Amazon(アマゾン)は、去る2月16日に完全ワイヤレスイヤホン「Echo Buds(第2世代)」を発売した。USB Type-C充電ケース付きが¥12,980(税込)、ワイヤレス充電対応ケース付きが¥14,980(税込)で、ブラックとグレーシャーホワイトの2色をラインナップしている。
同社によると、コロナ禍による家庭内エンタメの増加やリモートワークの普及に伴い、高品質なイヤホンの需要が増えているという。そこでは高品質なオーディオ、ハンズフリー操作、手ごろな価格といった製品が求められている。今回のEcho Buds(第2世代)はそれらの要求を満たすアイテムとなっている。
音質面では、5.7mmダイナミック型ドライバーを搭載。通常のBluetoothイヤホンとしての使い方に加えて、Alexa機能にも対応しており、Alexaアプリをインストールしたスマホと組み合わせることで音声操作による音楽再生が可能だ。さらにANC(アクティブノイズキャンセリング)機能搭載と、最近のイヤホンに求められるスペックをほぼ網羅している。1万円台半ばという価格を考えるとお買い得だ。
ということで、今回はEcho Buds(第2世代)のサウンドと使い勝手を試してみた。パッケージはW95×H50×95mmとかなりコンパクト。その中に本体+充電ケースとUSBケーブル、イヤーチップ&ウィングチップが同梱されている。
充電ケースの表面は滑らかな樹脂仕上げで、案外触り心地がいい。W66.8×H39.1×D28.6mmと手のひらに収まるサイズだが、持ってみると案外ずっしりした(といってもイヤホンと合わせても60gほどだが)密度の高い感じがして、ガジェット好きには嬉しい。
まずはiPhone12とペアリングして音を確認する。iPhoneにはAlexaアプリが入っているので、Echo Buds(第2世代)を充電ケースから取り出してアプリを立ち上げると自動的に新しいデバイスとして認識してくれた。
続いてイヤーチップのフィットテストを行う。Echo Buds(第2世代)には4種類のイヤーチップが付属しており、どのサイズが自分の耳にぴったりかを確認してくれるというものだ。ちなみにこの時には、ウィングチップ(イヤホン本体に取り付けて耳に固定するツール)も装着した方が、より正確な測定ができるようだ。
イヤホンを耳に入れ、アプリの指示に従ってテストトーンを再生すると、その結果を3段階で表示してくれるので、「最良」の組み合わせを探していただきたい。左右の耳で最適なイヤーチップが異なる場合もあるそうなので、色々試してみるといいだろう。
測定が終わったら、すぐに音楽試聴が可能。試しに「アレクサ、Amazon Musicでビートルズをかけて」とつぶやいてみると、お薦め楽曲を再生してくれた。そのサウンドは、無理に帯域を欲張らずにバランスよくまとまったもの。ジョンやポールのヴォーカルがほどよい厚みを持って届いてくるし、ギターの響き、ドラムの低域もわかりやすくまとまっている。
綺麗に抜けていく高域とか、重みを感じる低域ではないが、心地よく音楽を楽しむという点ではまったく不満がない。試しにAmazon Musicでノラ・ジョーンズや松任谷由実などの女性ヴォーカルも聞いてみたが、印象は同じだった。
次にiPhoneの音楽再生アプリ「foober2000」で44.1kHz/16ビット/FLAC音源を再生してみた。エリカ・バドゥ「Rimshot」冒頭の低音は、ロッシー圧縮のAmazon Musicよりは重みが出て、沈んだ印象になる。ひじょうにわずかな違いだけど、お気に入りの曲を聴きたい場合は音楽再生アプリを使ってみるといいだろう。
ちなみにここまではANCオフで試聴している。EchoBuds(第2世代)では、「アレクサ、ノイズキャンセリングをオンにして」と音声で指示することでANCの切り替えが可能(イヤホンセンサー部を長押しすることでもオン/オフできる)。
なおANC効果は一定で、どちらかというと控えめな印象。先述したイヤーチップ最適化の効果でもともと周囲の音の影響を受けにくいこともあり、いかにもノイズを抑えましたというほどではない。とはいえ通勤時の電車やバスでの暗騒音をほどよく抑えてくれるし、ANCによる音質変化は、(ゼロではないが)気になることはないだろう。
リモート会議やオンライン製品発表会でANCオンの状態でEcho Buds(第2世代)を使ってみたが、発言者の言葉が聞き取りやすく、快適だった。音楽鑑賞以外でも使ってもらいたいという狙いは充分達成できている。
続いてAmazonのタブレット「Fire HD8 PLUS」と組み合わせ、プライムビデオを視聴した。『トップ・ガン』のオープニングタイトルからF14トムキャットの発艦、着艦のシークエンスは、正直低音感がもう少し欲しい。エンジン音が上品(?)で、戦闘機ならではの凄み、怖さが控えめだ。といってもこれはほとんどのイヤホンで共通で、その中では破綻もなくいい案配といえるだろう。
次に『フィールド・オブ・ドリームス』で、レイ(ケビン・コスナー)がマン(ジュエームズ・アール・ジョーンズ)の部屋を訪問するシーンを選んでみた。ジュエームズ・アール・ジョーンズの渋い声がしっかり再現され、これはいい。会話の背後に聞こえる屋外の車の走行音、続く野球場のシーンのざわめき、喧噪もきちんと広がってくる。
『ブルース・ブラザーズ』で、アレサ・フランクリンが「シンク」を熱唱するシーンでは、彼女の声の伸びやかさが心地いい。ただ、残念なことにリップシンクがずれていて、手拍子も遅れて聞こえる。とはいえ、そこまで神経質にならなければいいことだろうし、最近のスマホではアプリ側であらかじめ映像を遅らせているものも多く、リップシンクのずれが気になることは少ないので問題はないと思う。
今回、スマホでの音楽再生、リモートワーク、タブレットの動画視聴という3つのシーンで
EchoBuds(第2世代)を使ってみたが、どの用途でもウェルバランスに楽しめるというのが素直な感想だ。特にAlexaアプリと組み合わせて、音声操作で音楽を楽しめるという手軽さは他に代えがたい魅力。
おすすめ楽曲との出会いといった使い方を含めて、Amazon&AlexaユーザーはEchoBuds(第2世代)を一度チェックしてみることをお薦めする。
(取材・文:泉 哲也)