WHO FRAMED ROGER RABBIT with 4K DIGITAL RESTORATION
IF YOU DON'T like "Who Framed Roger Rabbit," have your pulse checked. Robert Zemeckis' multi-dimensional free-for-all, where cartoon figures bump, quip and cavort with flesh-and-blood characters, is not only a technical tour de force, it crackles with entertainment.
Release Dates (Theater):June 24, 1988 (Domestic)
Domestic Total Gross:$156,452,370
(Worldwide: $329,803,958)
FILM
1988年の全米興行成績トップ10をみると、第10位『ビートルジュース』9位『月の輝く夜に』8位『カクテル』7位『ダイ・ハード』6位『スリーメン&ベビー』5位『ビッグ』4位『クロコダイル・ダンディ2』3位『グッドモーニング・ベトナム』2位『星の王子ニューヨークに行く』が並び、コメディ作品が好調、上位を占めているのがわかる。そして第1位の栄冠は『ロジャー・ラビット』に輝いた(※以上の作品はカレンダー・グロス=1988年内の収入順位/イン・イヤー・リリース=88年12月公開・89年収入順位では、第1位『レインマン』第2位『ロジャー・ラビット』となる)。ご存知のように『ロジャー・ラビット』は、ディズニーとスティーヴン・スピルバーグのアンブリン・エンターテインメントが提携、実写とアニメーションを合成した画期的なコメディ作品であった。それを物語るように、第60回アカデミー賞では、撮影、美術、編集、視覚効果、音響/録音、音響/効果編集賞にノミネート、編集、視覚効果、音響/効果編集賞に輝いている。
1947年のハリウッド。アニメ・キャラのウサギ、ロジャーが殺人の容疑を掛けられ、人間の私立探偵エディに捜査を依頼。ロジャーたちの住む漫画の町、トゥーン・タウン(ディズニーパークにあるテーマランドでもお馴染み)の利権をめぐる事件の真相に迫っていく。製作費は破格の7000万ドル。監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』トリロジーや、オスカー監督賞を受賞した『フォレスト・ガンプ/一期一会』等のヒットメイカーとして、日本でも人気の高いロバート・ゼメキスが務めている。『1941』の脚本を書き、『抱きしめたい』『ユーズド・カー』を監督していたゼメキスは、82年に脚本草稿を読み、監督を熱望。だがディズニーはヒットメイクのないゼメキスの要望を退け、テリー・ギリアムを監督候補に挙げていた。主演候補にはハリソン・フォード、チェビー・チェイスらの錚々たる名前も挙がったが、プロジェクトはしばらく棚上げされたままであった。
1985年、ディズニーの新CEOであるマイケル・アイズナーによってプロジェクトが刷新。スピルバーグ(アンブリン)が参加、巨費を要することを予想していたディズニーは、製作費3000万ドルを条件にGOサインを出すことに。ディズニー映画部門の責任者に就任したジェフリー・カッツェンバーグは、実写とアニメーションのハイブリッドが低迷していたディズニーのアニメーション部門を救うと主張。スタジオの枠を超えてクロスオーバーするアイデアが生まれ、スピルバーグの尽力もあり、ディズニーのキャラクターだけでなく、バッグス・バニー(ワーナー)、ベティ・ブープ(パラマウント)、ウッドペッカー(ユニバーサル)、ドルーピー(MGM)などのキャラクターが一堂に会することになる。その年、ゼメキスは『ロマンシング・ストーン/秘宝の谷』『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の成功を認められ、念願だった監督オファーに署名した。
古典的なフィルムノワールとアニメーションのありそうもない組み合わせと、非常に機知に富んだユーモアを持った脚本は、一見相容れないふたつのジャンルへの愛情のこもったオマージュを感じさせた。陽気な躍動感はテックス・アヴェリー(ハリウッドのカートゥーン黄金時代を築いたアニメーター)を感動させるはずだし、40年代や50年代に作られたノワール映画のムードはもちろん、さまざまなジャンルの要素が巧みにバランスをとっている。この魅力的な脚本の映像化を想像して胸が高鳴ったが、いざ編集作業に入ったとき、これは大変なことになったと思ったよ。ノワールとアニメのムードとリズム感を生み出すだって?一体どうしたらいいんだ?ってね。(アーサー・シュミット/本作でアカデミー編集賞を受賞)
