劇場版『マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』(2月16日公開)の完成披露舞台挨拶が1月16日、東京・新宿バルト9で行なわれ、主演の劇団ひとり、共演の高橋克典、木村了、犬飼貴丈、北原里英、松村沙友理、メガホンをとった光岡麦監督らが登壇した。
推理小説の登場人物となり、参加者が話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲーム『マーダーミステリー』。同ゲームシステムをベースに朝日放送テレビにて2021年3月に、ストーリーテラーに劇団ひとりを迎え『マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿』としてドラマ化。今までにない俳優による緊張感のある即興劇(アドリブ)と先の読めない展開が話題となり、2021年12月には舞台化、さらに2022年3月にはシリーズ第2弾ドラマが放送された。
劇場版の舞台は“一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する”という不気味な伝承が残る鬼灯村。その伝承をもとに“三つ首祭り”という奇妙な鬼祭が行なわれていた夜、村の長を務める一乗寺家当主の遺体が発見される。屋敷にいた8人はそれぞれ人には言えない秘密を抱えており、殺害の動機を持っていた。事件の真相に迫るべく、登場人物を演じるキャストによるアドリブ推理が予測不能な結末へと導かれていく。
主人公であるストーリーテラーの探偵・班目瑞男役と、動画配信者を名乗る謎の男・八村輝夫役を演じる劇団ひとりは、本シリーズが映画化された心境を尋ねられると「テレビで何回かやらせていただいて非常に面白かったんですけど、まさか映画になるとは思わなかったというか、不確定要素がすごく多くて実際にフタを開けるまで我々プレイヤーがどう立ち回るかわからないので、よくこの企画が通ったなと思いましたし、その不確定要素に対して見事に対応した我々もすごいなと思います」と自画自賛して会場の笑いを誘った。
そして、今作に対する手応えを聞かれた光岡監督は「過去に2回やらせていただいたのも面白かったんですけど、劇場版ということでスケールも大きくしたいなと思って作りました。不確定要素しかないのでみなさんがどう動くかわからないままスタートしましたが、手応えしかないくらい面白くなっていると思います」と自信をのぞかせた。
また、冒頭の挨拶で「この作品に関して何一つ記憶がございません」と告白した、被害者の幼馴染で村の実力者・五階堂猛役を演じる高橋は、アドリブが上手すぎて台本があるんじゃないかと疑われたそうだが「(取材で)監督はいかがでしたかって聞かれたんですけど、“監督いたっけ?”って(笑)。今日お久しぶりにお会いして“いたいた!”って思ったくらいテンパりまくってました」と当時の胸の内を吐露。それぞれの役柄の設定として、名前や職業、事件の日の時系列などしか伝えられていない中での撮影だったそうで、高橋は「スリルしかなかったよね」と回顧し、完成した今作も冒頭10分程度しか見ていないそうで「頭10分くらい見たら具合が悪くなってきちゃって(笑)。あのときの緊張とかいろんなもので」と苦笑した。
これに、劇団ひとりは「推理がブレちゃったりするからアドリブだけど間違いを言っちゃいけない緊張感もあるんですよね」と共感し、高橋は「どこかチームでもあるんですよね。ヒントは正確に渡していかなければならないし、でも…っていう」とポツリ。続けて、劇団ひとりが「みんなで話してるとき、この中に人を殺した人がいるんだなって思いながら喋らなきゃいけないしね」とコメントすると、村の診療所に赴任してきた医師・六車聡役を演じる犬飼は「疑ってくる人、ちょっと嫌いになりませんでした?」と投げかけ、最近移住してきた元看護師・七尾優子役を演じる北原は「わかります、わかります!」と賛同していた。
さらに、今作に参加した中でもっとも大変だったことを尋ねられると、劇団ひとりは「みんな芸達者だからアドリブでお芝居するのができるんですけど、そこに推理というものを同時にやらなきゃいけなくて、その頭の使い方が難しかったですね」と答え、自身の推理はひどかったそうで「監督に見事にカットしていただきました。最後に名推理を2~3分、みんなの前で披露したんですけど、見事にいかれてました。それくらいトンチンカンな推理を…」と肩を落とした。
同じ質問に、高橋は「役者だとワークショップがあってエチュード(即興劇)とかやるんですけど、本当に苦手で、いつも“俺ってつまらない人間だな”って自分と向き合って落ち込んで帰るんですよ。だからアドリブとかできないので、この話をいただいたときに“無理”と思って何度もお断りしたんです」と打ち明けたが、劇団ひとりから「そうとは思えないくらい現場でノッてましたよ」と言われ、犬飼からも「(高橋が)1番アドリブしていたかもしれない」と声が飛ぶと、高橋は「それはおじさんとしての責任感。だけど全然記憶がない。本当にない」とコメント。木村からも「1番喋っていた」と指摘されると、「嘘つくと喋るタイプなんだね(笑)」と茶目っ気たっぷりに笑った。
