舞台ミュージカルの傑作として根強い人気を誇る『エリザベート』と『モーツァルト!』が、ブルーレイディスクで登場する。しかもライブの雰囲気を楽しめるドルビーアトモス音声収録という豪華な仕様だ。
今回発売されるのは帝国劇場での舞台を収録したもので、2016年版の『エリザベート』と2014年版の『モーツァルト!』となる。それぞれダブルキャストの合計4枚が準備されている。各バージョンのキャストは以下の通り。発売元は東宝で、すべて10月29日(金)の登場予定。
『エリザベート』2016年版Whiteバージョン ¥14,300(税込、TOHO-BEW-2110、写真左)
<キャスト>花總まり、城田 優、佐藤隆紀、古川雄大、涼風真世、山崎育三郎 他
『エリザベート』2016年版Blackバージョン ¥14,300(税込、TOHO-BEB-2110、写真右)
<キャスト>花總まり、井上芳雄、田代万里生、古川雄大、香寿たつき、成河 他
『モーツァルト!』2014年版井上芳雄バージョン ¥12,100(税込、TOHO-BMI-2110、写真左)
<キャスト>井上芳雄、ソニン、花總まり、香寿たつき、山口祐一郎、市村正親 他
『モーツァルト!』2014年版山崎育三郎バージョン ¥12,100(税込、TOHO-BMY-2110、写真右)
<キャスト>山崎育三郎、平野綾、花總まり、春野寿美礼、山口祐一郎、市村正親 他
内容は既発売のDVDと同じだが、撮影は4Kカメラやハイビジョンカメラで行われており、今回はそのクォリティを活かして2K映像を収録、音声は2ch素材を元にステージの気分が味わえるようドルビーアトモスに再ミックスされている(本編と『エリザベート』の本編ボーナス映像)。
ドルビーアトモスとは、5.1chや7.1chに加え、天井にも音源を配置できるサラウンドフォーマットだ。その効果を楽しむには、このフォーマットに対応した再生機器が必要となる。
もちろんドルビーアトモス対応AVセンターを使い、5.1.2(5.1chに天井スピーカーを2本加えた構成)などのマルチチャンネルスピーカーで鳴らす方法が理想だが、最近はサウンドバーやテレビ内蔵スピーカーでドルビーアトモスを再生できるモデルが多く登場している。
テレビ内蔵型は主な製品だけでも、パナソニックのビエラ「JZ1000」「JX950」シリーズ、ソニーのブラビア「A90J」「X95J」シリーズ、TVS REGZAのレグザ「X8900K」「X670K」シリーズ、LGの「G1P」「NANO96」シリーズなど(画面サイズによって非対応の場合もあるので注意)。
またサウンドバーでは、JBL「CINEM SB190」、SONOS「Beam(Gen2)」、デノン「SOUND BAR 550」、クリエイティブメディア「Stage 360」などなどで、思った以上に対応製品が多いことに驚かれる方も多いはず。
これまでドルビーアトモスを体験したことのない方々もそういった身近なシステムを使って、豊かな没入体験を味わってみてはいかがだろう。
自然な響きが帝国劇場の空気感を再現してくれる。
『エリザベート』の音の工夫を担当者に聞いた
今回発売される『エリザベート』『モーツァルト!』のブルーレイは、ドルビーアトモス音声が収録されているのもポイントだ。舞台ミュージカル作品としてはこういった仕様はおそらく初めてと思われる。
そんなミュージカルのドルビーアトモス音声はどんな風に製作されたのか、編集部では8月下旬にポニーキャニオンエンタープライズのピーズスタジオで行われた『エリザベート』のスタッフ試聴会に参加させてもらった。
さっそくスタジオのJBL製アクティブスピーカーを使った7.1.4環境でドルビーアトモスを再生してもらう。リミックスを担当したピーズスタジオの村上さんによると、今回は2chミックスされた音源しか残っていなかったそうで、そこから台詞、ヴォーカル、ホールの残響といった成分に分け、ドルビーアトモスを仕上げたそうだ。
ただ、ミュージカルという性質上台詞と音楽がかぶることが多く、さらにそこからヴォーカルに移行するので単純に分離してしまうと違和感が出てしまい、その兼ね合いが難しかったそうだ。最終的には実際のステージ同様に演者が舞台上にいて、音楽やアンビエンスは手前に広がってくることを目指したという。
再生されたドルビーアトモス音声もその説明通り、まず台詞やヴォーカルが中央にしっかり定位する。いわゆるオンマイクのイメージだ。その一方でルイジ・ルキーニが聞く闇からの問いかけや雷鳴は、天井方向から響くように演出されている。
アトモスの効果を十全に活かすのなら、厳密にはもっと高い位置から降り注ぐような配置で聞きたいところだが、2ch音源からのリミックスでここまでの高さ感が出ているのは凄いことだ。作品に込められた不気味さ、インパクトをきちんと感じさせる作品に寄り添った仕上がりだった。
ドルビーアトモスは映画館で始まったフォーマットということもあり、これまではホームシアターでも映画作品ばかりに注目が集まっていた。しかし今回のような舞台作品でも、現場のステージ感、臨場感を充分に味わうことが出来る。ぜひステージファン、ミュージカルファンにもドルビーアトモスを楽しんでいただきたい。ホームシアターは映画だけのものではないのだから。(取材・文:泉 哲也)
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