原作は1981年に出版されたゲイリー・K・ウルフのノワール小説。脚色は『グリンチ』『シュレック3』のジェフリー・プライスとピーター・S・シーマン。製作スピルバーグ、監督ゼメキスでGOサインだ出たあと、あらためてプライスとシーマンは脚本改訂のために雇われる。プロットの大半は破棄され、キャラクターも中私立探偵エディ、ロジャー・ラビット、ロジャーの妻ジェシカ、そしてベイビー・ハーマンのみが残された。悪役のランプの精霊は、脚本草案では『バンビ』の母親を殺したハンター、そしてのちにトゥーンタウンの悪徳裁判官に変更。脚色は『グリンチ』『シュレック3』のジェフリー・プライスとピーター・S・シーマン。彼らはロマン・ポランスキー監督作『チャイナタウン』にプロットのインスピレーションを見出し、1940年代のフィルム・ノワールも参照、私立探偵エディはハンフリー・ボガートのキャラクターをディフォルメして設定されている。
『ロジャー・ラビット』はキャラクターにリアリティを持たせるために、3つのメソッドが使われている。下段の映像でも解説されているが、その1つが目線(目線の統一)。続いて物理的な相互作用(アクションとリアクション)。そして最後に光と影(アニメキャラの陰影描画)である。
55分に及ぶアニメーションの作成には、最終的に2年を費やした。アニメーターは実写映像をプリントアウトした白黒のフォトスタットに直接キャラクターを描くのだが、その作業は8万フレーム以上(実数82,080)だったよ。用意されたカラーカレットは350色以上、それぞれが細かいトーンマットを持つ。私とボブ(ロバート・ゼメキス)は、アニメーションのキャラクターを「2.5D」にしようと決めていた。アニメートされたキャラクターを、ライブの人物や背景とよりよくブレンドするために、ILM(インダストリアル・ライト&マジック)の光学部門がシェーディングとシャドウのレイヤーを合成した。だがそれは、立体感を強調した3D映像を目指したものではない。30年代と40年代の古典的な二次元のアニメーションのように手描きされ、奥行きがあるかのように見えるテクスチャを与えたものだ。新しい技術を使用して、新しいものに挿入された古いもの。それが今日のCGI映画と一線を画している理由なんだよ。(リチャード・ウィリアムズ/アニメーション・ディレクター/2018年インタビューより)
アニメーターたちが作成したオリジナルアートを、別のフィルムのなかで大きなジグソーパズルのように組み立てて、フレームごとに同期して実行し、必要な効果を生み出さなくてはならない。合成の観点からすると、『ロジャー・ラビット』でのほとんどの場合は、2台のプロジェクターと1台のカメラを備えたオプチカルプリンターが必要だった。各シーンの作業をスムーズに行うためには、まずヒーローショット(最大の見せ場、最高によく見える、という意味)を決めて作り出すこと。ダンクシュートのように決まればいいのだが、これが大変な作業で、やり直しの連続だった。時間が無限にも思えることもあったが、非常に創造的なプロセスでもあったよ。エフェクト作業のために10,000フィートを超えるコンポジットを実行したけど、常時7台のオプチカルプリンターを稼働する必要があったけどね。(エドワード・ジョーンズ/オプチカル・フォトグラフィー・スーパーバイザー/本作でオスカー視覚効果賞受賞)
アニメーターのリチャード・ウィリアムズがディズニーの管理主義を嫌い、ロサンゼルスでの仕事を拒否して、制作をイギリスで行うと主張した。そこで実写撮影もエルストリー・スタジオを拠点にすることになった。ジョージ(ルーカス)やスティーヴン(スピルバーグ)にとっては懐かしの我が家さ(『スター・ウォーズ』『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』)。当時、最新の設備が整っていたが、それでもスタジオ撮影に7か月半、さらにILMで1か月を費やした。我々にはフィル・ダウニーという優秀なカラータイマー(カラリスト)がいて、スティーヴンの『ハリーとヘンダスン一家』や『ニューヨーク東8番街の奇跡』、『プリンセス・ブライド・ストーリー 』『許されざる者』も彼の作品だが、彼なしでは映像調整の統一を図れなかったろう。(ディーン・カンディ)
VIDEO
