ネットでの動画配信が主流になりつつある昨今、でもホームシアターで楽しむならやっぱりフィジカルメディア。実際に、ビットレートの有利さや細かな仕様、特典などでそのメリットを感じることも多いはず。本連載では、そんなディスクメディアをホームシアターで再生、そのインプレッションを紹介する。第二回は人気シリーズの最新UHDブルーレイをチョイスした。

『【初回仕様】ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密<4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(2枚組/ペーパープレミアム付)』

画像1: 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は、絵も音も凄かった。腰を据えて再生に取り組むべきUHDブルーレイだ【フィジカル万歳 02】

¥7,990(税込)
●発売元:NBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社(1000818672)●映像:HEVC、ドルビービジョン、シネマスコープサイズ●音声:ドルビーアトモス(英語)、ドルビーデジタル5.1ch(英語、日本語)●字幕:日本語、英語、吹替用●本編:約143分●2022年・米

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 8月19日に発売された『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』のUHDブルーレイを、わが家のホームシアターでチェックした。

 『ハリー・ポッター』の前日談としてスタートしたシリーズも既に3作目、予定されている5部作の折り返し点という位置づけになる。

 そんな魔法ワールドの作品群は、『ハリー・ポッター』の頃から色の乗りが深く、暗部階調の再現が難しかった覚えがある。薄暗い中での人物の表情や、夜の魔法バトル(杖からの光のほとばしり)など、(ひと昔前の)液晶テレビの大敵と言える映像だったのだ。この傾向は『ファンタスティックビースト』シリーズにも継承されており、わが家の再生でも重要なポイントになった。

画像2: 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は、絵も音も凄かった。腰を据えて再生に取り組むべきUHDブルーレイだ【フィジカル万歳 02】

 さて、今回視聴した『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密<4K ULTRA HD&ブルーレイセット>(2枚組/ペーパープレミアム付)』はUHDブルーレイと2Kブルーレイのセットで、UHDブルーレイには4K/ドルビービジョン映像とドルビーアトモス音声を収録、ブルーレイは2K/SDR映像+ドルビーアトモス音声という仕様だ。

 まずはソニーの4K/SDRプロジェクター「VPL-VW1100ES」&スチュワート「HD170-5D」(110インチ/16:9、サウンド仕様)と、ヤマハ「CX-A5200」を核にした7.1.4システムでチェックする。UHDブルーレイプレーヤーにはパナソニック「DP-UB9000」を使った。

 冒頭、ニュートがキリンの子供を助けるまでのシークエンスは、薄暗い中で物語が進行し、SDRプロジェクターでは背景の岩肌、枯れ木などの細部が判別しにくい。襲撃者たちの表情も若干平板な印象で、無表情ゆえの不気味さもスポイルされてしまう。

画像3: 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は、絵も音も凄かった。腰を据えて再生に取り組むべきUHDブルーレイだ【フィジカル万歳 02】

 そこでVW1100ESの映像調整からピクチャープリセットを「リファレンス」にし、明るさやガンマ補正、シネマブラックプロなどで微調整を加えてみた。結構粘ってそれなりの映像にまとめたつもりだが、画面全体の黒の締まりなどはもう一歩追い込みきれなかった。このあたりはディスクが持つ情報量を活かし切れていない悔しさが残る。

 同じくチャプター7〜8の洞窟でのテセウス救出シーンも、マンティコア(サソリのような生物)のディテイルがぼんやりしてしまい、コミカルさが減衰する印象は禁じ得ない。

 一方で、チャプター9、ホグワーツ魔法魔術学園を俯瞰したカットは画面全体がクリアーに描かれるし、その後の食堂のシーンでは生徒達の表情もよくわかり、ブルーのガウンの質感も見事。4Kらしい再現性といっていいだろう。チャプター12の山頂での次期指導者選びのシーンも同様に画面全体がすっきりしてヌケがいい。抑えた色調だが、渋みのある演出がうかがえる。

画像4: 『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』は、絵も音も凄かった。腰を据えて再生に取り組むべきUHDブルーレイだ【フィジカル万歳 02】

 とはいえせっかくドルビービジョンで収録されているのなら、そのパフォーマンスも確認したい。そこでディスプレイを有機ELレグザ「55X9400S」に切り替え、映像メニュー「映画プロ」でチェックする。

 こちらはドルビービジョン(HDR)のスペックがフルに発揮された映像で、黒が沈み、暗部階調の再現もなめらかだ。プロジェクターで物足りなかったシーンでも、すべてがすっきり見えてくる。冒頭のキリンの皮膚の細かな描き込み、洞窟内のマンティコアの表情(?)まで伝わってくる。

 今回の『ファンタスティックビースト〜』UHDブルーレイを2種類のディスプレイで見比べて、パッケージに収められている情報をいかに上手く引き出すか、その重要性を改めて確認した次第だ。

画像: 55X9400Sとの組み合わせでは、ドルビービジョンでチェックしている

55X9400Sとの組み合わせでは、ドルビービジョンでチェックしている

 ドルビーアトモスのサウンドは、最近のハリウッド作品で主流になっている、自然な包囲感を演出する音作りと感じた。セリフの定位感も明確で、派手ではないが、必要な場所にはていねいに音が配置されている。

 チャプター6後半のダンブルドアとクリーデンスのバトルシーンでの移動感やキレのよさが楽しいし、チャプター10のグリンデルバルドの演説が山々に消えていく様子も自然で、物語にひきこまれてしまう。

 魔法ワールドシリーズのパッケージは、映像・音ともに最高のスペックを目指して作られている。ホームシアターユーザーも、ぜひ腰を据えて再生に取り組んでいただきたい。(取材・文:泉哲也)

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