私立警察か 夜の私刑者か 妻の面影、娘の涙を心に抱いて
さすらいの狼が仕掛けた闇の罠!

狼よさらば 1974年

監督 マイケル・ウィナー
製作 ハル・ランダース ボビー・ロバーツ
製作総指揮 ディノ・デ・ラウレンティス
原作 ブライアン・ガーフィールド
脚本 ウェンデル・メイズ
撮影 アーサー・J・オーニッツ
音楽 ハービー・ハンコック
出演 チャールズ・ブロンソン ヴィンセント・ガーディニア ホープ・ラング  
   スティーヴン・キーツ ウィリアム・レッドフィールド キャスリーン・トーラン 
   スチュアート・マーゴリン オリンピア・デュカキス 

※Titbit:暴行犯のひとりにジェフ・ゴールドブラム、射殺される強盗にデンゼル・ワシントンが扮している

画像: 04K SCREEN CAPTURE

4K SCREEN CAPTURE

観客と評論家に人気があったにも関わらず、ハリウッドでスタアの座を得られず、『サン・セバスチャンの攻防』に出演後ハリウッドを離れ、ヨーロッパに活躍の場を移した好漢ブロンソン。『さらば友よ』『ウエスタン』『雨の訪問者』『狼の挽歌』など、ヨーロッパでの活躍はご存知の通り。そしてフランス ・イタリア・ スペイン合作西部劇 『レッド・サン』に出演後、ハリウッドに凱旋する。

一方、イギリス人監督ウィナーは、 ハマー・ホラー作品で知られていたオリヴァー・リードとコンビを組んだことで才能を開花、ふたりのコンビ作『ジョーカー野郎』『明日に賭ける』『脱走山脈』をヒットさせる。なかでも高い評価を受けた『脱走山脈』は、ハリウッドで注目を集め、ユナイテッド・アーティスツの招きで修正主義西部劇『追跡者』を監督、アメリカ映画デビューを飾った。

ブロンソンとウィナーが初コンビを組んだのは、やはりユナイテッド・アーティスツが製作配給した『チャトズ・ランド』であり、ウィナーはハリウッドでのブロンソンのペルソナを確立したと言われる『メカニック』『シンジケート』『狼よさらば』を放つ。

ニューハリウッド(1960年代後半から70年代半ばにかけて起きたムーブメント)の流れを避けて、伝統的なハリウッドスタイルで演出した。自警行為は魅力的なファンタジーかもしれないが、現実には事態を悪化させるだけだ。それを描くために、主観的なテクニックの使用を避け、観客がアクションの中心にいるのではなく、客観的にドラマの展開を観るようにした。(マイケル・ウィナー)

画像1: 4K SCREEN CAPTURE

4K SCREEN CAPTURE

『狼よさらば』でブロンソンが演じるのは、成功したニューヨークの建築家ポール・カージー。ある日、暴漢によって妻が殺害、暴行を受けた娘は精神を破壊されてしまう。この事件をきっかけに、ポールは銃の力を借りて犯罪者に私的制裁を加えていく。『狼よさらば』はブロンソン・フィルモグラフィの中で重要な作品のひとつであり、本作以降20年間で4つの続編を生み出している。

ブライアン・ガーフィールドの小説は、狂気に陥る普通の男についての話だ。自衛行為を続けるうちに主人公の精神は歪んでいき、終いには武装していないティーンエイジャーの容姿が気に入らないという理由だけで撃ち殺すんだ。私の脚本はシドニー・ルメットの監督作となるはずだった。犯人を追う市警刑事フランク・オチョアが主人公であり、刑事をヘンリー・フォンダ、犯人をジャック・レモンが演じる予定だった。監督とスタアの土壇場での変更は、すべてを変えてしまった。(脚本ウェンデル・メイズ/『眼下の敵』『ポセイドン・アドベンチャー』)

