SONOSから3月末に発売された新世代スマートスピーカー「Era 300」(¥69,800、税込)を自宅で視聴する機会を得たので、インプレッションをお届けしたい。

 まずEraシリーズとは、受賞歴をもつアーティストやエンジニアがチューニングに携わった新しいシリーズで、モノーラル仕様の「Era 100」(¥39,800、税込)と、空間オーディオ(ドルビーアトモス)の再生が可能なEra 300がラインナップされている。

画像: 「Era 300」のサイズは、W260×H160×D185mm、重さ4.47kg。ブラックの他にホワイトも準備されている

「Era 300」のサイズは、W260×H160×D185mm、重さ4.47kg。ブラックの他にホワイトも準備されている

 今回は上位モデルのEra 300を借用したが、こちらは本体下側両側面にウーファーを2基、その上側にアコースティックレンズ付きトゥイーターを2基、本体正面にセンタースピーカーと正面上側にイネースルドスピーカー(アコースティックレンズ搭載トゥイーター)を内蔵した6ユニット構成を採用する。

 ステレオ音源(2ch)を再生する場合は本体両サイドのウーファー+トゥイーターを使った2ウェイ2スピーカー×2(L/R)となり、センターとイネースルドスピーカーからは音が出ない(空間オーディオへのアップミックスは行わない)。一方空間オーディオを再生する際には、ふたつのウーファー+トゥイーターでフロントL/RとリアL/Rを、イネースルドスピーカーではトップスピーカーL/Rの音楽成分を再生するそうだ(リアとトップの情報は壁や天井の反射を使って再生)。

 ということで、まずはEra 300をオーディオラックの上段(床から45cmほどの高さ)に置いて、設定をスタートする。Era 300も従来のSONOS製品同様に、ネットワーク接続を前提としており、各種設定や操作はスマホアプリから行う。Era 300の電源を入れてSONOSアプリを起動すると、メニュー画面上にEra 300が認識されるので、指示に従ってネットワークに接続、TruePlayによる部屋の環境測定までが10分ほどで完了した。

画像: 本体両サイドに2ウェイ2スピーカー×2を、さらにセンタースピーカーとイネーブルドスピーカーの合計6基のユニットを搭載

本体両サイドに2ウェイ2スピーカー×2を、さらにセンタースピーカーとイネーブルドスピーカーの合計6基のユニットを搭載

 Era 300はスマホ等とBluetoothでつないで音楽を再生する他に、Amazon Musicなどのストリーミングサービスもダイレクトに再生可能だ(別売のアダプターを使えばアナログ音声の入力もできる)。

 まずiPhoneとBluetoothで接続して、2ch音源を再生する(再生アプリはfoobar2000)。CDからリッピングしたエリカ・バドゥ「Rimshot」やE.L.O.「Twilight」、ビリー・ジョエル「The Stranger」などを再生すると、ヴォーカルの押し出し感のある、力強い音が飛び出してきた。低域重視の図太いサウンドで、女性ヴォーカルも腰が座った印象になる。高域まで伸びたワイドレンジな音ではないが、その分厚みのある声が楽しめる。

 とはいえ「Rimshot」の冒頭などはやや低域が強調気味で、ラックの天板で反射(共振)しているように感じたので、Era 300を天板の中央から少し手前にずらしてみた。するとこちらの方がだぶつき感が抑えられて、でも迫力は残っている。Era 300を導入する場合はしっかりした置き台などを準備した方がいいだろう。

画像: Era 300は、ネットワークにつないで使うシステムとなる。その登録はSONOSアプリから行う

Era 300は、ネットワークにつないで使うシステムとなる。その登録はSONOSアプリから行う

 この状態で空間オーディオ(ドルビーアトモス)の音源を再生する。Amazon Musicアプリのプレイリスト「Best of Dolby Atmos」からテイラー・スゥイフト「All Of The Girls You Loved Before」を、「Music Fromトップガン」からレディー・ガガ「ホールド・マイ・ハンド」などを鳴らしてみたが、楽曲はドルビーアトモスで配信されているのに、アプリ上にはマークが出ない。これは何故なのか?

