる。
試しにFreeClipをつけたままで買い物にでかけてみた。駅までの道のりでは、バスや車が走っている幹線道路沿いではさすがに音がマスクされるが、車の来ない商店街などでは充分楽しめる音質で聴こえてくる。しかもこの状態でも家内との会話も普通に可能だった。
そのまま電車で移動した。休日の昼間ということで混雑はなく、家内とシートに並んで座ることができた。ここではプレーヤーのiPhoneのボリュウムを80%ほどまで上げてみたが、隣に座っている家内に確認した限りでは、音漏れが気になることはなかったそうだ。FreeClipでは再生音の逆位相の音を出すことで音漏れに対策しているが、その効果はしっかり確認できた。
駅の構内やホームのような騒音の多いところでは流石に音楽は聴き取りにくくなるが、逆にこういったところでは周囲の音を遮断するほうが危険なわけで、その意味でもFreeClipは安心して使える完全ワイヤレスイヤホンといえるだろう。音楽との触れ方としてはBGM的な聴き方となり、音楽に集中するといった使い方ではないが、心地いいサウンドでいつも好きな楽曲と一緒に過ごしたいという方は、ぜひFreeClipを試していただきたい。(取材・文:泉 哲也)