ユニークな音響機器の開発・製造を行なっているユニークサウンドエクスプローラー(以下、USE)から、デスクトップなどのニアフィールド向けとなるスピーカーシステム「THEATER BEAT(シアタービート)」が、発売中だ(¥29,100税込)。
これは、新開発70mm平面スピーカーユニットを用いたシステムで、パッシブタイプのスピーカー1対(密閉型)と、アンプ内蔵のプレーヤースタンドがセットになったステレオシステム。ニアフィールド用ということで、1m以内の聴取において、劇場のような音場創造を目指した製品ということだ。
製品ラインナップは、外装の違いでブラック仕上げと木目仕上げの2種類が用意されている。ここでは、木目仕様の製品を用いてのインプレッションを紹介したい。
さて、そのスピーカーユニットは幅90mm、高さ140mm、奥行100mmという直方体で、側面の四隅は面取りがされたラウンド形状となっており、見ためにも可愛しいデザイン。木目仕上げとなっていることもあり、無機質になりがちなデスクトップへの設置では、いいアクセントになってくれるだろう。配線は一体型で、背面からケーブルが出ており、長さは約60cm。頑張れば40インチクラスのモニターとも組み合わせられるだろう。
アンプ部はプレーヤー(スマホやタブレットなど)スタンドと一体となっており、スマホ/タブレットと組み合わせる場合は、中央にこのスタンド、両端にスピーカーという置き方になるだろう。アンプ部自体は、最近流行のポタアン、あるいはモバイルバッテリーと同程度のサイズとなっている。ただ、ノートパソコンと組み合わせる場合は、スピーカーの間にノートを置くだろうから、スピーカーケーブルが短いこともあり、アンプユニットの設置には少し困るかもしれない(もう少しケーブルが長いか、ケーブルの脱着・交換が可能な仕様だと助かる)。
まずは、Astell&KernのDAP「A&ultima SP1000」を組み合わせて音楽コンテンツを聴いてみた。接続は3.5mmステレオミニだ。一聴して、音像が中央にくっきりと定位する様子が心地よいもの。いわゆるファントムセンターがしっかりと構成されることで、ボーカルの存在感が際立ち、素敵な印象を与えてくれる。その反面、音の広がり感は希薄で、音像・音場は、スピーカーユニットの中央に蝟集するような形となる。
小音量時においては、低域の再現性は弱いが、ある程度まで音量を上げると(SP1000で100以上)、低域の存在感も得られるようになる。高域については、スペックを見ると18kHzまでの特性となっていることもあり、あまり伸びている印象はない(かと言って詰まっている印象はない)。
気になったのは細かい音の再現性。あまりディテイルは欲張らずに、パワーで押し切る印象。粒立ちの大きい音の塊が、中央に集まっているという感じだ。
ちなみに、通常コンテンツ(CDクォリティ)とハイレゾコンテンツ(96/24)を聴き比べてみたところ、粒立ちが大きい中でもハイレゾらしい細やかな再現や、重心の下がる様子が感じ取れるものとなっていた。プレーヤーをスマホに替えて同じハイレゾコンテンツを再生したところ、すっきりとして薄味で、ボーカルの力感が弱くなり、(ボーカルが)楽曲に埋もれるようなサウンドとなっていたので、プレーヤーの性能に見合った再現性を持っているということだろう。
なお、アンプ/スタンド部は、スピーカーユニットの間(中央)に置きがちだが、そうすると音がプレーヤーと干渉して濁ってしまうので、アンプ/スタンド部はもっと手前に持ってくるか、奥に押し込むかしたほうが、音への影響は抑えられてクリアとなる。
次に、本製品の本領発揮となる映像コンテンツとの組み合わせで、その音質をチェックしてみた。記者所有のノートパソコンを使い、ネットフリックスの動画をいくつか再生している(音声はステレオ)。
あまりドンパチのない、セリフメインのドラマ作品では、相性はぴったり。音楽再生と同じく、セリフが画面中央に定位することもあって、画と音の一体感は高い。音楽再生では、音の粒の粗さが気になったが、映像コンテンツではそれがセリフの力感につながり、厚みのある声(セリフ)を聴くことができた。
見た目にも、試聴に使った13インチクラスのノートとスピーカーのサイズマッチングはよく、ノートの左右にスペースが確保できれば、常設しておいてもいいのではないかと思えるほど。ただし、アンプ/スタンド部と、アンプ部とほぼ同じ大きさのACアダプターの置き場には少し困るかもしれない(ACアダプターはもっと小型化するか、アンプ部自体をUSB-C給電対応にしてほしい)。
派手なシーンの多いアクション作では、音楽再生時とは違って、音量をそれほど上げなくても低域の再現力は発揮されているので、結構楽しめるサウンドとなっていた。ただし、爆発シーンなど、アクションをサポートする派手なSE音が、少しこもるような印象となってしまうところは、気になった。
なお、今回紹介したTHEATER BEATは、新宿・渋谷・有楽町のb8ta(ベータ)店舗に展示があり、試聴も可能という。