 よく考えたらAmazon Musicアプリからの再生では、iPhoneからEra 300に音声信号を伝送しているわけで、現在の接続ではそこをBluetoothで行っている。これだとドルビーアトモスを送ることはできないから、当然といえば当然かも。

 そこでSONOSアプリの「音楽&コンテンツ」にAmazon Musicを追加し、Era 300をダイレクトにストリーミングサービスに接続する。サービスの追加は、アプリのメニューに従ってIDを登録するだけと簡単だ。

 SONOSアプリから同じプレイリストを選ぶと、今度はドルビーアトモスのマークが表示され、音の印象も変化した。Amazon Musicで再生した時(2ch再生)と音の方向性や低域の印象は変わらないが、そこに高さの再現が加わり、ドルビーアトモスらしい広がりを楽しむことができた。Era 300を中心に半円状に音が広がってくる、そんな包まれ方といえばいいだろうか。

画像: 空間オーディオ(ドルビーアトモス)を楽しむには、SONOSアプリの再生ソースにAmazon Musicを追加しておくこと。該当ソースを再生するとタイトルの右下にドルビーアトモスのマークが表示される

空間オーディオ(ドルビーアトモス)を楽しむには、SONOSアプリの再生ソースにAmazon Musicを追加しておくこと。該当ソースを再生するとタイトルの右下にドルビーアトモスのマークが表示される

 さて、ここまではEra 300を1台で鳴らした印象だが、もう1台準備すれば、L/RそれぞれにEra 300を使ったステレオ再生も可能になる。ペアリング操作は2台目のEra 300をSONOSアプリに登録し、グルーピングするだけ。その際に左右チャンネルにどちらを割り振るかも指定できる。

 Bluetoothによる2ch再生から試したが、アプリ操作は何も変える必要はない。1台使用時と同様にfoobar2000で楽曲を選ぶと、そのまま2台のEra 300から音が再生された。

 不思議なことに、Era 300を2台使った方が低域がすっきりして、強調感も抑えられている。といっても量感が物足りなくなったわけではない。おそらく、L/Rユニットが低音をゆとりを持って再現できるようになった結果なのだろう。高域とのバランスも良好で、音楽を聴くならこちらの方が好ましい。

 音場空間も、1台使いではEra 300を中心に半径1m〜1.5mの範囲で音が鳴っている印象だったが、当然ながら2台使いではぐっと広くなる。「Rimshot」や「The Stranger」でもヴォーカル定位が明瞭になり、楽器との距離もわかるようになった。

画像: SONOSの新世代スマートスピーカー「Era 300」をリビングに導入する(前) 予想以上に低音の迫力あるサウンドが聴けた。空間オーディオを楽しむなら2台使いがお薦め
画像: 写真上がEra 300を60cm離して設置した状態で、下が1.2m空けたもの。音場空間は1.2m離した場合の方が遥かに好ましかった

写真上がEra 300を60cm離して設置した状態で、下が1.2m空けたもの。音場空間は1.2m離した場合の方が遥かに好ましかった

 なお最初はL/R間を60cmほどの間隔で設置していたが、さらに離して1.2mほどに広げてみたところ、わが家の場合は(15畳ほどのリビングの長手壁面に設置)こちらの方が好ましく感じられた。Trueplayで再測定すれば、さらに音が馴染んでいくことだろう。

 ドルビーアトモスの音源も当然ながら2台使い&L/Rの距離1.2mがお薦め。「ホールド・マイ・ハンド」は高さ方向の情報がより感じ取れるし、不思議なことに奥行方向の再現性も出てきて、ステージの配置まで見えるような気がする。映画のように後方まで包まれるというわけにはいかないが、音場空間はかなり広いので、空間オーディオを中心に楽しむのならEra 300は2台準備して欲しい。

 さてSONOSでは、Era 300を使ったホームシアター展開も提案している。我が家でそちらも試してみたので、次回紹介したい。(取材・文:泉 哲也)

This article is a sponsored article by
''.