CDを筆頭に近頃はLP販売にも力を注いでいるタワーレコードは、レコード会社との協業により往年の名作・名盤をオリジナル仕様の限定盤として復刻している。そのタワーレコードとステレオサウンドが、ソフト制作において初のタッグを組んだ新しい試みが始まる。それが11月20日に発売される「岩崎宏美SACD/CDハイブリッド」の復刻シリーズだ。
 1975年にデビューを飾った岩崎宏美は21世紀のいまも現役で活躍している、日本を代表する歌い手として広く知られている。彼女のビクター在籍時におけるシングルおよびアルバムの大半は、東京・青山のビクタースタジオにおいて収録され、アイドル系作品の中でも屈指の名録音が少なくない。

 今回のシリーズは従来の岩崎宏美の復刻盤と差別化を図るため、サウンド・スーパーバイザーにオリジナル・ミキサーの梅津達男、音楽面の監修に音楽評論家で歌謡曲にも造詣の深い湯浅学、両氏にそれぞれ協力を仰いでいる。
 岩崎宏美のビクター時代の作品は極めて人気が高く、これまでも度々復刻されており、現在はオリジナルのアナログ・マスターテープから音調整の施されたハイレゾ音源まで配信されている。

 今回の復刻シリーズにおいて、サウンド・スーパーバイザーを務めてもらった梅津氏は1968年~83年までの期間、日本ビクターで多くの録音に関わってきたレコーディング・エンジニアで、岩崎宏美の大半の作品に主要スタッフとして携わっていた。今回あえて梅津氏に協力を仰いだのは、これまで様々な岩崎作品の復刻企画はあったものの、オリジナル・ミキサーの梅津氏が制作面で関与する復刻盤はなかった。今回の新シリーズは、オリジナルのアナログ・マスターテープから新規マスターを起こすことが前提としてあったため、梅津氏に約40年ぶりにマスターテープをプレイバックする現場に立ち会ってもらうことに大いなる意義を見出したのだ。

画像: 「岩崎宏美SACD/CDハイブリッド」シリーズのサウンド・スーパーバイザーを務める梅津達男氏

「岩崎宏美SACD/CDハイブリッド」シリーズのサウンド・スーパーバイザーを務める梅津達男氏

 いっぽう、湯浅氏は岩崎宏美のアナログ盤にリアルタイムで接してきた聞き手であり、とりわけ岩崎作品に曲を提供していた筒美京平の作風を把握し、編曲の傾向まで知り尽くしている。湯浅氏にはプロフェッショナル・リスナーの立場から時には梅津氏と意見を交わすことで、本邦初となるSACDマスターの制作に関与してもらうのが、サウンド面と音楽面の両立を図るにはベストだと考えた。

画像: 監修は歌謡曲にも造詣の深い音楽評論家・湯浅 学氏

監修は歌謡曲にも造詣の深い音楽評論家・湯浅 学氏

 なお、ハイブリッド盤のCD層はSACD層からファイル変換をダイレクトに施したPCM音声のため、SACD対応プレーヤーを所有していない方も、今回の音調整(=リマスタリング)の狙いが享受できる。

「岩崎宏美SACD/CDハイブリッド」シリーズ第1回発売
11月20日発売分5タイトル
各¥4,400

画像: 『あおぞら (+1)』(1975年)NCS-80001

『あおぞら (+1)』(1975年)NCS-80001

画像: 『ファンタジー』(1976年) NCS-80002

『ファンタジー』(1976年) NCS-80002  

画像: 『パンドラの小箱 (+4)』(1978年) NCS-80003

『パンドラの小箱 (+4)』(1978年) NCS-80003

画像: 『10カラット・ダイヤモンド (+4)』(1979年) NCS-80004

『10カラット・ダイヤモンド (+4)』(1979年) NCS-80004

画像: 『Wish (+6)』(1980年) NCS-80005

『Wish (+6)』(1980年) NCS-80005

「岩崎宏美SACD/CDハイブリッド」シリーズ共通の主な特徴
■ディスク形態:SACD/CDハイブリッド盤
■オリジナル・アナログ・マスターテープから2019年最新リマスタリング
■サウンド・スーパーバイザー:梅津達男 (オリジナルのレコーディング・エンジニア)(日本レコーディングエンジニア協会(JAREC/MIXER’S LAB)
■マスタリング・エンジニア:袴田剛史(ビクタースタジオFLAIR)
■監修: 湯浅 学 (音楽評論家)
■湯浅 学、梅津達男、袴田剛史による特別解説書付き
■通常パッケージ仕様
■盤印刷面: 緑色仕様
■協力: 株式会社ステレオサウンド
■製造・発売:株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

 このシリーズは全国のタワーレコードに加え、同社の通販サイト、および弊社のオンラインストアで入手できる。なお、来年の2020年には同仕様で続編の発売も予定されている。弊社のオンラインストアはこちらから↓

画像: マスタリングはビクタースタジオFLAIR所属の袴田剛史氏が担当。4分1インチ幅のオリジナルのアナログ・マスターテープはスチューダーのA820テープレコーダーで適宜プレイバックし、あくまでマスターテープに忠実な音調整を施している

マスタリングはビクタースタジオFLAIR所属の袴田剛史氏が担当。4分1インチ幅のオリジナルのアナログ・マスターテープはスチューダーのA820テープレコーダーで適宜プレイバックし、あくまでマスターテープに忠実な音調整を施している

画像: 梅津氏(写真中央)は自らミックス・ダウンに携わったアナログ・マスターテープに約40年ぶりに接し、当時の記憶がまざまざと蘇ってくる……。筒美京平さんがひんぱんに通っていたスタジオ近くのレコード・ショップの話をふると、「竹下通りの『メロディ・ハウス』ですね」と、湯浅氏(写真右)が返す場面も

梅津氏(写真中央)は自らミックス・ダウンに携わったアナログ・マスターテープに約40年ぶりに接し、当時の記憶がまざまざと蘇ってくる……。筒美京平さんがひんぱんに通っていたスタジオ近くのレコード・ショップの話をふると、「竹下通りの『メロディ・ハウス』ですね」と、湯浅氏(写真右)が返す場面も

画像: 袴田氏のマスタリングルームに常設されるモニタースピーカーは、ドイツ製ムジークエレクトロニク・ガイザインのRL901K。同軸3ウェイ構成モニターでマスターテープの特徴はもちろんのこと、あらゆる音の変化が即座に確認できる

袴田氏のマスタリングルームに常設されるモニタースピーカーは、ドイツ製ムジークエレクトロニク・ガイザインのRL901K。同軸3ウェイ構成モニターでマスターテープの特徴はもちろんのこと、あらゆる音の変化が即座に確認できる

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