撮影監督は70~80年代のカーペンター作品や、『バック・トゥ・ザ・フューチャー(3部作)』『ジュラシック・パーク』『アポロ13』で知られるディーン・カンディ。パナビジョン・パナフレックス/35mm撮影。特撮パートはビスタビジョンカメラ撮影(オプチカル処理による画質劣化を考慮/35mmフィルムを横駆動/スタンダード・サイズの2フレーム分を横使いして1フレームの映像を撮影/現像段階で縮小しながら縦方向にプリント/画質は大幅に向上)。今回のUHD BLU-RAY化においては、L.A.ユニバーサルスタジオ・デジタルサービスで35mmオリジナルカメラネガを4K解像度でスキャニング。主要な4Kワークフロー(パラ消し、フリッカー除去、グレイン・マネジメント、HDR/SDRグレード)はユニバーサル・グローバル・メディア・オペレーションズが行っている。LUT(ルックアップテーブル)はイーストマン・コダック/カラープリント・フィルム5384。映像平均転送レートは56.8Mbps。収録アスペクトは1.85 :1ビスタサイズ。
前述した視覚効果技術を振り返ると、最新CGI映像にみるような高精細感は持ち合わせていないが、それでも2013年25周年BD版の映像をネクストレベルへと高めているのがわかる。オープニングのアニメーション・パートに続く、映画スタジオ・シークエンスからが本番と言えよう。奥行きや立体感、凝った演色操演の改善は明快。解像感と全体的な明瞭度は優れたパフォーマンスを披露しているが、シャープネスの一貫性は最小限に抑えられている。これは生来のものであり、豊富な視覚効果ショットの影響によるものだ。アニメキャラクターはわずか軟調さが残るものの、輪郭線には洗練さが加筆されている。俳優陣のクローズアップやミドルショットは観応えあり。粒子感はミドルクラス、無傷のままであり、その均一性によってオーガニックでフィルムルックな味わいが深化。印象的なテクスチャとプロダクションデザインのディテイルが浸透、DNRの兆候も皆無だ。
過度なHDRグレードは施されていないが、随所で色彩光彩を強化。私立探偵エディがトゥーンタウンに潜入する後半部では、HDRが本領発揮、画面全体のカラースペクトルを飛躍させる。ローキー調ではあるものの、ダイナミックレンジの拡張が機能するようになり、心地よい視覚要素が目を奪う。原色と二次色相の安定したレンダリング、増幅した彩度の鮮やかさも良好。優れたカラーバランスは観どころのひとつだ。黒レベルは深みを増し、陰影濃淡の描画も説得力がある。HDRを最大限に活用したのはクライマックス(チャプター16)、色彩光彩のリズム感に注視してもらいたい。
AUDIO
音響エンジニアは、オスカー受賞の音響編集監修に『E.T』『バック・トゥ・ザ・フューチャー(3部作)』『シンドラーのリスト』のチャールズ・L・キャンベル、『太陽の帝国』『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2&3 』『シンドラーのリスト 』のルイス・L・エデルマン。リレコーディングミキサーに『エクソシスト』『未知との遭遇』のロバート・ニュードソン、『E.T.』『ブルーサンダー』のドン・ディギロラーモ、『太陽の帝国』『花嫁はエイリアン』のジョン・ボイド。プロダクション・サウンドミキサー(撮影現場)は『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』『バットマン』のトニー・ダウ。95年ミックス35mmドルビーステレオSRマスターを使用して、2002年にレストア5.1chリミックスされたマスターからのドルビーアトモス・リマスター(70mm/6トラック・マスターはアトモス・リミックスに使用されていない)。音声平均転送レートは5.1Mbps(48kHz/24bit/2013年25周年BD版は4Mbps)。日本語吹替5.1ch音声、日本語字幕を収録。
本作に仕込まれたノワールムード、その転義法はサウンドデザインにまで及んでいる。過当にアグレッシブなアトモストラックではないものの、これまでのBD版5.1ch音声よりも随所で強い存在感を提供する。とはいえ本作のシネソニックの魅力は、支配的なフロントステージとマイルドなサラウンドワークにあり、ここでは充分にバランスの取れた音彩操演を楽しめよう。分解能や明瞭度もBD版音声より高められており、ミッドレンジの浸透力は聴きどころのひとつ。発声には絶対的な支配力があり、高い鮮度を誇っている。オブジェクト操演は、アニメキャラのアクション音、ドナルドのピアノ演奏(「ハンガリー狂詩曲 」)、トゥーンタウンへのトリップ、クライマックスなどに描音されたいくつかの重要な効果音を除き、総じて環境音とアンビエント、そしてアラン・シルヴェストリのスコアに限定されている。とりわけシルヴェストリのスコアは、1940年代のロサンゼルスのムードを伝えるために、ノワール感覚のスモーキーな楽曲、クールで明るビッグバンドジャズを響かせ、さらにはカール・スターリングにオマージュを捧げた往年のカートゥーン・スコア、クライマックスのパンチの効いたアクション音楽を組み合わせて、胸躍る楽音で迫りくる。
