国内オーディオブランドfinalは4月29日、中野サンプラザで開催の「春のヘッドフォン祭2023」の開場に先駆けて、同社ブース内において、新サービス&新製品&新ブランドの発表会を開いた。
新サービスでは、同社完全ワイヤレスイヤホン「ZE8000」を対象にした「自分ダミーヘッドサービス」、新製品は同社取り扱いDITAブランドのポータブルUSB DAC「Navigator」、そして新ブランドは、同社が展開するMAKEシリーズを内包する「REB」(レブ)となる。
順に紹介していくと、「自分ダミーヘッドサービス」とは、ZE8000の発表会の際にアナウンスされていたカスタムイヤーピースに付随するもので、近年流行している聴こえの個人最適化とは異なるものになるという。専用の測定器を用いて、対象(ユーザー)の上半身、およびレーザースキャナにて耳の形状(耳の窪みの部分=耳甲介、外耳道)を測定し、そのデータを元に個人個人の聴こえ方がいつも同じになるように調整=アライメントを取るということになる。カスタムイヤーピースは、それを補助するものになる。
細かい話は省くが、finalの担当者の弁によれば、人が音を聞く際、空間と音色を別々に処理しているといい、その聞こえてくる空間をきっちりと調整してやることで、音色の感じ方が向上するのだという。final曰く、「自分ダミーヘッドサービス」とは、「音色認識を向上させるサービス」になる、ということだ。
さて、そのサービスを受けるには3つの行程があり、3回(その都度)、同社を訪れる必要がある。行程1は測定。ここで上半身と耳周りの測定を行なう。時間的には数分で終了するそうだが、その測定データからカスタムイヤーピースの製作、個人データの作成におおよそ2~3週間かかるという。次の行程2は、そのカスタムイヤーピースを測着して、実際にどう聞こえているのかを測定する工程で、このデータまとめにさらに1~2週間かかるそうだ。最後の行程3は、1、2のデータを元に、最終的な調整(アライメント)をとるものになる。信号処理については、ZE8000側にその数値(処理)が書き込まれるそうだ。
サービスは7月に開始予定で、価格は¥55,000を想定。事前(5月末ごろ)にモニター募集も行なわれるという。
なお、可否で言えば、このサービスは他の完全ワイヤレスイヤホンへの適用も可能だそうだが、現状では想定していないそう。また、有線イヤホンへの展開も可能だといい、その場合、スマホなどで必要な信号処理を行なう専用のアプリを(finalが)開発すれば、対応はできるということだ(こちらも想定はしていないという)。
さて、次はDITAブランドの新製品「Navigator」。これはポータブルタイプのUSB DACで、DITAらしいこだわりの筐体がポイント。アルミマグネシウムブロックからの切削加工を行なっているそうで、13ものパーツを組み合わせて筐体を創り上げているという。USB-C入力、出力は3.5mmステレオミニ、4.4mmバランスを備える。スペック的には、DACはESSの「ES9219」を2基搭載し、対応サンプリング周波数はPCMでは768kHz/32bit、DSD256(11.2MHz・ネイティブ再生)をサポート。クロックはFPGAで制御され、こちらも2基を搭載する。最大出力は340mVをマークするそうだ。発売は夏を予定。日本では限定400台の販売となるそうだ。価格は未定。継続販売か、限定数で販売終了かについても未定。
三つめの新ブランド「REB」は、finalがこれまで展開してきた、ユーザーが自分の好みの音色を作ることができるMAKEシリーズ、直販サイトを統合するものになるそうで、さらにオリジナル製品(イヤホン)の展開も予定されている、ということだ。
MAKEシリーズのコミュニティサイト「MAKER’S」も取り込むものになるそうだ。なお、そのMAKER’Sは、これまでは登録ユーザーのみが閲覧可能なサイトだったが、本日より未登録ユーザーにも開放(見るだけ、書き込みなどには登録が必要)するという。
そして、新ブランドの立ち上げによって、対象製品も、final製…というゆるい縛りがなくなり、他社製品へも門戸を開き、担当者曰く「ユーザーの楽しいを実現するブランドを目指す」としている。リアルイベントも、北海道、仙台、名古屋、大阪、博多など、各地で開催を予定するそうだ。