日本映画の名作が初BD化『飢餓海峡』【海外盤Blu-ray発売情報】

米国盤『飢餓海峡』2022年9月27日リリース

A FUGITIVE FROM THE PAST - BLU-RAY／2K DIGITAL RESTORATION

US／UKアロービデオから、水上勉の同名推理小説を内田吐夢が映画化した日本映画の名作『飢餓海峡』（1964）のBLU-RAYリリース･アナウンスが届きました。収録は監督自ら編集した183分完全版（※下欄参照）。世界初BLU-RAY化となります。

『大菩薩峠』3部作、『宮本武蔵』5部作など、名作時代劇を撮り続けた名匠･内田吐夢の珍しい現代劇であり、代表作である。1954年に実際に起きた青函連絡船転覆事故に基づいて書かれた小説を、『宮本武蔵』『武士道残酷物語』の鈴木尚也が脚色（ブルーリボン脚本賞受賞）、ひとりの人間の中に潜む善と悪が描かれていく。1946年、函館を襲った台風により、青函連絡船洞が沈没。同じころ、三人組の強盗が函館の質屋に押し入り、一家全員を惨殺、放火して逃走する事件が起きていた。収容された洞爺丸の遺体のなかに、乗船記録のない身元不明の二体があり、強盗放火殺人犯のうちの二人であることが判明する。そして、事件当夜、犬養多吉と名乗る不審な男の存在が明らかになる。

犬養を演じるのは三國廉太郎（当時は三国連太郎）。共演は、逃亡中の犬養の世話をする芸者･八重に左幸子、犬養を追い続ける函館署老刑事･弓坂に伴淳三郎、弓坂とともに事件を捜査する東舞鶴署の刑事･味村に高倉健。本作のオリジナル完成版は191分。オリジナル完成版を内田が再編集したものが183分完全版となる。また167分版は東映が監督に無断で編集したバージョン（ほとんどの上映館で上映／この無断編集騒動がもとで内田は後に東映を退社）。

撮影は『女囚701号 さそり』『赤穂城断絶』『青春の門』の仲沢半次郎。仲沢と内田は、荒廃した戦後の人びとの心情を表すため（「日本人を覆う飢餓状況を象徴した」仲沢半次郎）、16mmモノクローム･フィルムで撮影（35mmにブローアップ／東映W106方式）。さまざまな映像処理によって心理の陰影を巧みに表現している。音楽は『警視庁物語』シリーズや『ジャングル大帝（TVアニメ）』『たそがれ清兵衛』の富田勲。

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