FINAL THOUGHTS
『ロジャー・ラビット』は、合成技術の最先端と光学プリンターの創造力がしあわせな結婚を遂げた映画だ。合成技術の頂点を極めた作品ではあるが、皮肉なことに映画界がコンピューターのデジタル技術への移行を開始、合成技術の転換期に銀幕に登場した。されど『ロジャー・ラビット』は、消えゆく映画技術の記念碑として、いまなお眩いばかりの光を放っている。これが、凄い。これぞ、時代を超えたエンターテインメント。国内版UHD BLU-RAYも12月22日リリース。シネフィル、アニメーション・ジャンキーはもちろん、ご家族揃ってご覧頂きたい。必見!
AWARDS
第60回アカデミー賞
☆編集・視覚効果・音響/効果編集賞受賞
★撮影・美術・音響/録音賞ノミネート
SPECIAL FEATURES
4k UHD BLU-RAY
- Audio Commentary featuring Robert Zemeckis, Frank Marshall, Ken Ralston, Jeffrey Price, Peter Seaman, and Steve Starkey.
BLU-RAY
- Audio Commentary featuring Robert Zemeckis, Frank Marshall, Ken Ralston, Jeffrey Price, Peter Seaman, and Steve Starkey.
- The Roger Rabbit Shorts
- Who Made Roger Rabbit
- Behind the Ears: The True Story of Roger Rabbit
- Before and After
- Toon Stand-ins
- On Set: Benny The Cab
- Toontown Confidential
SCREEN CAPTURES
DISC SPECS
Title | WHO FRAMED ROGER RABBIT |
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Released | Dec 07, 2021 (from Disney / Buena Vista) |
SRP | $34.99, $28.99(Steelbook) |
Run Time | 1:43:47.346 (h:m:s.ms) |
Codec | HEVC / H.265 (Resolution: 4K / HDR10) |
Aspect Ratio | 1.85:1 |
Audio Formats | English Dolby Atmos (48kHz / 24bit / Dolby TrueHD 7.1 compatible) English Dolby Digital 2.0 Japanese DTS-HD Master Audio 5.1 French DTS 5.1 Spanish DTS 5.1 Spanish Dolby Digital Mono German DTS 5.1 Italian DTS 5.1 |
Subtitles | English SDH, French, German, Italian, Japanese, Spanish, Danish Dutch, Finnish, Norwegian, Swedish |
4K画質評価
解像感 | ★★★★★★★★ 8 |
---|---|
S/N感 | ★★★★★★★★ 8 |
HDR効果 | ★★★★★★★★ 8 |
色調 | ★★★★★★★★★ 9 |
階調 | ★★★★★★★★ 8 |
音質評価
解像感 | ★★★★★★★★ 8 |
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S/N感 | ★★★★★★★★★ 9 |
サラウンド効果 | ★★★★★★★★ 8 |
低音の迫力 | ★★★★★★★ 7 |
SCORE
Film | ★★★★★★★★★★ 10 |
---|---|
Image | ★★★★★★★★ 8 |
Sound | ★★★★★★★★ 8 |
Overall | ★★★★★★★★★ 9 |