動画配信サービスの「U-NEXT」は25日に、同社のテレビデバイス戦略やユーザーの視聴状況についての勉強会を開催した。コロナ禍で家庭内でのエンタテインメントの形が変化する中、動画配信サービス普及が進んでいる。今回はそんな状況を踏まえ、U-NEXTの取り組みを紹介するというものだった。

 まず、同社マーケティング部 部長の前田弘之氏が登壇し、「U-NEXTのマルチデバイス戦略について」「近年のテレビデバイス市場について」「動画配信サービスでの利用実態について」という3つのテーマが紹介された。

画像: 勉強会の資料より。U-NEXTの再生機器への取り組み

勉強会の資料より。U-NEXTの再生機器への取り組み

 U-NEXTは日本での動画配信サービスでマーケットシェア3位、国内事業者としては1位を達成しているという(GEN Partners 動画配信[VOD]市場5年間予測[2021-2025年])。有料会員は217万人を超え、前年同時期と比べても130%以上の成長を達成している。

 この成長については、コロナ禍も一因ではあるが、さらにマルチデバイスへの対応も重要だったと前田氏は説明する。

 U-NEXTは2007年6月に「Gyao NEXT」としてスタートした。当時はSTB(セット・トップ・ボックス)を使った、テレビでの視聴を前提としたサービスだったという。

 その後2010年6月にソニーのブラビアネットチャンネルに対応、2012年にはテレビのアクトビラ仕様やPCブラウザ視聴など、再生機の対応を進めてきた。その後も2012年にiPhone、iPad、アンドロイド端末に、2014年はAirPlayやChromecast、2015年にはアマゾンFire TVといったストリーミングデバイスも使えるようになるなど、マルチデバイスに積極的に取り組んできている。

画像: U-NEXTでは、大画面で見ているユーザーの方が視聴時間も長く、満足度も高いという

U-NEXTでは、大画面で見ているユーザーの方が視聴時間も長く、満足度も高いという

 その一貫として、テレビのリモコンへのU-NEXTボタンの搭載にも積極的だ。2017年のFUNAIテレビに始まり、今では国内主要メーカーのテレビリモコンすべてにU-NEXTのダイレクト呼び出しボタンが搭載されている。

 前田氏によると、テレビのリモコンにダイレクトボタンがついていることで、認知が高まり、サービス加入のきっかけ作りになるという。さらにテレビの大画面で観ることでU-NEXTの視聴時間が増え、サービス満足度や費用対満足度もアップ、ひいてはユーザーの生涯顧客価値増加につながっていくのだそうだ。

 また近年のテレビは大画面化が進んでおり、売れ筋モデルも50インチクラスにシフトしている。さらに4Kテレビのほぼすべてでネットに接続できるスマートテレビ機能を備えるなど、動画配信サービスを楽しむ環境も急速に整ってきている。

画像: 視聴デバイスでは、テレビがタブレットを抜いて3位に

視聴デバイスでは、テレビがタブレットを抜いて3位に

 実際にある調査によるとテレビのネット接続率は2019年12月は41.6%だったが、2020年6月には50.7%まで増えているし、動画配信をテレビで見るユーザーも23%とタブレットよりも多くなっているのだという。さらにテレビで動画配信サービスを見たことがないユーザーの64%が導入を検討しているか、興味があると答えているそうで、今後ますます増えていく可能性を秘めているようだ。

 U-NEXTのユーザー調査でもテレビでの視聴者数は右肩上がりで、今年1月時点で45%にも達しているそうだ。さらにテレビ視聴者は月間の視聴時間が他のデバイスユーザーの1.5倍もあり、加えてモバイル端末併用率も高く(同時期で65%)、その場合は解約率も低いという。これが先に話に出た生涯顧客価値が高いということなのだろう。

 U-NEXTでは、これらの要因からテレビリモコンにダイレクトボタンを搭載する意味があると考えているようだ。

画像: U-NEXTのユーザーでも、テレビで動画配信を見たいと思っている比率は高いそうだ

U-NEXTのユーザーでも、テレビで動画配信を見たいと思っている比率は高いそうだ

 この点について昨日の勉強会では、前田氏とソニーマーケティング株式会社 ホームエンタテインメントプロダクツビジネス部 統括課長の福田耕平氏による対談も行われている。

 会場にはソニーのブラビア「KJ-83A90J」が設置され、デモ映像で有機ELテレビならではの美しい夜景が上映された。さらに実際にダイレクトボタンでU-NEXTサービスを呼び出し、どれくらい素早く起動できるかもデモされていた。ソニーではユーザーがPCやスマホの操作性に慣れているので、テレビもそれらと同様のレスポンスを目指したのだそうだ。

 またソニーは放送、配信にかかわらず、幅広いコンテンツをユーザーに提供したいという思いから、配信サービスも早い時期から意識していたという。特に2011年の地デジ移行、2012年のスマホ登場でユーザーの視聴スタイルが変化してきたことを受け、テレビでもスマホでも同じようにコンテンツを楽しめることを重視しているのだろう。

画像: ソニーの資料より

ソニーの資料より

 その甲斐あってか、ブラビアユーザーのネット接続率は今年2月の時点で80%近くに達し、動画配信サービスの視聴時間もこの1年で2倍に成長している。テレビ購入時の検討要因としても動画配信サービスが急速に高まっているのだそうだ。

 動画配信をテレビで見るに際しては、ユーザーの能動的視聴の意味あいが大きいとソニーでは考えているという。メーカーとしては、製品自体の魅力を訴求するのは当然として、購入後も満足度を高めたいと考えている。それについては、能動的視聴層が増えることで実現できるのだという。

 もうひとつ、スマホやPCはパーソナルデバイスのため個人用途が中心だが、テレビを使うことで配信サービスを共有できるようになる。結果としてリビングで家族みんなで同じコンテンツを楽しめるわけで、これも満足度の向上につながるのは間違いない。

 最後にソニーとしてU-NEXTをどう見ているか聞かれると、4Kやドルビービジョン、ドルビーアトモスをいち早く採用するなど、コンテンツのリッチ化に積極的に取り組んでいる点に注目しているそうだ。その点がブラビアで訴求したい付加価値にマッチしており、心強いパートナーだと思っていると福田氏は語っていた。

画像: 動画配信サービスを大画面テレビで見るユーザーが増加&満足度もアップしている! U-NEXTが「テレビデバイス戦略と視聴実態に関する勉強会」を開催

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