ノアは、ドイツBurmester(ブルメスター)のモノーラル・パワーアンプ「159」を11月5日に発売する(¥44,000,000、税込、ペア)。7年の開発期間を経て完成させたフラッグシップ・モノーラル・パワーアンプで、永年の経験と感性により裏付けられた技術の粋を尽くした最高位製品として、あらゆる点において一切の妥協のないモデルに仕上がっている。

 159は、ブルメスターの伝統と現代的なデザイン・アイデアの双方を内包していながら、その内部構造においても妥協は一切ない。サウンドクォリティを左右するコンポーネント群はすべてドイツ国内によって製造されたパーツで構成。同社従来製品中もっともパワフルで、最新のアナログアンプ技術の研究を続けたことで成し得た同社技術の粋を尽くした到達点となっている。

画像: 本体は、ホワイトアルマイト処理を施した極厚のアルミニウム素材で構成

本体は、ホワイトアルマイト処理を施した極厚のアルミニウム素材で構成

 技術的特長としては、多段階で高精度な「Adjustable Damping Factor」(可変ダンピングファクター機能)が搭載されている。

 同社では10年前に、あらゆるスピーカーに適した「理想的なダンピングファクター値」を精査すべく検証を実施した。その結果、あらかじめ設定したダンピングファクター値は、再生音に与える影響が想像を超えて大きく、すべてのスピーカーに適した画一的なダンピングファクター値を導き出す事が不可能だという結論に至ったそうだ。

 そこで、「可変ダンピングファクター機能」というアイデアを実現するために、研究開発が続けられた。それから7年、様々な課題を乗り越え、ついに完成したのが、Adjustable Damping Factor回路というわけだ。ノイズレベルやゲインは一定で、位相シフトも正確に管理したうえで、ダンピングファクター値のみが可変という革新的機能だという。

画像: コントロールパネル部に、ダンピングファクターを調整するロータリーエンコーダーを搭載

コントロールパネル部に、ダンピングファクターを調整するロータリーエンコーダーを搭載

 159のダンピングファクター値(4Ω時)は、「Variable(可変)」モードの場合、背面パネルのロータリーエンコーダーによって『102〜3895の合計23ステップ』まで調整可能。「Fixed(固定)」モードでは、最大のダンピングファクター値である『4006』に固定される。

 VariableとFixedの切替時の安定性を保証することで、本機上部コントロールパネル、もしくはリモコンによって音楽再生中でも瞬時に切り替え可能となり、試聴位置に居ながらダンピングファクター値の変化による音の違いを体験できる。本機上部コントロールパネルとリアパネル部のロータリーエンコーダの目盛りで、現在設定しているダンピングファクター値を確認することも可能だ。

 また従来のブルメスター製品と同様、159にはリニア電源が採用されている。この方式は、電源投入から本来のポテンシャルを発揮するまでに一定のウォームアップが必要となっていた。同社では、理想とするパワーアンプの性能を発揮し、かつウォームアップの時間を最短とすべく、ヒートシンクの熱容量、静止電流と組み合わせたパワーアンプ熱接続部の研究を重ね、わずか数分後に最適化された動作点に到達し、最高のパフォーマンス維持が可能な、独自の回路技術を完成させた。

画像: パーツが整然と並ぶ内部コンストラクション

パーツが整然と並ぶ内部コンストラクション

 さらに理想となる動作点を安定させるためには、出力素子の温度を電圧によって検出し、リアルタイムでフィードバックさせる制御方法が重要になる。これらの制御プロセスを、主な音楽信号の周波数帯域外である高周波伝送で動作させる回路も独自に開発。これらふたつの特許技術により、159はウォームアップの時間を極限まで短くしながらも、最高のブルメスター・サウンドを提供するという大命題を具現化している。

 電源部も新開発されている。これは、内部スペースを最大限活用でき、かつ理想的なパーツ選定、配置などの検証を重ねた成果だ。理想的なブルメスター・サウンドを追求するためには、トロイダル・トランスを採用したリニア電源部は不可欠。そのためにカスタムメイドされた2,500VAのトランスは、完璧な磁気シールド対策がなされ、さらに金属製カバーで覆われている。フィルターコンデンサーには188,000uF(47,000uF×4個)に及ぶ静電容量を有したカスタムメイド・コンデンサーを搭載。相互干渉を避けるために、微弱な電流を扱う電圧増幅部用のトランスを個別に採用する配慮がなされている。

 同時に大きな発熱が生成されるため、底面には多くのテストとシミュレーションにより最適化された熱放散機構を搭載。電源部及びハウジングを効率的に放熱することにより、音楽という複雑な連続信号においても、最大限のパフォーマンスを維持する事が可能になっている。

画像: 独自技術のX-Ampテクノロジーをさらに改良した入力回路を搭載

独自技術のX-Ampテクノロジーをさらに改良した入力回路を搭載

 アンプとしては、フルバランス構成のブルメスター独自アンプ技術「X-Ampテクノロジー」を採用。パフォーマンスデータ、保護機能、トポロジーの観点から見直しをはかり、出力信号の直進性向上、ノイズフロアーの大幅低減など、更なる飛躍を遂げている。また入力から出力までの音声信号経路上にカップリング・コンデンサーを一切使用しない「ピュアDCカップリング」といった、純粋な信号伝送を可能とする同社伝統の設計も踏襲されている。

 使用するパーツは、すべてブルメスターが設ける高い品質基準に合格した物を使用。大電流を扱う回路の受動部品に関しては、カスタムメイドされた専用部品が採用されている。それらはすべて熟練の技術者によって組み立てられた後、実際の動作条件下での厳格なリスニングテストを含む、2週間のバーンインを実施。あらゆるテストをクリアーした製品のみ出荷される。

 なお同社では、来る11月5日〜7日に開催が予定されている「2021東京インターナショナル・オーディオショウ」に159を出品する予定だ。ブルメスターの最高級パワーアンプがどんな音を聴かせてくれるのか、参加予定の方はぜひ現場で確認していただきたい。

画像: ドイツ、ブルメスターのモノーラル・パワーアンプ「159」が日本デビュー。7年の開発期間を経て完成させた、同社技術の粋を尽くした最高位モデルは、あらゆる点で隙のない逸品だ

「159」の主なスペック

●型式:フルブリッジ・モノーラル・パワーアンプ(A/B級)
●接続端子:バランス入力×1(XLR、3番HOT)、バランス出力×1(XLR、3番HOT)、スピーカー出力×1
●入力インピーダンス:15kΩ
●定格出力:1,400W(4Ω)
●再生周波数特性:1〜410kHz(-3dB)
●S/N:116dB以上(1200W/4Ω/1kHz)
●全高調波歪率(1kHz):0.0008%以下(50W/4Ω/22kHz)
●入力感度:750mV
●ゲイン:39.4dB
●消費電力:最大2,500W(スタンバイ時0.5W未満)
●寸法/質量:W525×H420×D660mm/180kg

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