先日記事化した、クリエイティブメディアの「LE Audio」コーデック対応のワイヤレスヘッドホン「Creative Zen Hybrid Pro」の続報をお届けしたい。今回のテーマはLC3 plusのサウンド(音質)について。
今回、Creative Zen Hybrid Proが対応したLE Audioには、「LC3」と「LC3 plus」という2種類のコーデックがあり、「LC3 plus」については「ウルトラローレイテンシー(ULL)という別名も与えられている。そう聞くと、どう考えても、aptXに対するaptX LLなのかな、という想いも湧いてくるが、実は96kHz/24bitの伝送に対応する、ハイレゾオーディオワイヤレスの認証を受けているコーデックなのである(ネーミングのセンスがなさすぎる)。
ということで、ここではそのLC3 plusの音質について簡潔に紹介したい。現状、LC3 plusで送信できる再生機は見当たらないので、Creative Zen Hybrid Proに付属のUSBトランスミッター「Creative BT-L3 Bluetooth LE Audio」を、過去のテストでうまくいったシャンリンのDAP「M0 Pro」に挿してみると、今回もうまく動いたので、M0 Pro+Creative BT-L3 Bluetooth LE Audio+Creative Zen Hybrid Proという組み合わせでテストしてみた。
まずは、Creative BT-L3 Bluetooth LE Audioを「LC3」で聴く。CDクォリティ、ハイレゾクォリティのコンテンツをいくつか聴いてみたが、その音調はaptXぐらいかな、というもの。CDコンテンツでは重心は少し高く、音場も狭め。高域はつまっている感覚はないものの、伸びている感触はない。音数も少なめだ。ハイレゾコンテンツにすると、音数が増え(ディテイルがアップする)、響きが豊かになり、音場も上方の空間が拡大していくようで、広く高く感じられるようになる。重心も下がり、ボーカルのニュアンスもより感じられるようになった。
次に、Creative BT-L3 Bluetooth LE AudioをLC3 plusにする。もともと初期状態ではLC3 plusになっているので、購入した方はそのままで使えばよい。ここでは、専用アプリ「Creative App」とPCを使って切替えている。
一聴してその変貌ぶりに驚いた。CDコンテンツがハイレゾっぽく聴こえてくるのだ。重心は下がりどっしりとした印象になるし、ディテイルもより出てくる。高域も伸びているし、音場感も、LC3で聴くハイレゾっぽい印象となる。ただし、少し軽めな印象は受ける。音量は、LC3に対して少し小さくなるようで、テストに使ったM0 Proでは、10~15ぐらい下がる印象だった。
次にハイレゾコンテンツを聴いたが、これまたびっくり。LDAC相当に感じられるサウンドが楽しめたのである。響きはさらに豊かになり、音場も拡大し、細かい音はさらによく聴こえるようになっていて、まるでヘッドホンを交換したかのような激変ぶり! Creative Zen Hybrid Proにここまでの再現性があったのか、という驚きも湧き上がってきた(音が軽めな印象は残っているが……)。このサウンド(音質)が楽しめるのであれば、直接的な比較はしてないのでなんとも言えないが、aptX AdaptiveやLDACにこだわらなくても、LC3 plusで充分満足できるのではないか、と思った次第。クリエイティブメディアからは、今日のニュースにあったように、ハイレゾ対応の完全ワイヤレスイヤホン「Creative Aurvana Ace」が12月に発売予定なので、そのサウンドにも大いに期待できるのはないかと感じた。