画像2: 4K SCREEN CAPTURE

4K SCREEN CAPTURE

撮影監督は『真夜中のパーティー』『セルピコ』のアーサー・J・オーニッツ。軽量コンパクトで静音性の高いパナビジョンR-200 PSR(Panavision Silent Reflex)撮影。パラマウント・アーカイブ部門主導による、35mmオリジナルカメラネガからの最新(2022年)4Kデジタルレストア/HDRグレード。HDRはHDR10とドルビービジョンをサポート。ちなみに本作は2014年に米ワーナーからBLU-RAYリリースされている。これは2012年、ワーナーがパラマウント映画600タイトルの権利を購入したことによるもの(契約の有効期間は3年間)。

照明は可能な限りシンプルにした。過度な照明でニューヨークの街頭を別の街のようにしたくなかったからね。ナイトシーンの撮影ネガは露光不足となり、ラボで増感するんだ。それには厳密で適正な露光が必要となる。ニューヨークのテクニカラーラボは完璧に仕事をこなしたよ。おかげであの時代のニューヨークが持つリアルな空気感を再現できた。それは私やマイケル(ウィナー)が求めていたものだ。(撮影監督アーサー・J・オーニッツ)

画像: 2014 WARNER BLU-RAY

2014 WARNER BLU-RAY

画像: 2022 KINO UHD BLU-RAY

2022 KINO UHD BLU-RAY

大きな相違点は1.78:1ハイビジョン・アスペクトから、1.85:1オリジナル・ビスタサイズに修正されたこと。単に上下マスキングを施したものではなく、インターポジを使用したBLU-RAY版と比較するとフレーミングの違いも視認できる。主に夜または暗い場所が舞台となるが、それでも全体的なディテイルの明瞭度、黒レベル、色調が改善されている。粒子感は適切にレンダリングされているが、ナイトショットによってはわずかにDNRの痕跡がある。

HDRグレードは控え目ではあるが、コントラストと色域の拡張は明快。なかでもBLU-RAY版に比べれ彩度の改善が遥かに優れており、全編を通じてウォームトーンに寄せられ、色階調もシームレスに拡張している。高精細感とは無縁の映画ながら、粗い質感を湛えたタフな映像は観応えあり。撮影監督オーニッツが切り撮ったニューヨークのロケーションは、貴重な映像資料としての重みをもつ。

画像3: 4K SCREEN CAPTURE

4K SCREEN CAPTURE

音響エンジニアは『ジョーカー野郎』に始まるウィナー監督作品や、『デュエリスト 決闘者』『上海サプライズ』で知られるヒュー・ストレイン。2017年パラマウントBLU-RAY版と同マスターと思われるDTS-HD MA2.0(ステレオ)サウンドトラックと、今回新たにリミックスされたDTS-HD MA5.1サウンドトラックを収録(使用素材は不明)。

5.1chミックスはフロントヘビーであるものの、警察署内、ニューヨークの歓楽街、地下鉄の列車内でサラウンド効果を機能させる。2.0chトラックの整音精度はわずかながら高まっており、なかでも中音域(発声)の明瞭度が改善されている。物語のムードを確立する音楽は、ミケランジェロ・アントニオーニ監督作 『欲望』以来、8年ぶりにサウンドトラックを担当したハービー・ハンコック。ストリングスと融合させた、グルービーなフュージョン・ビートは聴きどころのひとつ。

スタジオはドン・エリス(『フレンチ・コネクション』)やデヴィッド・シャイア(『サブウェイ・パニック』)を候補に挙げたが、ディノ(デ・ラウレンティス)は最初からハービー・ハンコックを考えていたようだ。もちろん異論はなかったよ。前の年に発売された『ヘッド・ハンターズ』は、私のお気に入りだったからね。(マイケル・ウィナー)

UHD PICTURE - 4/5  SOUND - 4/5

画像: 4K SCREEN CAPTURE 映像平均転送レート 74750 kbps(HDR10)| 11282 kbps(DOLBY VISION 13.11%) 音声平均転送レート 2002 kbps(DTS-HD Master Audio 2.0 | 48kHz | 24bit) 3639 kbps(DTS-HD Master Audio 5.1 | 48kHz | 24bit)

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映像平均転送レート 74750 kbps(HDR10)| 11282 kbps(DOLBY VISION 13.11%)
音声平均転送レート 2002 kbps(DTS-HD Master Audio 2.0 | 48kHz | 24bit)
          3639 kbps(DTS-HD Master Audio 5.1 | 48kHz | 24bit)

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