円谷プロが展開している「ULTRAMAN ARCHIVES」の第5回となる「Premium Theater
ウルトラマン『侵略者を撃て』スペシャルトーク&上映会」が、16日夕方に開催された。今回から会場をTOHOシネマズ上野に移し、上映作品もこれまでの『ウルトラQ』から、『ウルトラマン』に移っている。
そんな待望の新シリーズ上映第一弾に選ばれたのは上記の通り「侵略者を撃て」で、スペシャルトークのゲストには同作の監督、飯島敏宏氏と、ウルトラマンのスーツアクターとしても有名な俳優の古谷 敏氏が登場した。
この作品は放送順では『ウルトラマン』の第2話だが、撮影自体は最初に行われていたとかで、撮影現場でウルトラマンが誕生した貴重なエピソードでもあったそうだ。
冒頭登場した古谷氏はウルトラマンの中に入ることになったきっかけについて、「ぼくはケムール人だったんです(笑)。その後、成田亨さんの推薦で、何もしなくていいと言われてウルトラマンになったんです」と話して、会場の笑いを集めていた。
古谷氏はもともと俳優ということもあり、「主役と言われたのに、仮面をかぶるということで2週間悩みました。祖母から“人から求められているなら、一度やってみれば”と言われて決心したんです」と、スーツアクターになるまでに葛藤があったことも話してくれた。
その後も肉体的な限界や顔を出した演技ができないことで悩み、「ある日やめる決心をして、円谷プロに行こうと渋谷から成城学園行きのバスに乗りました。すると松陰神社のあたりで子供たちが乗ってきて、ウルトラマンやバルタン星人のことを一生懸命話すんです。それを聞いて、この子供たちのためにもう一度やり直そうと思いました。39話ウルトラマンを続けられたのはあの子たちのおかげです」と、ファンの声が作品を支えていたことを教えてくれた。
ここから作品上映が始まり、終了後に登場した飯島監督は、「感動もしたし、恥ずかしくもあります。16mmフィルムがこんな大画面に耐えるんだと驚いて見ていました。バルタン星人の登場シーンは当時のTBS社内で撮影しましたが、あれを近未来と思っていたのですね」と撮影時のエピソードも披露してくれた。
ちなみにこのエピソードでスペシウム光線が登場するが、古谷氏が「このポーズを毎回使いますか」と尋ねたところ、飯島監督が「使います」と返事をしたのが誕生のきっかけだそうだ。そこから古谷氏は「3面鏡の前で毎日300〜400回ポーズの練習をしました」といかに真摯に作品に取り組んでいたかがわかる逸話も披露してくれた。
これを受け、「この頃は、予算の関係で光学合成があまり使えませんでした。スペシウム光線も手がしっかり固定していないとたいへんなのです。そのためには片手で支えた方がいい。それであの形になりました」と飯島監督がポージングの由来を語った。
それに関連し古谷氏は「左手は指の先まで神経を入れて、ソリを加えています。右手は反らさずにまっすぐ縦にします。ぼくはこのポーズを世界中に伝導しています」と単純に手を交差させているだけではないことも加えていた。
最後に今のヒーローとはどんなものだと考えているかという質問に対し、飯島監督は「わからないですね。でも優しさだけは欲しい。それは子供たちに残っていくものだと思います」と話し、古谷氏も「夢を与えるのがヒーローだと思います。それが大人でも子供でも。飯島監督がおっしゃったとおり、優しさは必要ですね。子供たちが夢を持ってくれることを願います」と、ウルトラヒーローの目指す姿をわかりやすく語って、イベントは終了となった。
なお次回の「ULTRAMAN ARCHIVES」は2020年3月に、同じくTOHOシネマズ上野で開催される。その前の12月14〜15日には「ツブコン」も予定されており、年末年始も円谷プロの作品から目が離せそうにない。