StereoSoundOnlineでは、Windows用音楽再生ソフト「JPLAY」を開発、またオーディオ用PCパーツブランド「JCAT」を設立し、PCオーディオでリードするポーランドのJCAT/JPLAY社のファウンダー、Marcin Ostapowicz氏にJPLAY/JCATについてメールインタビューを行った。
まず、JCAT/JPLAYを始めたきっかけを教えてください。
Marchin JPLAYは2010年当時、PC用のプレーヤーソフトの音質に満足できなかったため、私の個人的な趣味ではじめました。その後、2011年に製品化しお客様や様々なオーディオメーカーからの評判もいいものでした。
その頃ちょうど、多くのPCオーディオユーザーがPC内でアナログオーディオ信号に変換していましたが、USB Audio Class 2.0に対応したM2TECH HiFace USB-SPDIFコンバーターのようなデバイスが登場し始め、非同期で192kHz/24ビットのハイレゾデータを外部のオーディオ機器に接続し再生できるようになり、JPLAYが活躍し始めました。
JPLAYがある程度のレベルの音質に到達した後、私の次のステップは、ハードウェアの改善でした。なぜなら、PCオーディオの音質は、ハードウェアとソフトウェアの両方に依存していると考えたためです。
PCオーディオでは、DACに接続する方法としてUSBが好まれていたので、まずはじめにこの部分の改善を試み、JCATブランドの最初の製品であるJCAT USB CARDを開発しました。JCATは 「JPLAY Computer Audio Transport」 の頭文字をとったものです。
JCATブランドの製品は全て私の経験から生まれたもので、私は世界中のオーディオメーカー様と仕事をしており、様々なメーカー様の要求に応じた製品を制作したいと考えています。JPLAYとJCATはPCオーディオにおける最も先進的なメーカーです。まずは私自身が満足し、毎日自分のオーディオ機器で使っていて楽しい、心地よいと思える製品を制作しています。
Marchin氏は元々はオーディオ関係の仕事をされていたのでしょうか。
Marchin いいえ、 JPLAYを始める前はIT分野で広報の仕事をしていました。
しかし、私の父がミュージシャンだったこともあり、PC、PCオーディオを始める前よりずっと前から音楽は好きでした。
音楽が好きで音楽学校を卒業しましたが、その時同時に音楽教育への関心は失せてしまいました。その間に私は別の"キーボード"に「愛」を感じ、私の関心はITに変わりました。しかし、家庭や音楽学校で培った価値観は、音に対する感性へと発展していきました。様々なプレーヤーの音の違いにすぐに気づき始め、やがてPCの中で音楽を再現するためにはどうすればいいのかを考え始めました。
PCオーディオの追求は、2004年にクリエイティブ社のサウンドカード「Sound Blaster」用の代替ドライバー「kx Project」を発見した時から始まりました。私は代替ドライバーの音を聞き、「これだ!」と思いました。当時、私はfoobar2000のASIOプラグインを使用して、システムミキサーをバイパスし音楽を楽しんでました。音質に関する質問をすることは、foobar2000のフォーラムの規定に反していたため、私は自分で粛々と実験を始め、空いた時間はほとんどJPLAY開発に使い、海外のフォーラムの議論を追いかけたりしました。そしてJPLAY/JCATが誕生しました。
JCAT製品について詳しく教えて下さい
Marchin JCATの最初の製品は、USBカードとUSBケーブルでした。
JCATのUSBカードとNETカードの主な特徴は、リニア電圧レギュレータをPCインターフェイスでは珍しく使用していることです。最近発売しましたUSBカード「USB CARD XE」では、最先端のLT3045を使用しています。PCオーディオにおけるリニア電源の使用は、高音質を引き出すための重要な要素だと私は考えています。しかし上手に使用しないと効率と高熱の問題も伴います。
ここで紹介する2つの製品は「NET Card FEMTO」と「USB Card FEMTO」です。どちらもPC用のインターフェイスボードになります。接続はPCの内部規格であるPCI-Express x1ですが、電源はPCIからは受け取らず、ボード背面にある電源ポートまたは正面スロット側にあるDC入力を使います。これによりマザーボードからの粗悪な電源混入を防ぎ、高品位な電源をボードへ入れることが可能です。さらに基板上のジャンパーによってフィルターの有無も選択できるのもこだわりの1つです。
また両モデルとも「FEMTO」の名のように、高精度なフェムトクロック(Crystek CCHD-957)を搭載しています。このクロックはハイエンドオーディオ機器によく搭載されているクロックで、PC用のインターフェイスボードで搭載されるのは非常に稀で、これらのボードの「キモ」となっています。
両モデルともロープロファイルサイズ(*PC用インターフェイスボードにはフルサイズボードと横幅を約半分としたロープロファイルボードがある)なので、小型PCにも搭載可能です。
また、USBコントローラー/ネットワークコントローラーそのものは一般的なものを使用してるため、Liniuxでも動作します。つまりRoonのOS「ROCK」やQNAPといったNASのインターフェイスカードとしても使用していただくことが可能です。
クロックの精度を更に極めた上位モデルの「NET Card XE」と「USB Card XE」もあります。興味があればJCATのウェブサイトを覗いてみてください。特に「NET Card XE」は11月末に発売を開始したばかりの最新の製品です。「USB Card XE」も生産が追いつかないほど全世界から注文を受けています。
最後に日本の皆様へメッセージをお願いします
Marchin 日本はPCオーディオの熱い国の1つだと思っています。私は日本に行ったことがありませんので、(今年はできませんでしたが)東京インターナショナルオーディオショウに合わせ、次の大きな製品を持って、日本のオーディオショップや友人を訪ね、観光をしたいと思っています。 その次の製品とは、おそらく世界初となるリニアATX電源です。楽しみにしていてください。
皆様にお会いできる日を楽しみにしております。
今日はありがとうございました。