続けて、犬飼は推理のパートが難しかったといい「こちらが責めると人によって対応が多種多様で、いろんな方を責めたり、責められたりしたんですけど、高橋さんは責められるとキレるんですよ。ドスを効かせてきて、みんな責めていけなくなるみたいな感じで、こういうやり方もあるんだって勉強になりました」と目を輝かせると、高橋は「そういうオヤジっているよね。オヤジになるといろいろ便利な武器が身につくんだよね」と笑顔を見せた。
そして、最近移住してきた元看護師・七尾優子役を演じる北原は「スタッフさんも徹底してくださっていて、私たちは撮影以外、会話もしちゃいけなかったので、共演者の方たちとどこまで挨拶だったり喋っていいのか、判断が難しいところではありました」と回顧。これに高橋は「えっ、そうなの? 俺一緒に写真とか撮ってもらったよね」と目を丸くすると、北原は「高橋さんにはみんな気を遣ってあまり言わないんですけど(笑)」と笑い、「みんなでアドリブパートを乗り越えたことによって、1日の撮影時間とは思えないくらい絆が深まりました」と声を弾ませた。
そんな北原について劇団ひとりは「今回は北原さんが1番悲劇な役なので見ていただきたいです。本当にかわいそうです」と紹介しつつ、「北原さんの印象的なシーンがあって、みんながそれぞれ証拠を持ちよって『これが証拠だ!』みたいなことを言うんですけど、北原さんも意気揚々と証拠を持ってくるんですけど、あまりみんなに響かないんですよね(笑)。僕はそのシーンがすごく好きなので注目していただきたいです。北原さんの寂しげな顔を」と珍アピールして笑わせた。
幼さが残る屋敷のメイド・三宅麗役を演じる松村は「個人的に関西弁にならないようにするのが大変でした。リアクションとかも全部撮られていましたし、スタッフさんが異常に関西人が多くて、休憩時間にみんな関西弁で喋りかけてくるんですよ。村の出身という設定だったので、その世界観を崩さへんでアドリブで喋るのがめっちゃ難しかったなって思います」と吐露し、「う~ん、難しかったでしゅ」とぶりっ子リアクションで締めくくった。
そんなキャスト陣について、光岡監督は「僕はみなさんのお芝居を全部見ているので、みなさんそれぞれにすごいところを感じたんですけど、高橋さんの台本あったんじゃないか疑惑は僕も思うくらいすごいなと思いました」と舌を巻き、「ひとりさんが想定外のいろんなことを起こされて、それを受けざるを得ないみなさんの対応力がすごかったです」と絶賛。加えて、「追い詰められたときにみなさんの素の表情がちょいちょい出ていて、嘘をつこうとしているときの顔とかが実は出ているので、そういうところも面白く見てもらえるかなと思います」と注目ポイントを明かした。
最後に、PRコメントを求められた劇団ひとりは「僕らが汗かいた姿をぜひ楽しんでください。よく2回見ても面白いってありますが、(今作は)むしろ2回見たほうが面白い可能性さえあるので、ぜひ納得いくまで繰り返し見ていただければなと思いますし、やっていた僕らがすごく楽しかったので、これが『マーダーミステリー』自体に参加するきっかけになったらいいなと思います」とメッセージを送った。
映画『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』
2024年2月16日(金)より、新宿バルト9ほか全国ロードショー
<ストーリー>
嘘と秘密が渦巻く… 閉ざされた村の長い一夜。
劇場版の舞台は『一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する』という不気味な伝承が残る鬼灯村(ほおずきむら)。
その伝承をもとに「三つ首祭り」という奇妙な鬼祭が行われていた夜、村の長を務める一乗寺家当主の遺体が発見される。
しかし、その日、村へと続く一本道で土砂崩れが発生、 警察が到着する迄にはかなりの時間を要する。
当時、屋敷にいたのは8人。それぞれ人には言えない秘密を抱えており、全員が殺害の動機をもっていた。
事件の真相に迫るべく、登場人物を演じるキャストによるアドリブ推理が予測不能な結末へと導かれていく!
【出演】
劇団ひとり 剛力彩芽
木村了 犬飼貴丈 文音 北原里英 松村沙友理 堀田眞三 / 八嶋智人 高橋克典
【スタッフ】
監督:光岡麦(ドラマシリーズ総合演出) シナリオ構成:渡邊仁 配給:アイエス・フィールド 配給協力:ショウゲート
(C)2024 劇場版「マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿」フィルムパートナーズ