ゼンハイザージャパンは本日、Experience Roomの発表会・特別体験会を開催した。Experience Roomとは、企業の会議室や大学のホールといった環境での使用を想定したシステムで、今回はゼンハイザーとQ-SYS、三菱地所との3社合同プロジェクトにより、南青山にある新青山ビル西館2Fに「レンタルミーティングルーム “サクラク”」を設置している。

 Experience Roomの特長は、ボイスリフトとカメラトラッキング機能を装備していること。ボイスリフト機能とは、会議等での発言者を自動で識別して集音、スピーカーからその声を再生してくれるというものだ。

画像: 写真中央が天井に設置されたゼンハイザー製マイク「TCC 2」。スクリーン右側、照明の隣が可動式カメラ

写真中央が天井に設置されたゼンハイザー製マイク「TCC 2」。スクリーン右側、照明の隣が可動式カメラ

 これまでは通常の会議では、ハンドマイクを使って発言者の声を拾い、それをスピーカーから再生していた。この場合発言者はマイクを口元に持ってくる必要があるためパフォーマンスも制限されるし、無意識に緊張してしまう可能性もある。

 さらに質問があった場合は、いわゆるマイクリレーでハンドマイクを届けるケースも多いが、コロナ禍以降、こういったことを敬遠する人もでてきているそうだ。

 しかしExperience Room “サクラク” では、そのような心配はない。縦約13.835×横6.708m(92.81㎡)の室内には、天井にゼンハイザー製天井埋込み型会議用マイクシステム「TeamConnect Ceiling 2(TCC 2)」が4機と「TeamConnect Ceiling Medium (TCC M)」が1機取り付けられており、発言者が室内のどこにいても声を拾い、スピーカーから再生してくれる(音量の大きな人を優先)。

画像: スクリーン反対側にはTCC 2(写真右)とTCC M(写真左)を設置。再生用スピーカーも埋め込まれている

スクリーン反対側にはTCC 2(写真右)とTCC M(写真左)を設置。再生用スピーカーも埋め込まれている

 しかも無理に声を張り上げる必要はなく、隣の人と会話をしている程度の大きさでもちゃんと認識してくれるのだ。その秘密は、TCC 2のスクエア型の本体内部に28個のマイク(ガンマイクのMKH416と同一)が搭載されており、半径5mの範囲で高感度な音声検知が可能という点にある。

 内蔵マイクは、発話者を特定して動きに追従する「ビームフォーミング」機能も備えている。加えて、自動周波数シフター(声を揺らすことでハウリングを防ぐ)やイマージェンシーミュート(ハウリングが起きたら自動でミュートする)といった独自技術により、これまでの同様なシステムよりも大きなボリュウムでの再生にも対応している。

 もうひとつのTCC Mは円形の本体に15個のマイクを内蔵、半径3.5mの範囲の収音が可能だ、音声検知精度やビームフォーミング機能はTCC 2と同等とのことだ。

画像: Experience Room“サクラク”のシステム構成

Experience Room“サクラク”のシステム構成

 マイクで拾った音を再生するスピーカーは、QSC製のインシーリング型で、サクラクには8基セットされている。ちなみに発言者が室内を移動した場合には、マイクがそれを追尾して音を拾い、スピーカー側では発言者の場所に近いスピーカーの音量は抑えめに、遠いスピーカーはレベルを上げることで、どの位置にいても聴きやすいよう調整するという。

 それらのコントロールを行っているのがQ-SYSのシステムだ。Q-SYSは1968年にアンプメーカーとしてスタート、現在も多くの映画館で同社製アンプが使われている由緒あるブランドだ。その後、会議室用プロセッサー、周辺機器を手掛けるようになり、現在ではオーディオとビデオの総合コントロールメーカーという面も持っている。

 Q-SYSでは多くのメーカーとパートナーシップを結んでおり、それらの製品を含めたシステム構築も可能という。実際にサクサクに設置されたゼンハイザーのマイクについても、音を拾う範囲を個別に設定すると言った細かな調整も可能という。しかもそれらをタッチパネルから行えることも特長だ。

画像: 天井埋込み型会議用マイクシステム「TeamConnect Ceiling 2(TCC 2)」は重さ5kgほどで、埋め込みの他、天井吊り下げなどの設置にも対応する

天井埋込み型会議用マイクシステム「TeamConnect Ceiling 2(TCC 2)」は重さ5kgほどで、埋め込みの他、天井吊り下げなどの設置にも対応する

 もうひとつ、サクサクのシステムはPOE(Power Over Ethernet)給電対応製品で構築されているのもポイントだ。POEはLANケーブルで電源も信号も伝送する仕組みで、この方式であれば会議システムの設置時にも通線等がシンプルにでき、施工時の手間も抑えられるわけだ。ゼンハイザーの2機種のマイクも、スピーカーもPOEに対応している。

 また会議で誰が話しているかわかりにくいという声に応えるため、マイクに連動したカメラも設置されている。サクサクでは固定カメラ1台と可動式カメラが2台という構成で、マイクが発言者を認識すると、可動式カメラにその情報が伝送されて姿を捉える仕組みだ。その場合、どれくらいまで発話者をズームするかといった設定もできるという。

 Q-SYSのシステムは中核となるプロセッサーとネットワークスイッチをLANケーブルでつなぎ、さらにマイクやスピーカー、カメラなどの構成機器を必要な台数ネットワークスイッチにつなぐ(LAN)といった形で構成される。

 制御システムは設置する広さに応じて最適なプランを提案してくれるとのことで、会議が“サクサク”と進む環境をお考えの方は一度真青山ビルを訪ねてみてはいかがだろう。

画像: システムの設定や制御はタッチパネルから可能。写真はサクサクのメインコントロール画面

システムの設定や制御はタッチパネルから可能。写真はサクサクのメインコントロール画面

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