1979年に放送された日本ロボットアニメの金字塔にして、ガンダムの原点『機動戦士ガンダム』の第15話「ククルス・ドアンの島」。放送以来、劇場版3部作でも描かれることがなかった、ひと際異彩を放つ第15話は、今でもファンの心に残り伝説のエピソードと呼ばれています。この伝説のエピソードが、ガンダムとアムロの物語『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙』の劇場公開から40年の時を経て、待望の映画化。シリーズ最新作『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』が6月3日(金)より絶賛公開中です。
7月14日には、大ヒット公開中の『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』、毎度好評のスタッフトークイベントの第3弾が実施された。
イム ガヒ(副監督)、田村篤(総作画監督・キャラクターデザイン)、金子雄司(美術監督)、安部なぎさ(色彩設計)、森田修平(3D演出)、桝田浩史(エフェクト作画監督)、福嶋大策プロデューサー(※敬称略)という、豪華スタッフ陣が集結し、より深く映画を楽しめる制作秘話などを展開。また、最後には豪華プレゼントが貰える抽選会を行い、大いに盛り上がったイベントとなった。
初めに、登壇者それぞれの挨拶の後、残念ながら本イベントに参加できなかった安彦監督からのメッセージ映像が流れた。
安彦監督「みなさんがメインスタッフとして頑張ってくれたおかげで、僕は楽をさせていただきまして、心強い思いができました。みなさん、ありがとうございました。イムさん、大変助けられました。副監督という肩書きにしてよかったと思います。最後までサポートしてくれてありがとうございます。今後は、監督業で頑張ってください。
田村さん、総作画監督に決まってくれた時から大船に乗ったつもりでした。ゆっくり休んでくださいと言いたいところだけど、次の仕事があると思うので、身体に気をつけて頑張ってください。金子さん、手描きの妙を堪能させていただきました。これからもその手描きの味を失わないように、業界で貴重な存在であり続けて欲しいと思います。良い背景をありがとうございました。
安部さん、『THE ORIGIN』に続いてありがとうございました。お子さんがいるので18時以降の打ち合わせはできないと言われた時は、仕事になるかと疑ってきましたが、できましたね。自慢のお母さんだと思います。これからも良いお母さんと両立で頑張ってください。本当にいい仕事をありがとうございました。
森田さん、いい意味で裏切られました。CGは冷たいものだと思っていまして、なんとなく手描きと張り合って衝突することもあるかなとも思いましたが、手描きに擦り寄っていただいたのかなと思います。これからも手描きとの相性を求めていい仕事をしてほしいなと、陰ながら思っています。
桝田さん、僕は謝らなきゃいけないことがあるんですよ。スケジュール的に詰まってきたので、お役に立てればと思って手伝ったんだけれども、せっかくのクオリティを崩してしまった。あなたのクオリティが高すぎたんですよ。
福嶋さん、プロデューサーは若い人にやらせた方がいいという自論なんだけれども、頭から期待していました。自分で言うのもなんだけど、手間のかからない監督だったんじゃないかと思っています。めげずに頑張ってください。」とスタッフ一人ひとりへの熱いメッセージが送られ、最後には「皆様のおかげで公開もラストにかかり追い込みの段階にくることができました。ここに来るまでの間、みなさんに応援していただいて心強く思っておりました。あまり甘えちゃいけないんですけど、いろいろな形で応援してもらえたら嬉しいです。生で参加できなくてすいません。ありがとうございました。」と会場、ファンの皆さんへ向けて感謝の想いがこもったメッセージが語られた。
これを見た、イムは「もう、うるっときてしまいました。有難いお言葉をいただいたので頑張っていきたいなと思います。後で、この動画ください!」と、答えた。
続いて、本イベントは各セクションのスタッフが揃ったということで、より深い制作面の話題に。
全パートの演出、サザンクロス隊の市街地戦、子供たちの食事シーンの絵コンテなど多岐にわたって仕事をしてきたイムは「実はマ・クベの部屋に良いものがあったと思うんですけど、あれは金子さんのアイデアなんです。最初の原図で、壺にするか悩みつつ、マ・クベが好きそうなアンティークものにしたんですけど、金子さんに『やっぱりここは壺だよ』とアドバイスをいただいて、結果満場一致で壺でした(笑)」と、ガンダムマニアの金子と相談して決めたと振り返った。
