Questyle(クエスタイル)から、同ブランド初の電流伝導イヤホン「Questyle NHB12」が登場、応援購入サイトのMakuakeで先行予約販売を開始している(10月30日18時まで実施中)。
Questyleは、ポータブルDACやアンプ、ワイヤレススピーカーで広く認知されているブランド。音質追求を使命に、過去12年間にわたる独自の特許技術と徹底的な音響へのこだわりは、プロの世界でも高い評価を受けているという。
今回登場したイヤホンのNHB12はLightningコネクターを採用した有線タイプで、ケーブルの中央近くに取り付けられたW40×H5×D10mmほどのボックスには独自のCMASiP(Current Mode Amplification System in Package)チップを搭載、DAC機能を内蔵している。
内蔵DACは、192kHz/24ビットのハイレゾ信号にも対応済みで、ストリーミングサービスのApple Musicが配信しているハイレゾロスレス音源の再生もできる。つまり、iPhoneにつなぐだけで簡単にいい音を楽しめるわけだ。Appleが定めている性能基準を満たした製品に与えられるMFi(Made for iPhone/iPad/iMacなど)認証も取得済みという。
ケーブルは、OFC(無酸素銅)の表面に純銀コートを施した二重構造の導体を採用。伝送ロスを最小限に抑え、音の劣化を少なくし、なめらかな高音域の再生を実現したとのことだ。
さて今回、NHB12を3週間ほど借用できたので、iPhone12と組み合わせてじっくり試聴してみた。
NHB12を取り出すと、メタルエンクロージャーらしいずっしりとした質感の手応えが伝わってくる。Lightningコネクター部もしっかりとした作りで、iPhoneに取り付けると安定感がある。ケーブルは若干硬い手応えはあるが、タッチノイズが気になることもなかった。なおイヤホン近くのケーブルは補強されており、ここを耳にかけて装着する仕組みとなっている。
LightningコネクターをiPhone12に差すと、それだけで音が再現された。最近はBluetooth接続の完全ワイヤレスイヤホンを聞くことが多かったので、久々の有線タイプの手軽さが逆に新鮮に感じられる。
iPhone12に保存した楽曲からイーグルス『ホテル・カリフォルニア』(44.1kHz/16ビット/FLAC)やリンダ・ロンシュタット『クライ・ライク・ア・レインストーム』(44.1kHz/16ビット/FLAC)、KISS『グレイテストKISS』(44.1kHz/16ビット/M4A)などを再生する。
まず印象的なのが、音に芯があること。「ホテル・カリフォルニア」や「デスペラード」のドラム、ギターにも力がこもっている。ドン・ヘンリーのヴォーカルも実体感を伴って再現される。リンダ・ロンシュタットのヴォーカルも伸びがあってクリアーに響いてくる。
KISSはそれらに比べるとちょっと軽めなサウンドに思えるが、これはもとがM4A(AAC)圧縮だと知っているためかもしれない。逆に言うとそれくらいの差を感じ取れるだけの情報再現力をNHB12が備えているということなのだろうか。
続いてAmazon Musicを聴いてみた。iPhone12にインストールしたアプリから、ULTRA HD音源のケニー・ロギンス「デンジャー・ゾーン」や、HD音源の今井美樹「PRIDE」を再生する。これらは48kHz/24ビットや96kHz/24ビットで配信されているはずで、Questyleのボックスについているサンプル・レイト・インジケーターも48kHz以上の信号が入力されていることを示している(赤いLEDが2個点灯)。
そのサウンドはCDリッピング音源以上に腰が座った印象で、楽曲そのものにゆとりが感じられる。「デンジャー・ゾーン」の低域感、ビートの弾みも明瞭で力強く、ピラミッド型の安定したバランスで音楽を楽しませてくれるのだ。
完全ワイヤレスとも違う、なんともいえない安心感、力強さを備えたサウンドを楽しめる。Questyle NHB12で有線イヤホンの魅力を再確認してみてはいかがだろう。(取材・文:泉 哲也)
「Questyle」の主なスペック
●使用ドライバー:10.2mmダイナミック型
●対応信号:リニアPCM
●対応コーデック:ALAC(AppleLossless Audio Codec)
●サンプリングレートインジケーター:対応
●接続ポート:Lightning
●対応サンプリング周波数/ビットレート:44.1〜192kHz/16〜24ビット
●インピーダンス:42Ω
●再生周波数帯域:20Hz〜20kHz
●ケーブル長さ:1.2m
●本体重量:26g