また、これまでのインタビューで田村の「ガンダム好き」な一面に助けられたという話が随所であがっているが、「子供の頃に見たガンダムに対して、違和感がないようにしたいということが大前提にありました。色の問題やキャラクターのニュアンス、また今回はモビルスーツがCGなので、安彦監督のニュアンスを、立体としての正確な形と画にしたときの調整の折り合いが難しかったですね。」と、ガンダムファン目線で特にこだわった点を明かした。
ガンダム愛が強いスタッフが集まる一方で、色彩設計を務めた安部からは「ファーストガンダムをオマージュした配色を目指してみたんですけど、安彦監督は進化していらっしゃるので、意外と何でもいいよとおっしゃるので、悩みましたね(笑)」とキャラクターの色を決める際の悩んだエピソードを吐露。『機動戦士ガンダム』の色味に対して、どこまで寄せて、どこまでアレンジするのか、絶妙なラインを試行錯誤したという。
続いて話題は背景美術に。美術監督の金子は「モデルになった島が大きなクレーターがあったり特徴的で面白かった」と今作ならではの、実在する島をモデルにした背景の構築に関して語った。
さらに、背景美術と同じく手描きという部分で、今回「安彦爆発」を濃密に再現し、安彦監督からもクオリティが高すぎると言葉をもらったエフェクト作画監督の桝田は安彦監督の爆発の特徴について、「安彦監督のエフェクト(爆発)はフォルムやデザインが美しいんですよね。有機的に混ざって動く感じが気持ちよくて」と絶賛し、以前、田村が「おいしそう」と感じていたことにも共感したようで、桝田「子供の頃からエフェクトが大好きで、それぞれに味覚っぽいものを感じていまいしたけど、特に安彦さんのものは大好物で・・・それを今回は再現したいと心がけました」と話した。
それを聞いた田村は「いわゆるリアリティの向こう側というか、感情とか気分とかが画に含まれている感じっていう方向を全体的に目指しました。」と語り、それを受けて桝田は「爆発ひとつにもキャラクターがある」と返した。
特に、冒頭の戦闘シーンはこだわったとのことで、桝田「かなり力を入れましたので、見てほしいです。初めてラッシュを見た時は感動しましたね。当時の再現+鮮やかな色味で、大満足でした。」と嬉しそうに話し、CGとのマッチングも相まってスタッフ一同、太鼓判を押していた。
逆に、手描きではなくCG描写で描かれたメカシーンも必見の本作、チャンバラ映画のような戦闘シーンは非常に魅力的だが、他にも見どころポイントとして森田は「あえてのシーンをあげますが、今回のアクションシーンはほとんどCGをメインにさせていただいて、ディテールアップを重視する場合は作画の方に協力をいただいていたんですけど、ただ1カットだけ、撮影チェック時に僕らが納品したはずのものが作画になっていたんですよ(笑)。その理由を後日聞いたら、安彦監督にエフェクトを描いてほしいと発注したら、そのついでにCGで仕上げるはずのザクも描かれた状態で納品されたと…。」という衝撃的なエピソードを明かした。ちなみにそのCGを担当していたスタッフは安彦監督のファンということで光栄に思っていたそう。是非、その注目のカットを劇場で探していただきたい。
ここで、残念ながら終了の時間に。
最後に、スタッフを代表してイムが「エンドクレジットの名前の数を数えてみたんです。スタッフだけで530名、会社だけで106社くらいだったんですね。これだけ多くのスタッフが、それぞれ持ち場で最善を尽くしてホワイトベースクルーの一員として頑張ってくれたおかげで、いい形で皆さんに届けることができたかなと思います。ありがとうございます。この後もずっと、頑張って作りますから、引き続き、応援よろしくお願いします。」と、メッセージを送り、終了した。
『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』
絶賛公開中
7月21日(木)、公開記念特別上映・スタッフトークの第4弾イベント開催決定。チケットは7月15日(金)20時より発売開始!
大好評のスタッフトーク、第4弾の開催が決定いたしました!! 今回も安彦監督他スタッフによる制作秘話盛沢山のトーク内容となっております! 更に今回もここでしか手に入らない安彦良和監督描き下ろしのイラストカードを入場者特典として配布決定!! 是非この機会にご参加ください!
【日時】7/21(木) 18:45の回 上映後トークイベント
【場所】新宿ピカデリー(東京都新宿区新宿3丁目15番15号)
【登壇者】
安彦良和監督、YAMATOWORKS 森田修平(3D演出)、YAMATOWORKS 安部保仁(3Dディレクター)、小形尚弘エグゼクティブプロデューサー、石井誠(ライター)(※敬称略)
※登壇者は予告なく変更する場合がございます。予めご了承ください。
【チケット料金】全席指定料金¥1900
※ムビチケ使用可
※各種招待券・無料鑑賞券等はご利用いただけません。
【座席指定チケット販売方法&発売日】
インターネット先行販売:7月15日(金)20:00~ (SMT Members会員様・非会員様ともに)
劇場窓口販売:7/16(土) 劇場OPENより販売(残席がある場合のみ)